717話 勇者召喚②
「ハハハ、気持ちが高ぶっているなホデグリア! だが、油断は禁物だ! 大いに喜ぶのは成功してからにしてくれ!」
帝王はボスユニコーンを名で呼び、ハヌヤと同様に上機嫌で会話する。
「わかっているさ! けど、勇者が召喚すれば魔王を倒すことができる! こんな素晴らしいことはない!」
それもそのはず、ボスユニコーン――ホデリグアの目的は魔王を滅ぼすためである。
興奮するのも無理もない。
「憎き冒険者どもと裏切り者を葬ってからだ。それを忘れてはならない」
帝王はそのあとに魔王を倒す計画はしている。勇者が召喚すれば倒せると確信している。
エルフたちはハヌヤに急かされ戸惑いながらも、魔法陣を囲み。準備ができた。
「お前たちの魔力で勇者を召喚してくれ頼んだ!」
帝王が指示をすると、エルフたちは魔力を魔法陣に流し始めた。
だが、魔法陣はただ輝いているだけで、変化はなかった。
「なんだそのやる気のない魔力の出し方は!? もっとやる気をだせ!?」
帝王はエルフのあまりのやる気のなさに激怒してしまう。
「同胞よ、情けないぞ! 陛下の前で恥をさらしてどうする!?」
ハヌヤも言うが、反応は変わらない。
それもそのはずだ、エルフたちは強制労働させられていると思われているからだ。
急にやれと言われても、戸惑いがあって本調子ではない。
「仕方ない……。スール様、同胞たちを元気づけてください!」
「私にですか……? はぁ……わかりました……。ハヌヤが気が済むのでしたら……」
スールは早く帰りたいがために、半ば諦めてハヌヤに従うしかなかった。
「勇敢なる同胞たちよ。大変かもしれませんが、頑張ってください。成功してしたら皆さんでお祝いをしましょう」
「そうだ! 終わったらお祝いができるぞ! もし、1番魔力を出したやつにはスール様の側室を考えてやる! どうだ、嬉しいだろ?」
「何を言っているのですハヌヤ!? 私は側室をとるとは一言も言っていません! しかも、言っている相手は全員男がですよ!? 皆さん男色なわけ――」
「「「スール様の側室……」」」
スールは慌てていったが、エルフたちの邪石が輝き始め――膨大な魔力が魔法陣に放たれてさらに輝きを増す。
スールは口を開いたまま青ざめていた。
「どどどどど、どういうことです!? 皆さん、男色ですか!?」
「違いますスール様、男女に関係なくスール様を愛しているからです! 英雄のあなたに恋するのは当然なこと――側室になるのは名誉でございます!」
「そんなこと言っても困ります!? 私は精霊しか興味がありません! 精霊一筋です!? もし、側室をとるとしても精霊ですよ!?」
「そこはご心配なく、そのうちわかることです」
「何がわかるのですか!?」
スールは納得がいかずにハヌヤと揉めていた。
その横で帝王は無視をして魔法陣の輝きを見て高笑いをしていた。
「ギャハハハハハ! こんな素晴らしい輝きは見たことがないぞ! さすがエルフだ! これなら勇者召喚できるぞ!」
帝王は今までにない輝きで確信を持っていた。
そして、目が開けられないほどの輝きを放ち、洞窟中広がっていく。
輝きが終わると――エルフたちは倒れ込こんで邪石が砕け散り、身体が灰になってしまう。
その魔法陣の中心には制服を着た若い男女が現れた。
「ギャハハハハハハ! 成功したぞ! これであの方も大喜びだ!」




