77話 気が合う2人
夕暮れ前に街へ帰宅――。
終わるのが早すぎる……。
ギルドに向かい依頼の報告をする。
受付は早番の人と代わってリンナさんが担当していた。
「おかえりなさい、聞いたわよ。依頼を4つも受けたらしいわね。みんなその話題で持ちきりよ」
ですよね……普通はあり得ないから噂されるますよね……。
「それでどうだったの?」
「問題なく終わったぜ! 予定通りに進んで助かったぜ! ブツはダンナがしまっているから確認よろしくな!」
「本当に狩ったのね! じゃあ、こっちに来てね!」
解体場に行き――仕留めた魔物を出した。
それを見たリンナさんはテンションが上がっていた。
「すごいわ! これを3人で狩ったのね!」
「いえ、スピードアリゲーター以外はフランカがほとんど狩りました」
「フランカが? フフ……やっぱりそうだと思ったわ!」
急に笑い始めた……。
「何がですか……?」
「初めて会った時、気が合いそうとだとは思っていたけど、何か物足りなかった……今ならはっきり言えるわ! フランカは私と似た者同士ってことよ!」
似た者同士ですか……確かに性格は似てる部分があるけど。
「奇遇だな! アタイもリンナ嬢とは気が合うって思っていたぜ! 女の勘ってやつだな!」
「そう、それよ! これからもよろしくねフランカ!」
「ああ! もちろんだリンナ嬢! これから長い付き合いになりそうだ!」
お互いに握手をした……。
こちらとしては何がなんだかわからない……。
『やっぱり女の友情は素晴らしいね~』
いや、だからまだ昨日会ったばっかりで友情も何もないが!?
あっ、はい……もういいです……どうせ男にはわからないですよ……。
「確認もできたし、依頼は成功よ! 3人ともお疲れ様! 素材はどうするの?」
「鍛冶の材料にするから悪いが全部持っていくよ」
「わかったわ。けど大型の魔物だと時間がかかりそうだわ……」
まあ、手間はかかるだろうな。
「その心配はないぜ! アタイは【解体】スキルを持っているからすぐに終わらせる。すまないがここを借りるけどいいか?」
「いいわよ。それなら私も手伝おうかしら、もちろんお代はいらないから」
「いいのか? 受付の仕事が大変じゃないのか?」
「これも職員の仕事よ! あと私の剣をタダで改良してくれるから当たり前よ! どんなけ恩知らず奴と思われるのは嫌だからね!」
「ハハハ! そうか、じゃあよろしく頼むぜ!」
話がトントン拍子で進んでる……本当に気が合っていますね……。
「私も手伝う!」
「精霊ちゃんも? いいわよ。私たちが素材を剝ぎ取ったら隅の方に置いてちょうだいね!」
「うん、わかった!」
「というわけでダンナはゆっくりしといてくれ」
「ああ……わかった……無理はしないように……」
じゃあ、俺は隅っこで見学してようかな。
「まずは面積が広いキングバッファローからやろうぜ! ――――アースソード!」
「ええ、いいわよ!」
フランカは地魔法で岩の剣を創り持って、リンナさんは解体用の大型の包丁を持ち作業を始めた――。
2人は息ぴったりに角、皮、肉、魔石に分け、解体をし、10分もかからないで終わった……。
「ダンナ、肉は早くしまおうぜ! 鮮度が命だからさ!」
「はいよ」
キングバッファローの肉を無限収納にしまった。
「私もその肉が食べたいな~」
「誕生日にアイシスがそれでご馳走を作ってくれるから我慢してくれ」
「それもそうね我慢するわ」
勝手に決めているが……アイシスに負担が――。
『今さっきアイシスに言ったら作るってさ!』
『ありがとな、アネキ! 気が利くぜ!』
大丈夫でした……。
その後――シルバータートル、スピードアリゲーター、デススパイダー、バシリスク順に解体をして
1時間くらいで終わった……この2人恐ろしい……。
「ありがとな、リンナ嬢! 予定より早く帰れるから助かったぜ!」
「お礼なんていいわよ! 私の剣をよろしくね!」
「ああ、もちろんさ!」
再び2人は握手をした。
本当に仲がいいですね……。
解体した素材を無限収納にしまい、依頼報酬合わせて大金貨2枚受け取った。
素材の換金がないとはいえ、1日でこの稼ぎおかしいです……。
「お金はどうする? この場合は自分で狩った分の報酬渡そうか?」
「アタイは素材を確保したからいらないよ」
「私もあまり活躍していないからいらない……」
「そうか……わかった。半分はアイシスに渡すか。もし欲しいのがあったらアイシスに言ってくれ」
「わかったぜ!」
「うん、わかった!」
今後の方針で所持金の半分はアイシスが管理するようにお願いをした。
もし、欲しいのがあれば好きに買ってもいいようにしている。
けど、アイシスはかなり真面目で買った分は家計簿に記載することや高い物は俺の許可を得てから買うようになった。
まあ、その方が無駄遣いしなくて済むから助かる。
――屋敷に帰宅するとアイシスが編み物をしていた。
「おかえりなさいませご主人様。2人とも今から夕食を用意しますので少々お待ちを」
「ただいま、今回の報酬半分渡しとくからよろしく」
「わかりました。それでは料理に――」
「ちょっと待ってくれ、ダンナ、アイシスにデススパイダーの糸を半分渡してくれないか? これでいいの作ってくれ」
「ああ、わかった」
アイシスにデススパイダーの糸を渡した。
「ありがとうございます。これで良い服が作れます」
「いいってことよ! それじゃあ、アタイとダンナは風呂に入ってくるぜ!」
「わかりました。ごゆっくりどうぞ」
「えっ、俺も? 先に入っていいよ」
「お互いに汚れているから一緒に入るのは当たり前だろ。さあ、早く行こうぜ!」
「私も入る!」
フランカに腕をつかまれ無理矢理、浴場に誘導されました……。
いや、もう強制だってことはわかったが――なぜ身体を洗うときも、湯船に浸る時も密着しているのだ!?
アイシスでもこんなことはないぞ!?
――1時間経過した。
「そろそろ出るよ……」
立ち上がろうとすると――肩を押さえ込まれた……。
「まだダメだぜ! アイシスが飯の支度をするまでこのままいようぜ! ダンナはアタイの加護でのぼせることはないから心配はないぜ!」
確かに【魔剣の加護】で長湯してものぼせる感覚はない。
このまま一生入れるが、そういう意味ではない……。
美少女と密着して入っているので理性が限界……浴室から出たいです……。
「それにアタイはこの感じが幸せなんだ……もうちょっと余韻浸らしてくれよ……」
『そうだよレイ! 主なんだからフランカの要望には応えないといけないよ!』
「わかったよ……」
「マスター……私限界……」
精霊はのばせていました……。
「先に食堂に行って休んでて」
「うん……」
フラフラと浴室を出た。
「さあ、まだまだ時間あるからこのままでいようぜ!」
その後、1時間入り――食堂に行くとあまりの長さにアイシスは呆れていました。
食事前は早く出るようにフランカに注意をした。
食事前だけかよ……今後も長風呂に付き合わされそうです……。
依頼報酬
キングバッファロー 金貨3枚
スピードアリゲーター 大銀貨1枚
シルバータートル 金貨1枚
デススパイダー 大銀貨1枚
バジリスク 大金貨1枚
合計 大金貨2枚




