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699話 牢屋①


 階段を降り、1階の中央に移動すると――邪石がついた6人の軍が、鉄の扉の前で見張りをしていた。さすがに手薄といえど、見張りはしっかりしている。


「そこにいるのは誰だ!?」


 まだ見えていないが、近くにいると気づかれるか。

 だが、許容範囲だ。ムロナクが手を上げて合図をし、俺は前に出て無属性を使い――。


「――スリープ!」


 軍たちは目をつぶって倒れ、口を大きく開けて爆睡をする。

 これで安全に牢屋のところに行ける。警戒する奴はいない――俺とメアは【隠密】を解除した。


「フフフ……念には念を入れます――ファントム……」


 メアは闇魔法で見張り6人とそっくりな幻影を創る。

 おふざけが多いメアでもそこは怠らない。


「ここまでとは……すごい……。さあ、こちらになります――」


 ムロナクは腰に鍵をつけていた見張りから鍵を奪い、分厚い鉄の扉を開け――地下に行く階段を降りる。

 下に行くから暗いと思ったが、魔道具(灯り)に照らされて問題なく奥のほうまで進み、錆びついた鍵のかかった鉄の扉が見えてきた。かなり下――岩山のところに幽閉してるのか。


 周りは分厚い岩で壊すことができなく。絶対に逃げられない。

 よく考えたものだ。


 ムロナクは先ほど見張りから奪った鍵をさそうとすると――。


「――――アンロック……」


 メアが無魔法を使い解除した。


「まさか解除系の魔法を覚えているとは……」


「時間短縮です……。では行きましょうか……」


 短縮より、自分で開けたかったような気がするが……。

 何事もなかったように扉を開けると――両側に牢屋が設置され、かなり奥まで広がっていた。

 それに……血生臭さと腐った臭いが……。牢屋にいる奴でもうわかってしまった……。


「この奥に2人がいます。周りは気にしないで行きましょう」


 ムロナクはそう言って進もうとするが、約1名――王子が真っ青になる。


「ど、どういうことだ……。檻の中にアンデッド――グールがいるではないか!?」


「気にしてはいけません。ここはもうそういうとこなのです」


 まさかアンデッドになるまで放置するとは……。何を考えている……。

 思っていたより劣悪な環境だ……。


 俺たちが来たのがわかると、檻から手を出して反応をする。


 こういうのには慣れているが、王子は口を防いで吐きそうになる。


「外に出て待つか?」


「ここまで来て……私だけ残るのは恥だ……。行くに決まっている……」


 強がっているが大丈夫か?


 俺たちは牢屋に奴らを気にしないで奥へと進み、ほかのと比べて大きな牢屋の前へ止まった。


 上半身裸にされ傷だらけの壁につけらた手錠をされている辺境伯とデムズさんだ。

 魔力は小さいがしっかり生きている。


「助けに来ました。ご無事で何よりです」


 メアは無魔法(アンロック)を使い、すべて解除した。

 手錠が外された2人は床に倒れ込んでしまう。


 意識があるが、かなり衰弱している――俺は無限収納からエリクサーを取り出して2人に飲ませた。


 傷は治り始めて2人はひと息つく。


「助かった……。子爵殿には感謝しきれない……。ムロナクもご苦労だった……」


「いえ、私はただ、殿下をお迎えにしただけです。まさか辺境伯の言う通りになるとは思いませんでした」


「まさか、俺たちが来ると信じていたのですか?」


「かすかな可能性だが、信じていた。だからムロナクにフレリットのお迎えを頼んだ」


 やはり頭がかなり回っている人だ。ある意味救出を簡単に誘導してくれた立役者だ。


「ウオォォォォ――――! ヴェンゲルの孫! 助かったぞぉぉぉぉ――――!」


 その横のデムズさんは大泣きしていました……。

 多分、辺境伯のこと信用してなかっただろうな……。


「それより、フレリットは大丈夫なのか? 具合でも悪いのか?」


「私は大丈夫だ……。もう助けたから脱出を……」


「早く出たい気持ちはわかるが、まだ終わってないぞ」


 王子には気味が悪くてつらいが我慢してもらわないといけない。

 まずは、少し奥のほうにいる勇者を救わないと――。

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