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746話 訳アリのご令嬢③


 メアが断るくらいなら何か裏でもあるのか?

 この2人は全く嘘をついているわけでもないが。


「そうですわよね……。いきなり赤の他人に護衛をお貸しするなんて無理な話しで――」


「何を言っているのです……? 護衛は貸すことはしませんが、このワタクシが一緒についていきます……」


 そういうことかよ……。メア直々に行くってことか……。

 その発言に2人は呆けた顔をする。


「では……、ナイトメアさんが一緒に来てくださるなら、護衛の方もついてくるのですか?」


「そうですこと……。ですが、大人数で行くと警戒されるので……、1人だけですけど……」


「あ、ありがとうございます……。殿方とお遊びに行っているのに……わたくしたちのために時間を割いて……本当にありがとうございます……」


「ありがとうございます……ラグナロク様……」


 2人は涙を流しながら頭を下げてお礼を言う。


「ウォォォォ――! お嬢、よかったなぁぁぁぁ――――!」


 御者をしている執事のイエンクが大号泣していた。


「イエンク、少し声を抑えてくださいまいし! 周りに迷惑ですわ! 申し訳ございません……お見苦しいところを……彼は執事になったばかりですので大目に見てください……」


「いえ、お気になさらず……。執事の方はサリチーヌさん思いですね……」


「そうですわね。イエンクは幼いころから一緒にいましたし家族同然ですわ。もちろん、メリアルもよ」


「お嬢……、孤児だった俺を優しく迎えてくれた恩がある……。オーストロ家に一生ついていく決めているから当たり前だ……」

「お嬢様……私もです……」


 2人はしんみりになる。なるほどまだ幼いと思ったら、孤児の2人だったか。

 恩を返すために使用人になったと。


「フフフフフ……よい絆ですこと……。そう言っているうちにワタクシたちの番になりました……」


 なんだかんだ、行列に並んでいたのに、門の近くまで来た。


 俺たちの番になり、軽装の兵士が2人の向かってきた。


「かなり豪華な馬車だな。ここまで大きいと中まで調べさせてもらう。悪いが、中にいる者は外に出てくれ」


 さすが素直に簡単に通してくれないか。

 仕方なく俺たちは外に出ると――。


「あ、あなたは! ラグナロク嬢ではないか!? こ、これは失礼!」


「フフフフフ……、ご機嫌よう……また来ましたわ……」


 兵士はメアを見ると、急に慌てだし頭を下げた。


 …………はい? メア……【隠密】で行動していなかったのかよ……。

 しかも門番が知っているなら最初から使わないで中に入っていたか。


 というか、かなりの慕われよう……何をした?


「本当にまた来るとは思わなかった。今度はかなりの人数で……」


「フフフフフ……婚約者と遊びにお忍びで家を出ていこうと思いましたが……護衛に見つかってしまいそれで……大人数でとなりました……」


「そうだったのか! じゃあ、今回も……」


「気が向いたらします……」


「そのときになったら言ってくれ! ラグナロク嬢の賭けは絶対に当たるからな。頼む!」


 賭けって闘技場で金を賭けていたのかよ……。

 その賭けた金って――。


『まさか、ゼティスたちの金を使っていないよな?』


『フフフフフ……そのまさかですよ……。おかげでさまで……勝ち金が倍以上になりました……』


 やはり使ったか……。


『約束を破るなよ……』


『申し訳ございません……。ですが、絶対に勝つ見込みがしか賭けませんでしたので……そこだけはご理解を……』


『勝ったなら注意だけだが、ゼティスたちの持っていた分は俺が預かる』


『わかりました……。お詫びに勝ち金の一部をお渡しします……』


 まったく……本当に困ったな……。もしかしてゼティスたちの軍資金を増やすためにやったのか? まあ、増えたら増えたらそれはいいけど。 

 ただ遊びに言ったわけでもないし、今回は大目に見る。


「フフフフフ……いいでしょう……」


「ありがとう、ラグナロク嬢! さぁ、どうぞ中へ――」


 まさかメアが問題ないっていっていたのは、周りにコネをつくっていたからか。

 都内を自由に行動しやすくするために、俺たちも動きやすいように。


 ここまでやってくれるのは、大いに助かる。

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