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780話 禁忌にやられた女性


 かなり侵食されいる。このまま進めば命に関わる。


「どういうことだ!? 姉ちゃんの身体に何が起きている!?」


「キャスリー!? なによこの黒いのは……見ているだけで震えが止まらないわ……」


 みんながわかるほどの悪化だ。

 ロベントスの言いようだと、急に悪化した感じだな。


「――――龍脈!」


 俺は龍と回復の【混合魔法】使い――キャスリーの身体に魔力を流し込み、黒い靄が消えて完治した。


「これで大丈夫だ」


「ありがとうゼロ大将……、姉ちゃんを助けてくれて……」

「私もお礼を言わせて……、大切な親友を救ってありがとう……」


「別にこれくらいお安い御用だ」


「き、奇跡だ……なんだこの魔法は……神の領域か……?」


「そんな大層なものではない。気にするな」


「治療士として気になるに決まっている! 回復魔法初級だけしか使えない僕でもはっきりわかるぞ! 絶対にこの高度のな魔法は誰も覚えられない! 気になる……すごく気になる……」


 面倒くさい変人に出会ってしまったな……、説明したら長時間コース確定だ……というか説明できない。軽く流して戻りたいところだが、問題がロベントスとキャスリーはここに残してはいけない。安心はできない。


「タッツさん……うるさい……。頭が痛く……あれ……? 痛みがない……? 身体も軽い……」


 キャスリーは目を覚まし起き上がった。


「キャスリー! まだ起き上がっちゃだめ! 病み上がりなんだから安静にして!」


「大丈夫よ、ベネッタ。あれ? どうしてベネッタいるの? ロベントス、なんでベネッタに言ったの?」


「ごめん姉ちゃん……、言い訳ができなくて言っちゃった……」


「ごまかせなくなっちゃったのね。仕方ないか」


「もう……、もっと私に頼ってよ……」


「ごめんね。ベネッタを巻き込んじゃあいけないと思ったの、あの領主と関わるとロクなことがないからね」


「領主と関係があるの? いろいろと複雑な事情あるのね……」


 言っていないことが多すぎるから、みんなで情報整理をする。

 キャスリーから聞いた話によると――1ヶ月前、買い物に行っていたときに背後から違和感がありそれから体調を崩して、徐々に立ち上がることができなくなり辛い状態が続いたという。そこでたまたまクーランドが来て、事情を知らされて薬を強制的に進められて今になったという。


 禁忌に侵食されたら完全にクーランド絡みなのは完全に確定していた。

 そこまでしてキャスリーを狙うのは以上である。

 ただ、禁忌の侵食を抑制する薬が開発されているのは正直驚いた。


 あくまで抑制だけだからなんとも言えないが。


「ベネッタが奴隷に……どうしてこんなことに……」


「なんでキャスリーが領主にそこまで好かれているなんて知らなかった……」


「ベネッタ、私の心配をしないで自分を優先して……」


「私は大丈夫よ。それより薬のお金はどうするの……? ロベントスがお金を取られて返せないじゃない……」


「あの薬でなんとか保つことができた。悔しいけど、お金は返せないと……」


「本当にごめん姉ちゃん……」


「いいのよ。これも私の責任なんだから……。ロベントス、もうお姉ちゃんのために頑張らなくていいから……。もう決めた……領主と話し合いをするね……」


「それはダメだ姉ちゃん、絶対に領主のとこに行ってはダメだ! これから姉ちゃんは幸せにならないといけない!」


「もう十分幸せだよ。ロベントスが立派に成人になっただけでもお姉ちゃんは1番幸せだよ……。もう自由なんだからお姉ちゃんにかまわなくていいよ」


 キャスリーとロベントスは涙を流して言い続ける……。 


…………俺たち……かなり気まずいのですが……。


 それにつられてジャントとデフィーはボロボロと泣いている。

 この2人、純粋だから憎めないんだよなー。


「フフフフフフ……ゼロ様……、これはお決まりのパターンですこと……」


 でしょうね……。はぁ……仕方ない。そうしますか……。

 その前に――。


「お取り込み中悪いが、ジャントとデフィーは帝国軍から抜けたいか?」


「もちろんだ。金さえあればすぐに抜けたい」

「同じく俺も」


 あっさり答えてくれたな。

 まあ、不満があるならやめたいのは当然だよな。

 これで条件は揃った――。

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