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698話 心残り……


 王子の部屋に移動すると――王子はイスに座ってバスローブ姿でバテているのですが……。


「まだ準備していないのは、どういうことです……? あなたにそんな余裕はないですこと……」


「仕方ないだろ……、エレが一晩中、離してくれなかった……。入浴のときも密着して困った……」


 おいおいどこまでブラコンなんだよ……。久しぶりで愛が爆発していたのか……。

 メアさん、鼻で笑っていますね。


「断らなかったのか?」


「そうしようと思ったが……、当分会えなくなるから……」


 王子は息を詰まらせる。もう少し一緒にいたいのが本音だろうな。

 かなり申し訳なさが残っているが、これも帝王への道だから仕方ない。


「そうか。ムロナクが来るまで準備しろよ」


 まだ決行するまで時間がある。王子が回復するまで十分ある。

 って、メアさん……ドス黒い滋養強壮剤を渡そうとするのではありません……。


 少し時間が経つ――城下町の方から鐘を鳴らす音が聞こえた。

 窓から見ると、遠くでもわかるカラフルな山切りの旗――ガーランドの飾りをしていた。

 急だったとはいえ、パレードの準備は着々と進んでいるようだ。


「そういえば、兄に披露式のお誘いはされなかったのか?」


「それはなかった。エレは帝王の近くで見るから私を誘わなかったかもしれない」


 誘っても帝王の近くだと機嫌を損ねてしまうから言わなかっただろう。

 兄は勇者を会わしたくないとか言っていたし、パレードに誘うわけないか。


 こちらとしても好都合だ。


 さらに時間が経過すると――ムロナクが入ってきた。


「帝王が城から出ていき、軍も護衛として少なくなってきました。もう少しです。もうすぐ披露式が始まります――城下町から鐘が鳴れば始まりの合図として決行いたします」


「わかった。ムロナクはこれでこの大陸とはおさらばになるが、心残りはないか?」


「心残りですか? もちろんありますよ――帝王を暗殺ができなかったことですね」


 暗殺目的で潜入していればそうなりますな……。


「それは残念だな……」


「半分は冗談ですので引かないでください」


 その半分は本気かよ……。


「フフフ……披露式に行ったのは本者のようですが……。もったいないですこと……。ワタクシも暗殺できなくて残念です……」


 なぜかメアさんもするつもりだったようです……。


 けど、影武者なんて本当に存在するのか? 披露宴は楽しみにしているのはわかるが、王子を嫌っていると面識するのは疑問に思う。そこは影武者でいいような気がする。


 今回だけ影武者を休ませているのか?

 協力者――ボウフマンの間違いの可能性もあるしな。


 まあ、本者だろうが偽者だろうが、すべて終わらせれば関係ない。


「過ぎたことなので私は大丈夫です。それより、殿下のほうが心配はです。エレリット殿下ともう少し一緒にいたいと望んでいましたよね? 本当に申し訳ございません」


「私なら大丈夫だ……。もうエレとは敵同士である……。もう覚悟は決まった……。2人を救出するぞ……」


 やっと心の整理がついたか。最愛の兄を敵と認識するのは心を鬼するのはかなりの成長だ。


「フフフ……、あれだけ弱音を吐いたのに随分成長したですこと……。そんなあなたに……ご褒美をあげましょう……。オネエさんが……」


 なんでトリニッチさんが出てくる……。むしろトリニッチさんのほうがご褒美だぞ……。というか王子はそっち系ではないのに……。

 冗談だと思いたい……。


 ――1時間経つと城下町から鐘がなった。


「鳴りましたね。では行動開始です――」


 俺とメアは【隠密】を使いムロナクの後ろについていく――。

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