710話 王様と魔王の反応
王様とアンバーに起きたことを伝えると――頷いてきいてくれた。
「――すみません……もっと警戒して行動すればよかったです……」
「大変だったね。今日のところはゆっくり休んでね」
「これから忙しくなるぞ。精がつくもの食ってゆっくりしておけ」
「2人とも怒らないのですか……?」
「なんで? 辺境伯とグランドマスターを救ったのに怒る理由なんてないよ。
気づかないで救出してもいずれわかることだし、戦争は避けられないからね」
「そうだ、オレは戦争ができる準備ができているぞ! なんなら今すぐにでも向かうぞ」
「せ、戦争!?」
隣で聞いていた委員長は慌てて王様とアンバーの前でどけ座をする。
「不躾な申し出になりますが、少しだけお時間をください! まだ俺のクラス――仲間が闘技場の商品にされています! 大切な仲間を救いたいのです! どうか……どうか……お検討……お願いします……」
そういえば、クラスの2人が連れて行かれたと言っていたな……。
ということは決闘都市に連れて行かれたのかもしれない。
「このオレに言っているのか? 宿敵である魔王に言って恥ずかしくないのか? 勇者というプライドはないのか?」
「ありません……。俺たちは勝手に召喚されていい迷惑です。平和に暮らしていた俺たちに戦ってこいと言われた帝国の意味がわかりません……」
「なるほど。では、内戦に行ったものはどうする? オレは容赦なくやるぞ? 仲間を見捨てていいのか?」
「俺たちを裏切ったのです。やられても自業自得です……」
最後の言葉が少し切なく聞こえた。
本当は見捨てたくないだろうな。
「そうか。だが、戦争を遅らせても誰が救いに行く? お前たちが牢屋に捕まっていたのに、仲間が連れて行かれた場所はわかるのか? それと、どうやって救う?」
「それは……」
かなり問い詰めて言うが、顔は笑っている。最初から本気で言っているわけではないのは、わかっているぞ。
「アンバー、そのくらいにしたら? これ以上言うとイジメになるよ」
いつの間にかエフィナがやってきた。メアが念話で報告したみたいだ。
「少しくらいいいじゃないか! 待たされてる身にもなってくれ!」
「アンバーは手加減なんて言葉はあるの? これだから魔王は〜」
「魔王関係ないだろ!? オレよりエフィナのほうが手加減できないだろ!?」
「えぇ〜、ボクはかよわい乙女だよ〜。手加減できるよ〜」
「オレより強いくせしてかよわいはなんだ!?」
それを見た勇者たちは呆然としていた。
おそらくエフィナは和ませるようにしていると思う。
「茶番はそのくらいにして――ディカルド、召喚された勇者の子はどうするの?」
「害がないなら僕たちで保護しようと思っています。とは言いますが、抵抗もする気はないみたいなので保護は約束されます」
エフィナは王様にため口で聞いている……? というか王様は敬語で……。
アンバーがエフィナのことを詳しく言ったか。
「なら、ボクに預けてくれないかな? ボクは勇者のことはいろいろ知っているよ。そのボクに預けたほうが得だよ。なんなら、勇者の仲間の件もボクに任せてちょうだい」
エフィナがここに来たのは、勇者を俺たちで保護するためか。というかエフィナ……闘技場の件……絶対俺がやるハメになるだろう……。
わかりましたよ……保護したから責任持ってやりますよ……。
「僕には大変ありがたいことですが、本当にいいのですか?」
「うん、だからほかので集中してね」
「英雄様、ありがとうございます。では、英雄様に勇者たちを預からせてもらいます」
「うん、任された」
あっさり承諾してくれるとは、英雄さまさまだな。
「誰だか知りませんが……ありがとうございます……」
勇者たちはエフィナに頭を下げて感謝する。
仲間の行方か……。当分、ゆっくりできる余裕なんてなさそうだ。




