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70話 ドワーフ式決闘


 ――翌日。


「ダンナ~朝だぞ~起きろ~」

『お寝坊さん、起きろ!』


 フランカとエフィナの声で目を覚ますと――顔近!?


「やっと起きたか! アイシスが飯の用意ができたって!」


「わかった、今行くよ」


 リビングに向かうとテーブルには……ボアのステーキが置いてある……。


「朝からステーキですか……」


「今日は忙しいので体力をつけてください」


「はぁ……」


「そうだぞダンナ、これくらい食べないと夜までもたないからな」


『アイシスが健康管理してるからこのくらい余裕だよ!』

 

 まあ、美味しいからいいか。

 

 朝食を食べ終え、準備をする。


 フランカは鎧を着て行くみたいだ。


 みんな外に出るとフランカは家をしまった。


「こうして見るとアイテムボックスみたいだな」


「原理的にはそうかもしれないが、このスキルは創った家しかしまえない。だけど家の中に物を置けば、そのまましまえるからアイテムボックスの下位互換と思ってくれ」


「いや……家をすぐ機能できてる時点で下位互換も何もないとは思うが……」


「だから言った通り便利なスキルだろう?」


 便利って言うよりチートです……。


 さて、ギルドに報告してカルムに帰らないと。 


 ――走って鍛冶街に着いた。

 フランカは重い鎧を着てでも疲れないみたいだ。


 ギルドの中に入ると前と同じ状況だった……昼間から酒を飲んでいる。


「昼から飲むとか贅沢だな」


 フランカは飲みたいらしいです。もう少し我慢してください。

 

 受付のセイネートがこちらに気づき小走りで慌てて来る。


「レイさん、アイシスさんおかえりなさい! ……どうでした?」


「この目で確かめた方が早いからギルドマスターを呼んでくれ、あとゴーレムを置ける場所に案内してほしい」


「は、はい! ただいま! あの……そちらの方は……?」


「知り合いだ。途中で会った」


「そうですか……はっ!? すみません今すぐ呼びます!」

 

 セイネートは走って階段を上って行った。

 フランカを珍しそうな顔で見てたがこの姿だと一般の冒険者にしか見えない、何も怪しまれることもないが……。


「おめぇたち、大丈夫か!? ……ん? そこのドワーフ……只者ではないな……」


 ノズカッテさんもフランカを珍しいそうに見てる。


「さあ、なんのことかな?」


「まあ、いい……それよりもゴーレムだな、こっちに来てくれ!」


 ギルド裏の広場に案内され、アイシスが無限収納からミスリルゴーレムを出した。


「おい、噓だろう……ミスリルゴーレムがいたのか……」


「こいつが親玉でした。アイスゴーレムを仕切ってましたので……」


「どうもおかしいと思ったぜ……普通と違って知性的な行動をしていたかと思ったらこいつの仕業だったか……」


「ゴーレムはほとんど倒したので鉱山に行って確認をお願いします」


「ありがとな! 報酬は確認してからでいいか?」


「大丈夫ですよ。ちなみにミスリルゴーレムは換金できますか?」


「わりぃが一部しか換金ができないな……今この街は不景気だから持ち合わせが少ないからよ……できればほかで換金してくれ……」


 そうなるか……まあ、しょうがない別のところで換金するか。


「だったらダンナ、ミスリルゴーレムはアタイに譲ってくれないか? いろいろと作りたいからさ」


 武具でも作りたいのかな? 

 どうするか……別にお金に困ってないからフランカに渡すのでもいいか。


「いいよ。有効活用してくれ。あとほかのゴーレムも渡すよ」


「ありがとな! やっぱりダンナは話がわかるぜ!」


「やっぱりな……おめぇは見た感じ普通の冒険者じゃないねぇな……少し鎧を見せてくれ」


「ああ、いいぜ!」


 ノズカッテさんはフランカの周りを見ながら鎧を確認した……。

 

「この鎧は……自分で作ったのか?」


「そうだぜ! それがどうした?」


 いいえ……それ……初期装備です……。


「こりゃあ、ブッたまげた……重そうだが軽い仕組みで柔軟性もある……強度は……ドラゴン系の大型の魔物でも傷がつかいないぞ……」


 はい!? そんなにすごいのか!?


「おっ、わかっているじゃないか! さすが同族!」


「俺でもこの鎧は作れねぇ……本当に作ったのか……」


「本当だぜ、何度も言わせるな、だったら()()で試してみるか?」


「ああ、そうだな。()()なら納得いくぜ! セイネート、審判頼むぜ!」


「は、はい!」


 あれって……もしかして…………腕相撲ですか……。

 ドワーフで言う腕相撲は決闘と同様で勝てば敬意を表し、認める行為だったはず……。

 フランカ楽しそうですね……やる気満々だ……。


 ギルドの中に戻り――腕相撲用に使う鉄の樽が設置してある場所に移動した。


 周りも集まってくる。

 大半は酒を飲んでいるせいかテンションが上がっている。


「族長に喧嘩売るとかいいぞ! もっとやれ!」

「あの細い腕で族長に勝てるわけないだろう!」

「これは傑作だ! 族長に闘う勇士だけは褒めてやる!」


 完全にアウェーだ……。

 中には……。


「大丈夫なのか……族長もほどほどにな……」

「ねーちゃん無理するなよー」


 酒を飲んでいない人は冷静に気を遣っている。


「わりぃが手加減はしないぞ!」


「望むところだ!」


 両者は向かい合って手を組み合い準備万全だ。


「それでは――始め!」


「うおおおおおおお――!」


 ノズカッテさんは気合を入れてフランカを押し倒そうとする――。


 …………あれっ? 微動だにしない……。


 フランカは無表情のままでノズカッテさんは汗をかきながら必死だ。


「動かねぇ……」


「そろそろいいか――」


 フランカはゆっくりと腕を押し倒して勝った――。


 酒を飲んでいた周りは酔いが覚めたかのように呆然としてる。


「なんの冗談だ……族長が負けた……」

「ハハハ……笑えないぜ……」

「なんだ……あの女……つえぇぞ……」


 フランカは負けるはずがない【豪力】のスキルがあるから力技に勝てる人はいないと思う。


「これで認めてくれるか?」


「完敗だ! 認めるぜ! 久々に強い相手が見つかってぇ満足だ! またやろうな!」


 お互いに握手をし、いざこざもなく終わろうとするが――。


「俺は認めね! 何かの間違いだ! 俺と勝負しろ!」


 面倒くさいのがいました……。


「てめぇはすっこんでろ! 族長の俺が認めたから文句ねぇだろう!」


「ギルマス、アイツが気が済むなら受けて立つよ」


「いいのか……すまねぇな……」


「いいってことよ!」


「早くやらせろ! てめぇを泣かせてやる!」


 あっ……それ言ってはダメだ……フランカはニコニコと笑っている……。

 コイツ……終わったな……。


 セイネートが開始合図を言うと――。


「ぬわあああぁぁぁぁぁ――――」


 手加減しないまま相手は腕を押し倒され――その勢いで身体を回転し地面に叩き落ちる。


 予想通りの結果です……。


「もう1回やるか?」


「ひぃ!? もういいです! 勘弁してください!」


 子犬のようにプルプル震えてる……あの威勢はなんだったんだ……。


 これで腕相撲は終わり――。


「おめぇら! 酒を飲んでないやつは仕事だ! 鉱山のゴーレムがいなくなったか確認しろ! 詳しいことはセイネートが説明する! 明日から忙しくなるから酒は飲みすぎるなよ!」


「「「へい! 族長!」」」


 これでこの街も景気も回復しそうだな。


「おめぇたちはまた宿の手配をするからゆっくり休めよ!」


「ありがとうございます。忘れない内に鉱山の地図も返しますね」


「そうだったな。忘れるところだった。確かに返してもらったぜ」


「あと良い酒を売っているところはありますか?」


「それならギルドで扱っている酒がウマいぜ! 安くするから持っていきな!」


「それじゃあ、金貨2枚分のお願いします」


「そんなにか!? 2樽分だな、待ってろよ」


 ノズカッテさんは酒樽を持って来て金貨2枚渡した。


「やった! 酒だ!」


 フランカは大喜びでした。


「ありがとうございます。ではこれで」


「また明日な!」


 酒樽を無限収納に入れてギルドを出て――手配してくれた宿屋行く。

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