714話 勇者との情報①
――翌日。
昼過ぎにやっとエメロッテから解放され勇者――ヨシマツたちを屋敷に招待する。
エフィナと客間で待っていると、案内をしてくれたアイシスと入ってきた。カイセイとコトハとナノミも一緒に来たか。そのあとにライカとチヨメも入ってきた。
勢揃いだな……。
まあ、話してもいいメンバーだからいいか。
「ゆっくりしているところ呼んで悪いな。昨日は休めたか?」
「はい、おかげさまで、ぐっすり寝ることができました。久しぶりに日本食も食べられて嬉しかったです。温泉もあって、美味しいもの食べられてここは天国ですか? レイさん、あなたはいったい何者ですか?」
「ただの転生者だが? 気がついたらこんなことになった」
「嘘を言わないでください……。地位や名声もある人がただの転生者わけないですよ……」
なぜかヨシマツに疑われる。
「本当のことだが? みんなのおかげでここまでできたぞ。俺の力なんてほんの数ミリだぞ」
「またまた〜、レイは謙虚だね〜。ボクが教えてあげるよ〜」
エフィナはノリノリでヨシマツたちに俺の経緯を話した。
おい、エフィナを助けたらところを話しを盛るな……。
救ったとはいえ、俺が聞いていると恥ずかしいほどに……。
美化しすぎだ……。
「創造神――エフィナさんを命がけで救うなんて……。地位や名誉があるのも納得です……」
ヨシマツは感動したのかボロボロ泣いています……。
カイセイもつられて泣くのではない……。
「レイのことわかってもらって嬉しいよ〜。次は――」
「待て、話が長くなりそうだからあとでな」
「えぇ〜、これからが大切なところなのに〜。レイも嬉しいくせに〜」
「いや、やめてくれ……。俺の話を聞きに来たわけではないぞ……」
「チェ……、本当にいいところなのにしょうがないな〜」
やっと諦めたか……。気を取り直してヨシマツたちにどうやってこの世界に来たか話をしてもらった――。
――授業中に突然、魔法陣が床に現れて気がついたら帝都の近くの洞窟にいたようだ。そして帝王に事情も説明しないまま、内戦を止めてこいと言われた。
当然、ヨシマツたちは反対したら奴隷の首輪を付けれて牢屋に入れられたようだ。
一応、見張りの奴らに情報は聞いて、ある程度は知っているようだ。
委員長の阿賀須義松、ガタイで筋トレが趣味の室林慶斗、冷静に帝王が異常だとわかった最谷香夜希と西崎咲花、女神化された霧江紗夜、花園唯鈴、宇野原亜由美と自己紹介もしてくれた。
そして闘技場に連れて行かれた藤澤大弥、市川宵華と名前を教えてくれた。
聞いてちょっとおかしいのが――。
「授業を教えた教師はどうした? クラスごと転移されたなら一緒に来ているはずだ」
「五十嵐先生ですか? 一緒に来ていませんでした。多分、若い勇者がほしくて俺たちだけ召喚したと思います」
「それはないよ。帝国――人がそんな高度な勇者召喚はできないよ。絶対に来ているはず」
エフィナも思ったか。いくら邪石を積んでも帝国が高度かつ、的確にできるわけがない。
「でも、いないのは本当です」
「あの……私の見間違えではないなら、先生は魔法陣の外にいました……。もしかしたらそれでいないと思います……」
エミカはゆっくり手を上げて、恐る恐る言う。
「どのくらい離れていたかわかる? 5m以上離れていれば転移されはしないよ」
「だいたい1mくらいだと思います」
「それじゃあ、一緒に転移されるよ。けど、失敗の可能性はある。教師だけ取り残されたかもしれない」
そう考えるしかないか。所詮、強行突破した召喚だ。失敗するのはあり得る話だ。
まあ、教師はいなくなって焦っているとは思うが。
「ある程度ことはわかった。急に呼び出して悪かったな。闘技場に連れて行かれた2人は必ず連れ戻すから安心してくれ待ってくれ。不便があればなんでも言ってくれ」
「本当にありがとうございます。あの、質問してもいいですか?」
「なんだ? 何か聞きたいことがあるのか?」
「はい……、俺たちは日本に帰れるでしょうか……?」
やはりそうなるか……。




