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773話 第二試合前①


 闘技場前でロベントスと合流し、中に入った。

 昨日と同じでカイセイと分かれて観客席に座って待つ。


「よし……今日もゴンザレスさんに全賭けしたぞ……。今日勝てば自由になれる……」


 勝つのはわかっているが、ロベントス……完全に中毒ですな……。


「ところで自由って、遊んで暮らせる金がほしいのか?」


「そうじゃない。姉ちゃんと一緒にここを離れるための軍資金がほしいのさ」


 そういえば、初めて会ったときに離れたいとか言っていたな。

 あまり気にしていなかったが聞いてみるか。


「ここを離れたい理由があるのか?」


「言いづらいな……、一刻も早く姉ちゃんと一緒にここを離れて、自由になりたいしか言えない……」


「だが、ここの住民なら――かなり保証されているはずだ。それでもか?」


「それでも離れたいさ。理由はどうあれ離れたいことには変わらない」


「フフフフフ……、もしかして下等生物と関係がありますか……?」


 メアの問いにロベントスは下を向いてため息をつく。


「ラグナロク嬢にはごまかせないか……。そうさ、領主から逃げたいのさ。領主は姉ちゃんをかなり気に入ってしまって……妻にしたいと思っているんだ……」


「フフフ……ありきたりな話ですこと……。ですが……第一試合でかなり儲けた感じがしますが……。それでも足りないというのですか……?」


「実は……姉ちゃんが病気したときに……。領主が治す薬を持っているとか言ってその特効薬の買っていたんだ……。その金を返すために……1粒金貨1枚って本当におかしかった……」


 完全に騙されているな……。

 

「なぜ気に入っている女性にその薬を無償で提供しないのです……?」


「無償だと、お礼として姉ちゃんを妻として迎えるとか言ってきたから断ったんだ……」


「それで薬よりワタクシたちが作ったポーションで治ったことですね……」


「嘘のように治って本当によかった。領主からもらった薬はその場しのぎだったから」


 それでも効いていることはあったみたいだ。まあ、気に入っている女に変な薬なんて飲ますわけないしな。

 けど、ボッタクリなのは変わりない。

 恩を売ってまでキャスリーがほしいようだ。


「フフフ……それで今回で勝てば十分な資金が獲得できると……」


「そうなんだ。だからゴンザレスさんが勝つと信じている。その金で姉ちゃんは領主が追ってこないところに住んでもらって幸せに暮らしてほしい」


 姉のために危ない橋を渡っていたのか。

 幸せを掴むのにはあまりにもリスクが大きいが、ロベントスの問題だから止めはしない。本当にカイセイに賭けてよかったな。


「そんな理由があったなんて……。知らないとはいえ、不適切な発言して申し訳ないございませんわ……」


 その隣で聞いていたサリチーヌは謝罪をする。


「いいんだ。俺は生きるために賭けをしないといけないところまでいってしまったのは仕方ないことだ。これで姉ちゃんが幸せにできるのだったら何を言われてもいいさ」


「そうですか……。では、わたくしのとこに来ませんか? この件が終わって何をするかお父様と相談しますが、どうでしょうか?」


 まさかサリチーヌが誘うとは。そして俺のほうも向く。

 まあ、サリチーヌのとこに行けばベネッタを会わせられるし、都合がいい。


 配慮して言っているのか?


「考えさせてくれないか? ごめん……すぐには判断できない……」


「わかりましたわ。あなたたちの人生ですもの、悔いのない判断をしてくださいまし」


 急に言われても決められないか。多分、キャスリーと相談してからだと思う。


 そして時間が過ぎて闘技場が客で満員となった。


 開始10分前には特等席からクーランドの姿が現れる。

 昨日と同じで俺たちを見下していた。


 勝ち誇った顔をしているが、どこにその勝算がある?


 それはどうでもいいが、ヒロヤとヨイカ、オーストロ夫妻の姿が見えなかった。

 よほど、勝つ自信があるようだ。


「ヒロヤ……ヨイカ……」


 エミカが不安になるのもわかる。アイツが嫌でも渡さないのだったら、強硬手段するから問題ない。


「愚か者……、今日こそ終わりですわ……」


 サリチーヌは夫妻がいないことは気にせず、魔力を出して怒っていた。

 何があろうと絶対に終わらせるから大丈夫だ。


 だが――。


「ゼロ様……、少し面倒なことになりましたね……」


 メア――俺たちは気づいてしまった。選手入場の口からかなり強力な邪石の反応が。

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