707話 脱出③
「――――ドラゴンサーチ!」
龍魔法で床に手を当て、周囲に魔力の糸を通過させて出口の特定をする――。
俺たちがいるところは3階の中心部と判明した。それも出口から逆方向で、進んでも大量の軍が待ち伏せしている。
あと……出口――1階に行く階段がない……。
完全に3階で隔離する気だ。邪石がある小さな塔にも行けない。
内部はかなり変形されていたが、壁を壊せば関係ない――。
「――――絶拳!」
俺は床に拳で殴り――大きな穴が空く。
いくら邪石で強化されても【破壊者】【魔力開放】のスキルは通用しない。
「メア、遊んでないで終わらせてくれ」
「フフフフフ……主様はせっかちですこと――――ダークブレイク……」
メアは手を握めると、軍たちの邪石が破壊せれ、灰になって全滅させた。
追ってくる奴がいない隙に――。
「今3階にいます。1階まで穴を開けるので、降りていきましょう」
「わかりました。皆さん、怪我をしないように降りましょう」
「何勝手に理解している!? ムロナク、テメェはこれを見て驚かないのかよ!?」
「わかりますとも。並々ならない力で穴を空けたことに」
「だから、平然としてられる!? 俺の渾身の一撃を与えてもなんともなかったんだぞ!? それも素手で! これを驚かないのはおかしいだろ!?」
「テムズ、そんなこと言ってないで降りるぞ。驚くのはそれからだ」
テムズさんは意外あまり驚いてはいない。
ここを脱出するのに必死だからな。
俺は先に2階に降りて、周囲を確認した。どうやら3階だけ軍が集中してここは安全みたいだ。
もう一度「絶拳」で大きな穴を空けて1階へ――。
あとは出口へ……とはいかないか……。
1階が変形して真っ直ぐな廊下になり、無数の分厚い壁が降りてきて塞がれる。
なんでもありだな……。しかも、最後の壁が1番禍々しくて頑丈なのはわかる。
ここまでされたら、グリュムの出鼻を挫くしかなさそうだ。
「メア、みんなに俺の用が済むまで2階に待機してくれって言ってくれ」
「わかりました……」
メアに言ったことだし、これで思う存分暴れられる。
俺は炎の魔剣と分身である1本を呼び出した。
邪石の影響であらゆるものを遮断したが、分身は別だったようだ。
まあ、邪石に俺たちの絆が邪魔されるわけない。
2本を重ねる合わせ――銃剣に変化させた。
そして炎魔法を装填し――。
「――フレイムバレット!」
炎の弾丸を連発して壁を次々破壊していく。
やはり【絆】にさせた炎の魔剣は誰にも止められない。
しかし、最後の禍々しく壁だけが破壊できなかった。
さすがにバレット系の魔法は効くわけないか。
だが、これでおしまいだ。再び炎魔法を装填する――。
「――――エクスプロージョン!」
放たれた爆炎の弾は壁に触れると――大爆発をし、粉々に吹き飛び破壊できた。
もう障害物はなく、進むだけだ。俺は炎の魔法を解除して2階にいるみんなに伝える。




