775話 第二試合
「一気に行くぞゴンザレス――――瞬双迅牙!」
ハーティは一瞬でカイセイに近づき、双剣で切りつける。
ゴンザレスは反応して大剣を構えて防御態勢になり受け流す。
だが、ハーティは体制を整えてカイセイを続けて襲う。
カイセイは防ぐことしかできなく、攻撃する機会を与えられない。
「遅いじゃないかゴンザレス! まだまだ行くぞ――」
さらにハーティは加速して切りつける。
さすが団長をやっていることはある。
「一方的にやられていますわね。これじゃあ、手も足もでませんわ……」
「フフフ…ご心配なく……うまく対応していますこと……」
「たしかにゴンザレスさんは、あの素早い攻撃を防ぐなんて普通はありえない」
カイセイはただ防いでいるだけではない。攻撃のタイミングを見計らう。
本当なら魔法を使って対処するはずだが。発動すらしない。
ハーティに応えて剣だけで闘うようだ。
「どうしたゴンザレス! お前の力はそんなもんじゃないだろ!」
「そうだな。少し探っていたがもういいだろ。お前にその力を応えようじゃないか」
するとカイセイは剣に膨大な魔力を送り込み、ハーティの攻撃を弾き返し、体制が崩れる。
「ハハ、こうでないとな――――猛轟双撃!」
「――――轟光斬!」
お互いの剣がぶつかり合うが、ハーティが力に負けて吹っ飛んで壁に衝突する。
「ハハハハハ! 最高じゃないか! あたいが見込んだけはある!」
痛がるそぶりもなく、高笑いして喜んでいた。
戦闘狂ならさらに火が付きそうだ。
案の定、ハーティの魔力を思いっきり出して双剣をクロスして構えた。
「あたいの最大の技を受けてみろ――――猛瞬餓狼刃!」
「だったら全力で応えてやるまでだ。死ぬ気で受け止めろ――――覇閃斬!」
ハーティは全身――周囲に魔力を覆い、カイセイに突っ込もうとする。
だが、カイセイは地面に叩きつた斬撃はハーティにぶつかり合う。
ハーティは負けじと斬撃を押し込もうする。
「フフフ……勝負ありました……」
メアの言う通り、ハーティの魔力は消耗したのか徐々に小さくなりそして――。
「――――グアァァァ!?」
双剣が砕け散って、軽装の鎧も破壊され、上半身を切りつけて吹っ飛んで倒れる。
「ハハ……最高じゃないか……、あたいの負けだ……」
「しょ、勝者――ゴンザレス!」
ハーティは深手を負って血まみれになっても、笑って降参した。
勝敗が決まると、「ゴンザレス! ゴンザレス! ゴンザレス!」コールが響き渡る。
そしてサムワたち――傭兵団全員が駆け寄る。
「ハーティ、大丈夫か!?」
「大げさだな、あたいは大丈夫だ。心配するほどではない」
ハーティはふらつきながら立ち上がった。
おいおい……あれだけの斬撃を食らって立ち上がるのかよ……。
「どこが大丈夫なんだよ!? 早く治療しないと死ぬぞ!?」
「これを飲めすぐに治るぞ」
カイセイはアイテムボックスからポーション出して渡した。
「助かる――おお! 傷口がすぐに治っていく! こんなに良いポーションを渡していいのか!?」
「このくらい大したない。あれだけの傷をつけた責任でもある」
「アハハハハハ! あたいの心配をしてくれるとは、お人好しだな! ますます気に入った!」
ハーティは治り、カイセイと高笑いして会話していた。
まあ、清々しくいるから俺たちが行かなくてもいいか。
それにしてもハーティはワザとカイセイの技を食らっていた気がする。
ハーティくらいの速さなら簡単に斬撃を避けられる。
大体予想つく、本人に聞くまでもない。
どうあれカイセイの勝ちだ。




