777話 解散した傭兵団
結局明日にお預けになり、うわの空のカイセイと合流をする。
キスをされて意識しはじめたか。
その後ろには解散となったデンドフル傭兵団が落ち込んでついてきた。
「それで、本当に俺たちについてくるのか?」
「ゼロ大将がよければ俺たちは、ついていくつもりだ……。急に解散になったら行くあてがねぇ……。すぐに仕事が見つかれば話は別だ……」
元副団長が弱気になってどうする……。
「クーランドから雇われ分はもらってないのか? 最強の傭兵団ならある程度遊んで暮らせる分がもらっているはずだが?」
「終わったからもういいか……。俺たちはクーランドから借金していてな……タダ働きなんだ……」
「最強傭兵団が借金とは何があった?」
「デンドフルさんが野蛮な石を勝手に使用した弁償代を立て替えてくれた……。絶対につけるなと言っていたのになぜ……」
これは完全に騙された感じがする……。
「その借金をチャラにする条件として闘技場に参加したのか?」
「その通りだ。だが、ハーティは負けたら奴隷になる条件なんだ。それも全部ハーティが背負うように……。これは親子の問題だからと俺たちを庇ってくれた……」
だから傭兵たちは奴隷にならなかったのか。
だが、あのクーランドがハーティの条件を飲むのは、少しおかしいぞ。
最初から狙っていた可能性がある。
「あの強さなら奴隷としてほしがる奴は多いよな」
「いや、戦闘要員で働らかないぞ……。さっき、耳にしたが娼婦として働くと決まっていたぞ……」
そこまで決まっていたのか……。いや、クーランドのことだ、侮辱行為をしたからそのバツとして娼婦行きになったか。
「そ、それはダメだ!?」
うわの空だったカイセイが慌てて言う。
「フフフフフ……ゴンザレス……、ハーティが気になって、気になって仕方ないですの……?」
「ち、違う!? ハーティは娼婦として向いていないから言っているだけだ!」
完全に意識してますね。
「そうでもないぞ。ハーティは意外にも人気がある。情報が入れば貴族らがすぐに娼館に駆けつけるだろう。ハーティの初物を奪うために」
サムワ……個人情報は言わなくていいです……。
「は、初物……」
カイセイが反応しているじゃないか。
しかも、想像したのか急に顔が真っ青になっている。
「フフフ……、それはともかく……あなたたちは悔しくありませんの……? 大事な団長を取られて……?」
「悔しいに決まっている……。けど……俺たちが抵抗しても権力で負けてしまう……。ハーティに責任がいく……俺たちでもどうすることもできない……」
完全に八方塞がりか。
もう諦めているようなものだ。
「そうですか……。とりあえず面倒は見ますので、戻りましょうか……」
「本当に申し訳ない……」
メアが簡単に受け入れるということは、ハーティを救うようですな。
最終的にはそうなると思ったよ。
面倒事になったが、いろいろと首を突っ込んで俺が受け入れているのは、感覚がおかしくなっています……。
「お〜い、みんなで話し合って何をしている?」
ロベントスはジャラジャラと大きな袋に敷き詰まった金を持って上機嫌でスキップしながら来た。どれだけ大金を賭けたのが物語っている。
「はぁ……、少しは空気を呼んでくれませんの? どう見ても重い話をしてると思いませんの?」
サリチーヌは呆れていた。
あれだけの大金が手元にあると、浮かれるのも無理はない。
「悪い悪い。そのお詫びに今日はみんなに飯でも奢ろうと思ったが、姉ちゃんのとこに戻らないといけない。お金渡しておくからこれで好きに使ってくれ。じゃあまた明日――」
ロベントスは金貨3枚を渡して去っていった。
浮かれていても姉を優先するのはいいことである。
俺たちも戻るとするか。




