715話 勇者との情報②
嘘を言っても仕方ない。正直に話すか――。
「残念だけどそれは無理だよ。君たちが帰れる手段はない」
エフィナは率直に言う。もう少し遠回しに言ってもいいが……。
「そんな……。帝王は終わったら帰らすとか言っていたのは嘘ですか……?」
「真っ赤な嘘だよ。理由もあるよ――」
エフィナはヨシマツたちに日本に帰れない理由を言う。
みんな帰られない真実を伝えると、固まって声が出なくかなりのショックを受けていた。
それもそうだ。希望があったのに嘘だととわかると、いまはドン底に落とされた気分だろう。
コトハとナノミは下を向く。あまりいい気持ちではない。
2人も聞いてつらいだろうな。
「俺たちはもう帰れない……。家族にももう会えないのか……。あまりにも理不尽だ……。なんで俺たちがこんな目に合わないといけない……」
ヨシマツは泣き崩れてしまった。つらいのは当然だ。俺たちにはどうすることもできない。
「なんでもできる女神でも帰らせることができない。ごめんね……」
「謝らないでください……。あなたたちは俺たちを救ってくれたのですから……。悪いのは帝国の連中です……」
「本当にごめんね……。だけど、君たちには自由がある。やりたいことがあるなら相談して、絶対に協力をするよ」
「ありがとうございます……。少しみんなと話し合ってからにします……」
「そうだね。ゆっくり考えてね」
こうしてヨシマツたちは解散をした。あの落ち込みようは仕方ない。
精神が持つか心配だ。
ほかのメンバーはまだ解散しないで残っている。
「どうした? 話は終わったぞ」
「レイさん、俺はあの子たちが心配です。できるだけ励まそうと思います」
「励ますより支えるほうがいいぞ。いきなり励ましの言葉を送っても、ただつらいだけだぞ」
「そ、そうですね……。支えるか……。どうすれば支えることができますか」
そこも俺に聞くのか……。どうやらカイセイは放っておけず、元気づけようと考えているようだ。
「カイセイ……君は見ているだけいいよ。ここは人生――狐生豊富なライカに任せな」
さすがのエフィナもカイセイには任せられない。ただ暴走するだけだしな。
「いや、儂は妖怪生なんだが……」
「細かいことは気にしない。頼んだよライカ」
「そこは儂の存在意義が……。まあ、よい……儂しか頼めないことだ。任せろ」
言っても聞いてくれないから諦めましたね。
「確かにライカさんが適任ですね」
「ライカさんならしっかり慰めてくれますね」
コトハとナノミからお墨つきをもらう。
この2人はライカがいなければどうなるかわからなかったしな。
「なんで俺はダメですか……?」
「それはもちろん、君には母性というのがないから。もし、やるとしたらレイ以上の母性を出させないとダメ」
「なんで俺基準なんだ!? そもそも俺には母性なんてないぞ!?」
「ええ〜、そうかな〜? 今回出会った人を放っておけずに領地に向かい入れるのは母性ではないの〜? まったく〜、素直じゃないのだから〜」
「それとこれとは違うだろ!?」
「たしかにレイさんは母性がありますね……。ちくしょう……それくらい出さないと無理なのか……」
何勝手に理解している……。
「たしかに……、レイさんはお母さんと同じ雰囲気があります。やはり母性なのか……」
チヨメもなぜか納得しているのだが……。
あっ、もういいです……勝手にしてください。
ともかく、ヨシマツたちが落ち着けるように提供するだけだ。
問題なのは闘技場に連れて行かれた2人を救出だ。早く救出しないと、どこに連れて行かれるかわからなくなる。
このあとにムロナクかコナーズに詳しくは聞かないと。
「ところでメアはどうした? 朝から会ってないんだが?」
「メアはシエルを借りてズイール各地を回っているよ。空間魔法で行けるようにして、偵察できるようにって」
…………メアさん、ありがとうございます。




