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724話 偵察が終わるまで⑤


「3人を救えるとして魂を乗っ取られた子は救えるかわからないぞ? まだ魂が定着していないとはいえ、完全に自分のものになるのも時間の問題だ。というか、どうやって魂を身体から引っ張り出すのさ?」


「そ、それは……わかりません……。レイさん……方法はありますか……?」


 結局、俺に頼るしかないのか……。

 はぁ……仕方ない……。最後のお願いだと思ってやるか。


()()()()()()が、ぶっつけ本番だぞ。それでもいいならやるが?」


「本当ですか!? ありがとうございます!」


「まだ決まったわけではないぞ。仮に魂が定着したらどうする? 死刑は逃れないぞ? あと完全に協力者を殺めた2人もどうする?」


「伊佐木と池垣ですか? できれば牢屋で一生の反省したいのが本音ですけど……やることは変わらないです! 自分でしたことをわかってほしいので、俺たちで止めたいです!」


 揺るぎはしないか。はぁ……誰かさんと同じで優しいな。


「俺が一概には言えないが、できるだけのことはする。もし、捕まえて死刑宣告になったら目をそらさずに受け止めろよ」


「今は受け止めることはできませんが……。逃げることはしません。委員長として責任を取ります」


 委員長がやる責任ではないのだが……。

 けど、嫌でもそのときが来る。つらいが、受け止めないといけない。


 あと問題なのが――。


「これだけは言っておく。このままヨシマツたちを戦争連れて行くことができない。戦闘経験がない者に戦争参加なんてあまりのも無謀だ。というか、戦闘スキルを持って知っているのはヨシマツとケイトだけだ。あと、邪石の力で無理やり強化されている。そんな奴と互角に戦えるわけがない」


「「「うっ……」」」


 正論を突きつけると。ヨシマツたちは胸に矢が刺さったかのように反論できなかった。

 たとえ、優遇されたスキルを持っていても過信してはいけない。下っ端の帝国軍ならギリ戦えるが邪石付きの勇者なんて雲泥の差だ。 


「それでだ。ヨシマツとケイトは死ぬ気で特訓をしろ。2人には特別に先生をつける。俺又は先生の了承を得るまで戦場には行かせない。ほかは【鑑定】してもらったカイセイから聞いて判断する。それでいいな?」


「「「はい!」」」


 まだ決まったわけではないのに、いい返事をするな……。


「これから忙しくなるぞ。今日はゆっくり休め」


 こうしてヨシマツは客間から出ていった。


 …………はぁ……、これから忙しくなるのは俺のほうか……。

 もう少しゆっくりできると思ったが、ダメなようだ……。

 まずは特訓の先生だ。ケイトはウルマにお願いをしてみるか。

【豪力】と鍛えられた肉体を持っているなら格闘士(ファイター)の素質がある。気にかけていたデムズさんにお願いしようと思ったが、あっちで忙しく無理だからな。

 

 問題はケイトのほうだ。 重戦(タンク)なのは決まっているが、誰にお願いするかだ。

 ロードに頼もうと思ったが、過保護になって教えるのが遅くなりそうだからな……。逆に心配されるからやめておく。

 ならガルクに頼もうと思ったが、教え方が壊滅的なんだよな……。ケイトが身体で覚えるほうなら頼めるが、細かいことも教えたい。助手としてならありか。

  ほかに――聖国騎士の中に重戦士がいるからお願いすれば引き受けてくれると思うが、ちょっと力量不足だ……。

 

 せめてベヒーモス――ベヒジャミの突進を受け止めてくれるくらいの人にお願いしたい。

 ……やはりあの人しかいないか。魔道具(通信機)相談してみよう――。


 ――これでよしと、あとはムロナクに聞いてみるか――。


 領地外の森でコトハとナノミで【隠密】を使ってかくれんぼしていたところ、中断させて聞いてみた。


「まさかあの2人も乗り移ったのですか……。えぇ、知っていますよ――」


 ムロナクの話だと、老婆は中将――キャンメラ・へラルは、一時的に人を従わせるスキルを持っているという。あと、好みの男がいれば、無理やり従わせて襲ってしまう――老いてもそこ知らずという。


 老爺は大将――ノンダリ・エリックランは、若い頃にSSSランク級の魔物を、1人で出向いて素手1本で倒したと帝都で伝説となっているようで、ムロナクでも未知数な存在だという。老いぼれても、強さを隠しているという。


 2人ともかなり厄介だな。というか中将……ある意味やばすぎだ……。

 やりたい放題だな……。若い身体を手に入れたから余計に……。

 まあ、俺たちくらいなら効かないし問題ない。

 気になるのが大将である。SSSランクを素手で倒せる実力は今はないと思う。

 若さを手に入れても、本来の身体じゃないから本領発揮できない。


 邪石を付けてもそこまではなかった。2人の勇者を警戒したほうがいいくらいだ。

 とりあえず素性を聞けたことだし、俺たちにはなんも問題ないことがわかった。


 そう、俺たちは……。

 中将のスキルは戦争ではチートスキルだ。従われたら終わりだ。

 いくら魔王軍が強くても、同士討ちされたらマズい。


 …………これ、俺たちも参加しないといけないでは?


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