772話 団長の勘
少々荒削りな考察だが、まさか当てにくるとは。
勘だけではなさそうだ。
「フフフ……さあ、どうでしょうね……」
「否定はしないんだな。そうなれば勇者に興味があるかわかった」
「なんでプレシアス大陸のやつがいる!? 最近警戒している大陸だぞ! ハーティもっと早く言え!?」
「落ち着け、ただの思っていることを言っているだけだ」
「お前はデンドルフさんと同じで【直感】持ちで絶対に当たる! 落ち着けるわけないだだろ!?」
サムワは後ろに下がり俺たちを警戒をする。
【直感】持ちでもここまで当たるのはすごいぞ。
「そうだとしても、あたいたち危害を加えるわけではない。むしろ、好感を持っているようだけどな」
「そ、そうなのか……。ハーティが言うなら信じるぞ……」
「それで、本当かわからないことをクーランドに言うのか?」
「そんなのどうでもいい。言ってあたいの試合がなくなったらイヤだからな」
試合やりたさで言わないようです。
面倒なことにはならなさそうだ。
「フフフフフ……雇い主に言わなくていいのですか……?」
「あたいは理由があって雇われているだけだ。あいつにわざわざ報告なんてしない」
訳アリなのか。金だけで雇われただけではないみたいだ。
「それはよかったです……」
「だが、よくわからないことがある。なぜ勇者を興味があるのかだ。ただの興味本位でもなさそうだ。あの勇者2人を見たがそこまで強くはない。戦闘要員として使うわけではなさそうだ。また違った理由と思っている。そこだけ気になる」
俺たちの目的まで勘づいているのか。
さすが団長というだけある。
「フフフフフ……どうでしょうね……。ただの気まぐれですこと……」
「まあ、あたいたちには関係ない話だ。ただの戯言だと思ってくれ。あたいからは以上だ」
そう言ってハーティはサムワと稽古を再開する。
言いたいこと言ってスッキリした感じだな。
飲んでいるときに言いたそうだったが、かなり配慮してくれたようだ。
俺たちが戻ろうとすると――。
「言い忘れたが、お前たちの素性関係なくゴンザレスは諦めないぞ」
やはりカイセイのためでもあるか。
これはカイセイのおかげで命拾いしたようなものと言ってもいい。
――――◇―◇―◇――――
――翌日。
朝になり外を確認すると――設置されたテーブルやイスが片づけられて傭兵たちはいなかった。
ハーティが言った通り帰ってくれた。しっかり約束を守ってくれるとは。
念のためにセイクリッドに見張りを頼んでいたが、酔いが覚めたやつと談笑するほど仲が良くなって、何事もなく帰ったと言っていた。
本当にただ楽しんで帰っただけでした。
だが、対戦相手なのは変わりはない。
カイセイはすでに鎧を着て準備万全である。
「今日こそ終わりにして告白をする……」
また昨日と同じフラグを立てる……。
「昨日は変更だったのは仕方ない。絶対に暴力少佐に勝ってくれ」
「俺たちの命運がかかっている頼んだぞ」
ジャントとデフィーは変わらず期待をしていた。
ちなみにこの2人は昨日から交代しないでここの専属の監視となった。
それもそのはず、メアがいるところに誰もベネッタを監視なんてしたくないだろう。
まあ、2人はトリニッチさんとも仲良くなって、ただ楽な仕事になっただけだろうな。
「そうそうゴンザレスちゃん、ハーティちゃんに気をつけたほうがいいわよ〜」
「心配しなくとも俺は大丈夫ですよ」
「そうじゃないわ〜。まだわからないからいいけど。そのうちわかるから楽しみにしといて〜」
そう言ってトリニッチさんは手を振って見送ってくれた。
意味深な発言はするな。
大体は予想はつくが、カイセイとっては困ることである。
「フフフフフ……楽しみですこと……」
メアさん、また楽しみが増えてよかったですね。




