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783話 世は情け③


 メアは帝都で起きたことを嘘偽りもなく話した。


「――これが知らされてない事実です……」


「反乱した辺境伯と冒険者のグランドマスター救出……。王子2人と勇者たちの保護……。どれも信じがたい……」


「フフフフフフ……嘘は言っていませんこと……」


「これが本当なら大陸はどうなる……? 戦争になるぞ……」


「なるかもな。だが、これでだけは言っておく、一般人は絶対に巻き込まない。それだけは約束する。まあ、帝国軍がどう動くかによるけどな」


「それは無理な話だ。帝国側は一般市民を巻き込んで兵の強制をするかもしれない」

「多分、強制して一般市民を盾にして時間稼ぎするだろうな……」


 さすがにジャントとデフィーは理不尽の内情は知っているようだ。


「そんな……、あまりにも非道じゃないか……。これが大陸を守る帝国軍なのか……?」


「はっきり言ってこの大陸は腐っている。現帝王が続けば破滅の道に進んでしまう。まあ、あの帝王はバカだからもう止められないけどな」


「それじゃあ、大将側が勝ったほうが得じゃないか……。 もし、大将側が勝ったらこの大陸はどうなる……?」


「今とマシな暮らしになるだろうな。差別、権力、貧困のない平和な暮らしが」


「そんな理想な暮らしが可能に……? できたらいいな……」


「してみせるさ。それだから俺たちは頑張っている」


「大将……、それなら俺たちをなんで助ける? 帝国側の人間を嫌っているから俺たちを嫌ってもおかしくないはず……」


「俺は最初は関わりたくなかった。けどな、この大陸にはちゃんとした人間はいる。俺は戦争をする大陸関係なく助ける。たとえ――ほかの種族だろうが、魔物だろうが助ける。それが偽善と言われてもいい。俺は正しいと思っている」


「大将……、ありがとう。こんな人が多くいれば平和になるのにな……」


「これから増えるさ。環境が変われば、考えも変わる。俺はそう願う」


「フフフ……、主様の理想は必ず実現します……。準備ができましたのでそろそろ行きましょうか……?」


「ということだ。とりあえずゆっくり休んで俺たちの環境に慣れてくれ――」


 メアは空間魔法(ゲート)を使い、俺たちを領地――集会場に移動した。

 目の前にはアイシスが待機している。


 準備って、アイシスに念話で案内をお願いしたのか。

 本当に準備がいいことで。


 みんなは本当に別の場所に移動したことに驚いて周りを見渡す。


「フフフ……、これくらいで驚いていては困りますこと……」


「誰だって転移できるなんてって……ラグナロク嬢が小さくなっている!?」


 【魔力解放】で大人体型をここで維持する必要はないしな。


「これが本来の姿だ。それじゃあ、アイシスみんなの案内を頼んだ」


「かしこまりました」


「ちょっと待ってくれ大将、申し訳ないが俺はゴンザレスの勇姿を最後までみたい! せっかく移動してくれたのはありがたいんだけど、頼む!」


 そういえばそうだったな。まあ、キャスリーが安全な場所に移動したなら別にいいか。


「それなら俺たちもゴンザレスの闘いを観たい。もう俺たちは自由だからな」

「頼むよ大将、相手はあの暴力少佐だと思うし、やられるところをこの目で見たい」


 お前たちまで……。軍の奴らに見つかったらどうする……?


「フフフ……いいでしょう……。ただし……変装する条件なら……観戦の許可をします……」


 いいのかよ……。その変装がかなり怪しいが、もうメアさんにお任せします……。


 そうと決まり、俺たち戻ろうとすると――。


 キャスリーはロベントスに抱きついて頭をなでた。

 行くのが心配なんだろうな。


「ね、姉ちゃん……やめてくれよ……」


「やめないわ……。ロベントスちゃん、絶対に無理をしないで気をつけて帰ってね……」


「わ、わかったって! 姉ちゃんには心配かけないよ! だから大将の領地でゆっくり休んで!」


 ロベントスは恥ずかしくて真っ赤になり慌てて離れた。


「まったく……過保護なんだから……、いつものことだから気にしないで」


 ベネッタはそう言うが、過保護を越しているような気がする。姉としての心配ではなく、本当の母親みたいな感じだ。

 まあ、母親の代わりに育てたからそうなるか。大事な家族だしな。


 俺たちは再び宿に戻る――。

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