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72話 帰ってもいろいろと大変①


 夕方になり――カルムに帰って来た。

 みんなフランカを受け入れてくれるだろうか……。


 城門前で早速問題が起きた……。

 門番のニーマさんがいる。


「おかえりレイ! 成人していろいろと忙しいじゃないか! ゆっくり休めよ!」


「ただいま、ニーマさん。そうしたいと思います」


「ところで……見かけないのがいるが……冒険者か?」 


 まあ、そうなるよな……。


「アイシスの知り合いです」


「メイドのねーちゃんの知り合い? まさか……賢者と知り合いなのか!?」


 はい、早速面倒事が起きました……。


「おお、そうだぜ! アタイは賢者の近所に住んでいたからな!」


 結局その言い訳になりますよね。


「やっぱりそうか! これは大変なことになりそうだ! ようこそカルムへ、ゆっくりしてくれよな! ドワーフのねーちゃん!」


「ありがとな!」


 これはすぐ噂されそうだ……。


 ギルドに精霊を迎えに行く――。


「ただいま戻りました」


 その声で精霊が飛んで来て――顔スリスリしてくる。


「ハハハ……ただいま元気だった?」


 首を振って顔膨らしてる、これ何かあったな。


「無事でよかったわ……おかえりなさい、2人とも。あらその子は誰かしら?」


 あっ、マズいな……リンナさんはフランカを受け入れてくれるのかな……。

 アイシスと同じにならないければいいのだが……。


「私と同じ賢者様の弟子のフランカでございます。途中で合流しました。この街に住みたいと申しております」


「へぇ~そうなんだ~」

 

 フランカに近づいた……嫌な予感が――。


 2人は見つめ合い――お互い勢いよく握手をした。

 …………あれ? 何も起きないぞ……。


「気が合いそうね! 私はリンナよ、よろしく!」


「同感だ! アタイはフランカだ! よろしくな!」


 なぜか意気投合している……。


『女の友情は素晴らしいね~』


 まだ初対面だぞ!? 友情も何もないが……。


 とりあえず修羅場にならなくてよかった。

 ほかの問題に精霊が顔を膨らしてままであることだ……。


「あの~精霊に何かありましたか? ご機嫌斜めですが……」


「バカアニキがずっと精霊ちゃんを追っかけいたのよ……呆れたわ……」

 

「ずっとって……まさか依頼を受けずにですか……?」


「そうよ……おかげで受付の仕事が集中できなかった……はぁ~あんなにしつこいとは……エルフとして恥だわ……」


『あの残念エルフ……バカなの? ストーカーじゃん』


 珍しくリンナさんがため息をついている。そんなに酷かったのか……。

 さすがのエフィナも堪忍袋の緒が切れましたね。


「その張本人は今どこに……」


「安心しろ、空き部屋で職員たちが説教をしている。全く、仕事が進まなくて周りに迷惑かけるとは困った奴だぜ……スールはバツとして当分はSランク試験を受けさせないでおく」


 ザインもため息をつきながら来た……ギルド運営まで影響したのかよ!?

 何やっているのだスールさんは……。


「まあ、それはさておき、レイと嬢ちゃん依頼お疲れさん。無事でホント良かったぜ! ゆっくり休めよ! そこのドワーフの嬢ちゃんはノズカッテから聞いているぞ! ドワーフ式決闘で余裕で勝ったとはな! もしかすると伝説の鍛冶師とか言っていたな! ハハハ!」


 そこまで言っていたのか……。


「あのギルマスも目がいいな! そうさ、アタイは賢者から鍛冶を学んできたからそこら辺の鍛冶師よりは腕がいいぜ!」


 もう既にフランカは賢者の弟子設定になっているのだが……いろいろとツッコミたい……。


「やっぱり嬢ちゃんも賢者の弟子か! ってことはこの街に住みたいのか?」


「ああ、そうだぜ! 賢者にいろいろと世話になったから息子さんに恩返しをしないといけないからな!」


「そうか、自己紹介がまだだったな! 俺はここのギルドマスターのザインだ! よろしくな! それとミランドに報告しないと。レイの身内ならすぐに在住許可証が発行するぜ!」


 コネってすごいですね……ありがたいけど。


「助かるぜギルマス! アタイも紹介させてくれよ! アタイは賢者の弟子で鍛冶師のフランカだ! よろしくな! ダンナが世話になったから武具の1つや2つ作るぜ!」


「おお、そのときはよろしくな!」


 お互いに握手をしてトントン拍子に話が進んだ。


「鍛冶師なら私の剣を見てほしいわ! ちょっと待ってて、すぐ持って来るから!」


 リンナさんはすぐ受付の奥に走って行き――竜の剣(ドラゴンソード)を持って来た。

 早速ですか……。


「どれどれ…………魔力が通しづらいな、これだと過剰に魔力を出さないと安定しないぞ」


「そうなのよ。まあ、私が扱えるから問題ないけど」


「いや、竜系の素材は魔力を通しづらいのはわかるが、これは酷すぎる。アタイが改良してもいいか?」


「いいの!? けど費用がかかりそうね……」


「お代なんて取らないぜ! ダンナがお世話になったから平気だぜ!」


「やった! ありがとう! 誕生日も近いから嬉しいわ!」


「誕生日? いつなんだ?」


「5日後よ!」


「それはおめでたいな。じゃあ、その日までに改良させるから楽しみにしてくれ」


「ええ、楽しみにしてるわ!」


 危ないリンナさんの誕生日忘れるところだった……。

 プレゼントの用意をしているから大丈夫だが。


 なぜかリンナさんは俺をチラチラ見ているのだが……。


「たまには屋敷でお祝いしたいな~」


 そういうことですか……予定も何も入っていないしいいか。


「わかりました。俺の屋敷で祝いますよ」


「やったね! ありがとうレイ君! その日は休みだから朝早く行くね!」


 これはご馳走も用意しないと。

 

 さて、今日は遅いから食堂で夕食でも摂ろうかな。

 フランカの自己紹介もかねて。


 食堂に行こうとすると2階から勢いよくスールさんがこっちに向かって来た――あっ……マズいな……。

 精霊はこの世の終わりみたいな顔して震えている……。

 タイミングが悪い……。


「レイ、アイシスさんおかえりなさい! 私が精霊さんを面倒見ていました! そのお礼に精霊さんをお借りして――ぶへっ!」


 リンナさんはスールさんを裏拳で思いっきり吹っ飛んでいった――さすがの俺もドン引きだ……。


「このバカアニキ! 懲りないわね!」


「全く……精霊の世話したではなく迷惑行為の間違いだろう……誰かスールを運んでくれ」


 職員が伸びているスールさんを別の場所に運んで行った。

 もう極力精霊とは関わせないようにさせよう。


 精霊はまだ震えて……泣いている……限界だったか……。


「もう大丈夫だから……安心して……」


『あの残念エルフ精霊を泣かすなんて最低な男だ! レイ、精霊は身も心もボロボロだから魔力あげてね』


 確かに精霊の魔力が安定はしていない。


『前と同じやり方でいいか?』


『そうだね。でも今回は強めにあげてね。殻に閉じこもっている感じだから』


 そこまで酷いのか……あとでスールさんに慰謝料としてマナポーションを大量に請求させてもらおう。


 精霊を手のひらに乗せ――魔力を注いだ。


 精霊の魔力が元通りになった。

 うん、順調だな――って眩しいな!?

 辺り一面が緑色の輝きに包まれ――収まった。


 魔力の二分の一消費した……精霊は……あれ?

 また大人っぽくなりましたね……。


「うぅ……もう残念エルフは……嫌だ……マスターとずっと一緒いたい……」


「えっ、えっ……精霊ちゃんが……」


「「「しゃべった!?」」」


 これはいろいろと大変になりそうだ……。    

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