表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
740/919

734話 偵察が終わるまで⑮


「て、天使を危ないところに連れて行けない!? クエス、みんなと一緒に待っていてくれ!」


 ヤーワレさんは顔を真っ青にして慌てて言う。


「ヤーワレさんの言う通りだ。俺たちに任せて待ってくれ。絶対に助ける」


「みなさんの邪魔はしません! お願いです……一緒に連れて行ってください……」


 この目で確かめたい気持ちがわかるが、相手は姑息なマネをする奴らだ。

 邪魔をしないとは言っても、クエスが狙われる可能性もある。


「別に連れっててもいいんじゃね? まだ幼いが魔力はそれなりにある。自分の身を守れるくらいはあるぞ」


 意外にヴェンゲルさんは反対しない。強さは問題ないってことか。


「何を言っているグランドマスター!? どんな理由があってもかわいい天使を連れて行くわけない! 虐待だ!」


「そうか? レイなんてこのくらいにときに強い魔物を普通に倒していたぞ」


「いや、俺と比べるのは困ります……」


「なんという畜生だ!? 子どもを戦場に向かわせるのと同じだ!」


「はぁ……、お前も少しは坊主を信じたらどうだ? そんなに俺の話が信用できないのなら俺も一緒に行く。坊主の面倒は俺が見る」


 ヴェンゲルさんがそこまで言うのなら俺はいいか。


「そ、それでもダメだ。これ以上、天使を巻き込ませてはいけない!」


「過保護になるのはやめろ。坊主は覚悟を持って行くと言っている。それを無駄にするのは坊主の成長の妨げになる。一度だけワガママを聞いたらどうだ?」


「ぐぬぬぬ……」


 ヤーワレさんは断固反対のようだ。


「アニキ、このまま揉める時間なんてありません。俺もついて行きやす。だから今回だけはクエスを尊重させてくせい」


「ぐぬぬぬ……わかった……、クエス……今回だけだぞ……」


「ありがとうございます!」


 ヤーワレさんから折れたのは珍しい。まあ、本当に揉めている時間なんてないしな。


「ソウタ、精霊たちはどこに行っているかわかるか?」


「確認する――大きな川を橋で渡っている最中だ」


 もうすぐで工房都市――エワイエンと騒動が起きたオンオルの分かれ道に向かってしまう。エワイエン方向に行ってしまったら空間魔法でも移動はできない。


「時間がありません! もう行きますよ――」


 俺は急いで空間魔法でみんなを分かれ道のほうに移動させる――。


 ――移動すると、数kmくらいに馬車――邪石の反応とソウタの精霊たちが向かっているのがわかった。ちょうどいいタイミングだ。


「よくもかわいい天使2人を攫ったな……。覚悟しろよ……」


 ヤーワレさんは気づいて膨大な魔力を出している。

 怒る気持ちはわかりますが、敵に思いっきりバレますよ……。


 遠くから3台の馬車が見えてきた――だが、俺たちは気づいているはずなのに止まらずに向かってくる。

 ただバカなのか、それともかなりの自信があるかのどっちかだ。


 まあ、前者だと思うけどな。

 ファルファとチャムが乗っているのなら怪我なく止めるだけだ――。



「――――シャドウチェーン!」



 俺は闇魔法で無数の影の鎖を地面から出して、向かってくる馬車を捕られて動けないように空中で縛りつける。



「――――のわぁぁぁぁ!?」


 勢い余って馬車から、頭に邪石を付けた軽装のエルフが出てきて地面に落ちてきた。

 見覚えると思ったら、ド変態(スール)信者じゃないか。


 やはり、帝王側についていたか。だが、本拠地でもある帝都にはいなかったが、そこが疑問ではある。


 まあ、捕まえて聞けばいいだけか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ