表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
726/919

720話 偵察が終わるまで①


 メアに念話でどこにいるか聞いてみると――。


『フフフフフ……プライベートなので秘密です……』


 偵察にプライベートもあるか……。

 答えてくれないならいいや。


 夜になると、シエルだけが戻ってきた。

 汗ダラダラで息が荒かった。


「はぁ……はぁ……ずっと急かされて疲れたのじゃ……。妾をもっと丁重にに扱ってくれぬか……」


 これは休憩を挟まずに進んでいたようだ。

 どれだけ偵察を楽しみにしている……。


 メアが戻ってこないなら、話が進まない。

 メアの気が済むまで待つしかないか。


 その間にムロナクに決闘都市のことを聞く。


 客間に呼んだのだが……ルチルもいます……。

 まさか、気になるのか……?

 前に決闘都市行きたいと言っていたが、さすがに救出のときは一緒に行かないだろうとは思う。


「あそこですか? 貴族平民関係なく闘技場で賭けごとに熱心な都市ですね。金がなく自分自信を賭けて奴隷になっていく人もしばしば」


「ロクな都市ではないな」


「そう聞くと印象が悪いですが、賭けごとをしなければ、とても住みやすいですよ。税のほとんどが、闘技場で稼いだお金で免除しているので、賭けごとをしない住民にとっては楽園のような毎日です」


 税を免除できるほど儲かっているのか。というか、賭けている奴がかなり依存症だろう……。


「それなら永住したい人が集まるじゃないか」


「そんなことはありません。永住権は賭け勝たないといけません。それも決闘の勝ち100回外さなく当てないといけません。外した場合、白金貨10枚を払わないといけません。ちなみによそから来た者で長く滞在をするのなら最低1週間に1回、金貨1枚以上賭けなければなりません」


 鬼畜でそんなことはありませんでした……。リスクしかないだろ……。これじゃあ、永住権を獲得なんて無理だ。

 ルチル……目を輝かして聞くのではありません。

 仮に行ったとしても良い子は賭けるのではありません。


「じゃあ、運営している奴はわかるか?」


「領主のゴンゴル・クーランドと言いたいところですが、ご存知の通り、裏でドミベック商会が運営しています。おそらく連れてかれた2人はドミベック商会の商品になったと思います」


 帝国と絡んでいればそうなるか。

 救出も一筋縄ではいかないか。


 夜になり、王様から連絡がきた――デムズさんと辺境伯をアスタリカに送るように頼まれた。

 みんなに早く顔を合わせないといけないしな。

 王子たちの様子も聞いてみると――。


「大丈夫、フレリット君以外は安静にしているよ」


 フレリットに何があったのか?

 さては兄と一緒になって落ち着かないのか?


「理由を聞いても?」


「クレメス辺境伯とエレリット君が話してくれたけど、帝王が偽者ということをね。辺境伯が持っていた日記をフレリット君に渡すと、真実がわかって、怒りが収まらないんだよ」


 日記を見たか……。激怒するのも当然だ。フレリットにとってボウフマンは因縁の相手だ。今まで父親と思っていたのが、ボウフマンだったなんてわかりもしなかった。


 そんな奴に従っていたのは、腸が煮えくり返るだけでは気が済まないだろう。

 落ち着かせようとはできない。


「そうですか。偽者とわかってもやることは変わりませんよね?」


「そうだね。けど、裏で偽者と手引しているのが厄介だね。魔王さんは知っている相手とか言っていたし、大変にはなる。でも、帝国が動かないかぎり、勇者のお仲間を助けるまでは動かないから心配しないで」


 やはり、アンバーはグリュムのことを言ったか。

 もう隠しきれない状況はだしな。


 けど、問題なのがボウフマンだ。おそらく、違う器に乗り換えて帝国は普通に起動しているはずだ。すぐに動くわけではないが、戦争が早くなりそうな気がする。


 もしてしてメアはそれをわかって早く行動に移したかもしれない。

 プライベートと言いつつなんだかんだやってくれるし、期待して待つ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ