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721話 偵察が終わるまで②


 ――翌日。


 王城に行き、デムズさんと辺境伯を空間魔法(ゲート)でアスタリカの冒険者ギルドまで送った。


 ギルドの中に入ると、ジェリックが俺たちに気づいて階段に上がった。

 そしてヤーワレさんと一緒に下り――。


「大バカ野郎!」


 ヤーワレさんはデムズさんと辺境伯に向かって拳を構えて殴りにかかろうとする。

 しかし、デムズさんは避けることなくそのまま顔面を殴り、出入り口のドアを破壊して吹っ飛んでいく。かなり力を入れたな……。


 だけど、2人は何気ない顔をして立ち上がった。

 そしてまた殴りにかかろうする。

 

「アニキ、それ以上はダメですぜぇ!」 


「うるせぇ! 俺はこいつを殴らねぇと気が済まねぇ! 英雄たちの分を!」


 子分――ジェリックたちが押さえつけて止めようとするが、全員振り払ってデムズさんに近寄る。


「そのくらいにしとけ。この2人が囮にならなければ脱出できなかった。命がけでここまで送ることができたんだ。もうよせ」


 ヴェンゲルさんが呆れながら言うが階段から下りてきて、ヤーワレさんの拳を掴む。


「止めないでくれ! まだ一発しか殴ってねぇ!」


「何発殴ろうが、亡くなったやつは帰って来ない。今は、落ち込んでいるやつに顔を合わせたほうがいい。2人の心配をしていたしな」


 ヤーワレは自分を落ち着かせようと歯を食いしばり、地面を拳で叩いた。


「はぁ……はぁ……。わかった……グランドマスターの言う通りする……。だが、許したわけではねぇからな!」


「それでいい……私の責任だからな……」

「俺もだ……」


「たく、久々の再会がぶん殴りとか刺激が強すぎる……。とまあ、無事で何よりだ。身体がボロボロだと思ったが、元気そうだな」


「これは子爵殿が治してくれた。厳密に言えば時間を戻したと言ったほうがいいか」


「時間を戻す? はぁ!? 時魔法ってそんなこともできるのか!? レイ、そんな魔法覚えていたのか!?」


「いえ、エフィナに教えてもらっただけですよ……。一度使ったら当分は使えないですけど……」


 普通ならあり得ないチート魔法だった……。さすがに自然に覚えたは言えない……。


「あの英雄様が? なら納得だ。 しかし、そんな特大な魔法はよく覚えたな」


 ヴェンゲルさんにもエフィナを英雄呼びになったのか。

 まさかエフィナ、俺がいない間にアスタリカにも来ていたか。


「ハハハ……たまたまですよ……」


「そんなことより、よくやったなレイ。よく帝国に侵入して救うことができたな」


「本当なら見つからずに戻れたはずでしたけど……」


「まあ、2人を救出したならそれでいいじゃねえか」


「そのことですが、アスタリカで何か動きはありましたか?」


「今のところないぞ。帝国側はまだ慎重に判断しているかもしているかもな。詳しくことならシュニットに聞けばいい」


「そうさせてもらいます」


「じゃあ、俺も行くか。今日のところは何も聞いてないしよ。2人もみんなに挨拶したらシュニットにも挨拶しろよ。ジェリック、悪いが頼んだ」


「へい、任せてくだせぇ!」


 俺とヴェンゲルさんは2人をジェリックに任せて侯爵の屋敷に向かう。


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