表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
728/920

722話 偵察が終わるまで③


 侯爵の屋敷に到着し、門番をしている騎士に客間に通される。

 しばらく待っていると、侯爵とソウタが入ってきた。


 先に2人に帝都で起きたことを詳しく説明した。


「なるほど、そのうち帝国の動きが活発になりそうだ」


「本当に申し訳ございません。大変なことに巻き込んでしまって……」


「いや、謝罪はなしだ。これも我輩たちがやるべきことだ。気にするでない」


「そんな簡単に救出なんてできないぞ。あとは俺に任せろ」


 2人とも不満も言わなかった。いつでもいける準備はできているようだ。


「ではお願いします。ところで、メデアコットの状況はどうなっているかわかりますか?」


「メデアコットは俺とプロミネンスたちで【隠密】を使って少しだけ中に入ったが、慌ただしいことはなかったぞ。今はプロミネンスたちが潜り込んで情報待ちだけどな」


 ソウタたち……メデアコットに入ったのか……。

 まあ、ソウタと精霊くらいになればバレはしないか。

 というか精霊だけで大丈夫か?

 幹部あたりが来るとすぐバレてしまいそうだけど。


「そうなのか。今は大丈夫と思うが、早めに精霊たち引き上げたほうがいいと思うぞ。安全第一だ」


「そこはわかっているさ。けど、すぐ飛んで戻ってくるから何も問題はない」


 いや、飛べるからの問題ではないが……。俺たちと違ってすぐに戻れないぞ……。

 精霊がヘマはしないと思うが不安である……。


「我輩たちのことは心配しなくともいい。それよりも……民が心配である……。もし、戦争になったらた民を安全なところに避難の手伝いをお願いしたい」


 当然、一般市民を巻き込むことはしない。

 避難――誘導してくれる人を確保したいはずだ。 


「わかりました。協力します」


「感謝する。それと、いろんなところを見て、エルフはいたか?」


「いえ、人間しか見てません」


「そうか……。はぁ……本当にどこに行ったんだ……」


 侯爵は深いため息をついた。

 俺もどこかしら脱走したエルフを見つられると思ったが、そうでもなかった。

 おそらく違う場所で隠れている可能性がある。


 これだと先になりそうだな。


 こうして2人との会話が終わった。

 辺境伯はいろいろと話したいからと翌日迎えに行く話になって領地に戻った。


 昼過ぎは屋敷で和室でエメロッテと一緒にお茶を飲んでゆっくりしていたところ。

 ヨシマツたちが相談したいと、屋敷に来た。


 相談か、もうやりたいことが決まったのか? 

 とりあえず和室に通してた。緊張しているところに抹茶と羊羹を提供して落ち着かせる。


「ここはなんでもあるんですね……」


「ある程度はな。まあ、日本人にとってはかなり住みやすい環境だと思う。何か気になることがあれば改善するが?」


「とんでもございません! こんな良くしてくれるのは大変ありがたいです」


「そうか。それで、相談したいことはなんだ?」


「あの……俺たちを自立するまでレイさんの領地――このユグドラシルに住ませてくれませんか……? 迷惑だと承知しております! どうか検討をお願いします!」


 ヨシマツたちは深く頭を下げた。自立って、この世界に住むと覚悟したようだ。

 本当はかなりつらいと思う。苦渋の決断だっただろう。


「いや、別に迷惑だとは思っていないぞ。自立して俺の領地に出ていく必要なんてないぞ。好きなだけいていいぞ。だが、前にも行ったが、領地の手伝いをしてくれたらでいい。もし、やりたいことがあるなら援助もする」


「あ、ありがとうございます! よかった……」


 ヨシマツたちはホッとひと安心する。だが、急に真剣な顔になった。


「それと、ほかにもお願いがあります! これだけは一生のお願いです!」


「一生って、それはなんだ?」


「俺たちを戦争に参加させてください!」


 そうきたか……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ