76話 素材集め②
休憩を終え――外に出てフランカは家をしまう。
フランカのスキル【マイハウス】は本当に野宿要らずで便利すぎる……。
「次は森の中だ! 魔力反応があるから早く見つけそうだな!」
先ほど料理を自分好みに辛くして食べたからフランカは魔力が輝いて調子がいい。
逆に精霊は……。
「うぅ……まだあの痛さが鮮明に覚えている……」
不調であった……。
「安全な場所で休んでもいいよ」
「大丈夫……マスターと行く……」
「わかった、無理はしないように……」
「うん……」
「ほら、2人とも早く! 時間は待ってくれないぞ!」
森の中に入り――魔力を辿る。
フランカが前衛を入る。
彼女に何か策があるらしい。
奥へと進み――薄暗いところに巣を張って待ち伏せしている大蜘蛛がいた。
Bランクの魔物デススパイダーだ。
大きな牙には毒があり、蜘蛛の糸はワイバーンを防ぐほど頑丈と言われてる。
ただ欠点がある。蜘蛛の糸には魔力が通っており、【魔力感知】を持っている人にとっては身から出た錆状態である。
相手は餌を待ち伏せして周りに糸を張っているがバレバレで意味がない、非常に残念な蜘蛛だ……。
「ここじゃあ、狭いなーもっと広いところにおびき寄せないとな。2人とも多少走るけどいいか?」
「いいよ。フランカに任せるよ」
「わかった」
「いつも助かるぜ! もったいないが巣を焼き払うか――フレイムバレット!」
炎の弾丸は巣に当たり燃え広がっていき――デススパイダーは慌てて地面に落ちてきた。
「ピギイィィィィ――――!」
腹を立てたのかこちらに向かって来る――。
「おっ、来ているな。それじゃあアタイについて来てくれ!」
フランカの後を追い――木々がない場所で止まった。
「ここなら十分な広さだな――ダンナ達は端に離れて待ってくれ。ここからはアタイの仕事だ」
フランカの言う通りに端に待機をする。
そしてデススパイダーが来た――。
「大人しくしてろ――アースバインド!」
足を土で拘束をして――身動きが取れなくなった。
すると、口から糸を吐いた――。
「これを待っていたぜ! ――アースウォール!」
岩壁を創り――糸が張り付いた。
フランカは「アースバインド」を解除し――デススパイダーの近くに行き身体を蹴った。
「メリーゴーランドを楽しんでくれよな!」
デススパイダーは糸をくつけたまま岩壁の周りを回っている……。
「これが糸を効率よく採取するやり方だぜ!」
いや……限度があるだろう。
このまま岩壁に糸が巻き付いて短くなりデススパイダーも直撃するはずだが……あれ?
全然当たらない……むしろ、距離を取っているのだが……岩壁に当たるとわかっているのか……。
『アハハ! 楽しそうだね!』
エフィナさん……あっちからしたら必死ですよ……。
「デススパイダーも糸を切り離せばいいのに、なぜしないのだ?」
『糸は身体と魔力で繋がっているから痛覚共通だよ! それをむやみに切ると自分にもダメージを受けるから危ないと思うよ!』
デメリットしかない……本当に残念な蜘蛛だ……。
徐々に、岩壁は糸に巻かれて白っぽくなり、かなりの量になった。
「もうちょっとだ! 気合い入れろよ!」
再びフランカはデススパイダーを蹴った……。
糸の精製が尽きるまでやるのか……ちょっと可哀想に見えてきたのは俺だけだろうか……。
「そろそろ頃合いかな――ご苦労さん、蜘蛛野郎。今楽にしてやるからな――絶炎!」
「ピギイィィ……」
回っているデススパイダー炎の剣で焼き切った。
「このくらいの量があれば当分は困らなくて済みそうだ! 次でラストだ!」
糸とデススパイダーをしまい、最後はAランクの魔物バジリスクだ。
目には石化させる能力があり、鋭い牙と猛毒を吐いてくる強力な魔物だ。
その強さで試験に適用されてAランクの登竜門とされている。
さすがに素材優先だと時間がかかるはず。
再び大きい魔力辿っていき――洞窟を発見した。
ここにいるな。さて、どうするか。
少し考えてから進むべきか……。
「ダンナに質問。洞窟に入ってバジリスクを探して倒すか。洞窟に入らないでおびき寄せて倒す方どっちがいい?」
「それなら安全確保もしたいし、おびき寄せて倒した方がいいかな」
「決まりだな。魔法を使うから下がってくれ――」
「えっ、ちょっと待って――」
フランカは魔法を使う――。
「――――エクスプロージョン!」
上空から爆撃を洞窟に落とした――。
上級魔法使うのかよ!?
おびき寄せる意味とはいったい……。
「これ……ひとたまりもないだろう……」
「ちゃんと手加減をしたから生きているとは思うぜ」
手加減してこの威力かよ……。
洞窟は見事に崩れて土に還りました……。
その中から地響きが鳴り――地面から大型の蛇が現れた。
バジリスクで間違いなさそうだ。
フランカはすかさず飛び出し――炎を付与した金斧で――。
「悪いが早く帰りたいのでね――――爆滅刃!」
バジリスクの頭を爆撃と共に真っ二つにし、倒れていく――。
「ダンナ! 終わったことだし早く帰ろうぜ!」
笑顔でこちらを振り向き――手を振っている。
……本当に早く終わった……何これ……普通ではありえないのだけど……。
「マスター……私あまり活躍できなかった……」
「いや、比べてはいけないぞ……スピードアリゲーターで活躍したんだから十分だよ……」
「うん……わかった……」
精霊は羽を折りたたみ落ち込んでいる……今後のモチベーションに響きそうだ……。
『フランカがせっかちだからしょうがないよ。次頑張ればいいよ!』
「わかったよ……先生……」
先生? エフィナを先生って呼んでいるのか。
意外だな。
「ほら、2人ともぼーっとしてないで帰ろうぜ!」
「今行くよ」
バジリスクを無限収納にしまい、帰りは時魔法「ヘイスト」を使って街に戻った――。




