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755話 ご令嬢の推測


 再びディングラに戻り、ロベントスと合流をする。

 このあとは――。


「やっと観れる〜!」


 ルチルはテンションを上げて飛び跳ねていた。

 待ちに待った闘技場の観戦だ。喜んで当然だ。


 まあ、内装を確かめる必要があるしな。


 都内を歩くと、周囲の人は俺たちを見てざわついていた。


「やっぱり噂が広まっていたか。早すぎる」


 ロベントスは大きくため息をつく。

 それほど注目の的になったということか。

 

 いや、クーランドがワザと広めているのかもしれない。

 今回の大目玉として盛り上げて、多くの人を賭けさせるために。


「わたくしたちを金にしか思っていないのは残念でありますわ……」


 それは仕方ないことだ。クーランドに挑戦するのに絶対に避けられない。

 サリチーヌこの状況に慣れていないのもある。

 サリチーヌはいいとして、メリアルは目が回って大混乱している。


 周りに見られて歩くのは厳しいか。イエンクと一緒に戻ったほうがよかったかもしれない。


「フフフ……みなさん……せっかちですこと……」


「さすがナイトメアさん、噂されても物怖じしませんわ。メリアルも見習って慣れてくださいまし?」


「むむむむむ、無理です! 周りに見られるのは慣れません!」


「じゃあ、今から戻ります?」


「いいえ、しません! わ、私はお嬢様のメイドですから、戻りません!」


 意外に頑固な面がある。それほど恩があるみたいだな。


「では、ここにいる間は我慢してください」


「は、はい!」


 メリアルは甲高い声で返事をする。

 本当に大丈夫か?


「だったら、落ち着くまで宿屋にいたほうがいいぞ。これから闘技場に入るからそれ以上に注目を集まるぞ?」


「人見知りにはつらいですわね。では、今日のところはお戻りになってゆっくり――」


「いや、やめたほうがいい。宿屋でメイド1人にしたら、アイツらに攫われる可能性がある」


「不吉なことをいいますわね。あの愚か者は期間中に手出ししないと言っていましたが? すぐ見つかってしまう愚行はさすがにしないと思いますわ」


「口約束だから信用できない。契約書もないのは普通におかしいことだ。俺たちは敵地にいることを忘れないでくれ。敵地で護身術を習っていない子を1人にするのは危険だ。大変だと思うが、一緒に行動したほうがいい。」


「深みのある言葉ですわ。確かに、敵地にいることを忘れていました」


「フフフ……ゼロ様の言う通りです……。何かあっては大変ですので、一緒がいいかと……」


「私も大将の言う通りだ。体調を悪くした者を1人にしてはいけない。それに、ここまで情報が早いと、すぐにあいつらの耳に入る。油断はできない」


 ファントムも俺に賛同する。

 まあ、村でいろいろとあったから、わからなくもないか。


「おふたりが言うのであれば。そうします。メリアル、つらいでしょうが、我慢なさって」


「は、はい……」


「よろしい。それにしてもゼロさん、あなたは何者です? それに関しては用心を怠らないのは、普通の貴族ではありません。まさか――なるほど、わかりましたわ」


 なぜかサリチーヌ1人で納得していた。


「俺たちの素顔がわかったのか?」


「えぇ、立派な護衛がいるとなると、間違いありません――あなたたちは傭兵団を率いているとわかりました。そうでないと、ここまでする必要はありません。大将と言われてわかりましたわ。これ以上、模索はしませんので、ご安心を」


 そういう考えになるか。俺としては全然問題ない推測だ。

 これ以上言うと、ロベントスがクーランドに言ってしまいから配慮しているのか。


「ご想像にお任せするよ」


「否定はしないのですのね。わかりました。そう思っています。ところで……」


 サリチーヌはロベントスを睨みつける。そういう方向に進めたから無理もないか。


「ち、違うぞ!? 俺はただ気を遣っただけだ! 信じてくれよ!」


 ロベントスの言っていることは、本当だと思う。

 嘘をつくようなやつには見えない。


 本当に嘘をつくなら少し黙り込むタイプなのはわかっている。

 そう思いながら、闘技場に着いた。

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