表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
753/920

747話 偵察の信頼


「その前に……、領主に会わせてもらえないでしょうか……? この子――オーストロ家のご令嬢が、お話をしたいと……」


「オーストロ家……その子があのご令嬢か!? これは大変なことになった……。悪いことは言わない、領主に会わないほうがいい。普通に帰れるとは思えない」


 兵士の耳まで話が入っているのか。兵士が止めてくれるほど、かなり深刻みたいだ。


「それは困ります……。このワタクシも……話し合いをしたいのです……」


「ラ、ラグナロク嬢が領主とお話に!? もしや……革命が起きるかもしれない……。わかった、俺が案内する。その代わり、賭けるときは絶対に誘ってくれよ!」


 革命って……メアってそこまで影響があるのか……? この短期間でいったい何をした……?

 まあ、領主に会えるならなんでもいいか。


「フフフフフ……わかりました……。絶対に約束は守りますこと……」


「よっしゃ! これで俺はこことおさらばできる!」


 兵士はガッツポーズをして大喜びだ。普通なら味をしめてどんどん賭けてここに一生居座ると思うが、この兵士、裏事情を知っているようだな。


「悪いが、この馬車だと大きすぎて、領主の屋敷まで通れない。徒歩だと1時間以上はかかるから、俺がほかの馬車を用意する。ただ、大人数は入れないから、行くやつを決めてくれ」

 

 そこまでしてくれるのはありがたい。

 少人数で行くのなら、俺も同行したほうがいいが、今回は監視用の魔道具のせいで【隠密】が使えない。

 今のところ軍の連中にはあっていないが、変装もしないで同行するのはさすがにマズい。


 報告を待ったほうがいい。


「ということで……、ゼロ様……こちらを……」


 メアは無限収納から舞踏会で着用する黒い仮面を俺に渡す。

 これを付けて同行しろと……。


「これ付けて行くと怪しまれるぞ……」


「こちらの婚約者はディングラは初めてか? 仮面を付けて歩くのはここでは普通のことだ。お偉いさんが賭けで負けたとき恥を晒したら、笑われ者になるだろ? 仮面を付ければ、どこのお偉いさんなのか、わからなく尊厳を守ることができる。だから怪しまれなくて平気さ」


 意外にプライバシーは守るのですね……。

 そういうことなら仮面を付ける。


「フフフフフ……お似合いですこと……」


 メアは妖艶な笑みでうっとりしている。

 俺には、慣れなくて違和感がある……。

 いくら仮面を付けても軍の奴らにはわかる奴にはわかる。

 多少はバレなく済む程度で、できるだけ近くに行くのは避ける。


「アイテムボックス……ラグナロク様……あなたはいったい……?」


「フフフ……ちょっとすごい貴族だけなことです……」


 いろいろと見せれたらサリチーヌも驚くのは当然だ。


「ちょっとだけではないぞ! 俺はラグナロク嬢についていけば絶対にいいことがある。俺の勘はそう言っている……」


 この兵士、メアに手玉に取られていますね。

 それもそうか、勝ち情報を教えれば、メア英雄そのものだよな。


 うまく利用していることで……。


「フフフ……では、サリチーヌさん、申し訳ございませんが、使用人の方は待機させてください……。その代わりに約束通り護衛をついてもらいます――ゴンザレス、あなたが来なさい……」


「えっ……、俺?」


「あなたに決まっていますこと、ゴンザレス……ほかに誰がいるのです……」


 カイセイを指名するのか? だったらガタイのよい、セイクリッドがいいと思うが。

 というか、カイセイを見て急に偽名で呼ぶのは、無茶ぶりをしますね。


 ほかに指名をすることなく、馬車――馬を預けるため厩舎のとこで待機させることにした。

 俺たちは兵士――水色短髪の青年ロベントスが用意した馬車に入り、領主がいる屋敷に行く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ