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705話 脱出①


 おかげで勇者たちも健康的な身体――元通りになった。

 しかし……半分以上の魔力は使った。

 ここまで消費するとは……。


「身体が元に戻った……。すごい……」


「喜んでいる暇はないぞ。悪いが城を出るまで動いてくれ」


「わかりました。俺たちに何かとできることはありますか?」


「いや、自衛だけ専念してくれ。ここからはお前たちはキツい世界――人との戦いになる。生半可な気持ちで前に出るとやられてしまうぞ」


「ですが……俺は【絶対防御】というスキルを持っています。お役に立てると思いますが……」


 重戦士(タンク)が喉から手が出るほどのユニークスキルを持っているのか。

 さすが勇者特権ということだけはある。


「なら、女神化した3人を守ってくれ。慣れない身体で不便だからだ。元に戻したいのはやまやまだが、俺の魔力が空になって、道中が厳しくなる。委員長なら俺たちの手伝いよりクラスの子を優先してくれ。まとめ役がいないと不安になるぞ」


「わかりました。レイさんの指示に従います」


 少し適当に言ったが、聞いてくれた。

 戦闘経験がないはずの子が手伝うのは、あまりにも無謀すぎる。

 たとえ【絶対防御】があるとしても前には出せない。


「私たち……元に戻るの……? よかった……」


 女神化をした3人は涙を流して喜んでいた。変な薬飲まされてつらかっただろうな。


「えっ……元に戻すのですか……。もったいない……」


 カイセイは膝をついてかなり落ち込む……。

 おい……、お前はシャルさん一筋だろ、いったい何を期待している……?


 コトハとナノミがドン引きしているぞ。


「もうすぐ兵が来ます! 気をつけてください!」


 エミカという子が言うと――軍の奴らが来た。

【魔力感知】のスキルを持っていたか。敵をここまで把握していたのは大したものだ。


「侵入者と脱走者を逃がすな! 捕まえろ! 裏切り者もいる! 奴は殺せ!」


 軍の奴らは邪石を強く光らせて武器を構えて向かってくる。

 普通のダンジョン化ではないことはわかっていたが、邪石持ちを強化している。

 王子を裏切り者扱いしているのは最初から信用していないようだ。

 それもそうか。ボウフマンは商品のワイアットとロディを王子に取られて気に食わなくて嫌っていたしな。


 少し面倒だ――。


「へっ、体力さえ戻ればこっちのもんよ。ヴェンゲルの孫、少しは休んでろ。ここは俺に任せろ!」


「バレてしまっては仕方ありません。私にも手伝わせてください」


 でもこっちにはグランドマスターと凄腕の暗殺者がいる。


 テムズさんは拳に魔力を集中させ――。


「――――掌滅地裂撃!」


 床に拳を殴ると――周囲は地響きが鳴り震動し、軍たちは体制を崩して転倒してしまう。



「チィ、ただコケただけか。ダンジョン化は面倒なもんだな」


「足止め程度でも助かります――」



「「「――――ギャァァァ!?」」」


 ムロナクが一瞬で軍の目の前に着き、ナイフで次々と邪石を切りつけて破壊して周囲は灰だらけになる。


 かなり強いとは思っていたが、こうも軽々瞬殺できるとは……。


 だが、キリがなく次々とやってくる。


「百以上が向かってくる……」


 エミカは顔が真っ青になって言う。

 さすがに1人1人相手すると時間がかかってしまう。


 俺は【武器創造】で黒色に輝く(アダマンタイト)剛金の大剣(グレートソード)を創った。


「ムロナク、戻ってくれ。カイセイ、落ち込んでないでやるぞ。シャルさんが見ているかもしれないぞ」


「やります!」


 カイセイは嘘のようにやる気が出て大剣を持って構えた。

 調子がいいな……。



「「――――覇閃斬!」」



「「「――――グアァァァァ!?」」」


 俺たち剣を地面に叩きつけ、斬撃が軍に直撃して灰になり、すべていなくなった。


 次が来る前にここを出るとしよう――。


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