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690話 魔道機関車


 ――翌日。


 ゼティスたちを領地に迎い入れ、宿屋に戻ってゆっくりできると思ったが……。

 メアがしつこく求めてきて寝不足です……。


 賢者になりかけそうです……。


「フフフフフ……主様……これを……聖水という名の滋養強壮剤をお飲みください……」


 ボコボコと瓶に入ったドス黒い液体を渡してくる……。

 これを聖水というのはおかしいぞ……。いつも思うが何を入れているんだ……。


「やめておくよ……。これを飲むと再戦しそうだから……」


「そうですか……。主様なら余裕で耐えられると思いますが……残念です……」


 落ち込んで無限収納に入れた。いや、耐えられても飲まないが……。


 ドアのノックが聞こえ、出てみると――ムロナクが迎えに来た。


「そろそろ時間ですが――おや、少しお疲れのようですが、居心地が悪かったですか?」


「フフフフフ……とても満足でした……。では行きましょうか……」


 それはメアさんだけです……。上機嫌になったのだからきっちり働いてほしい……。


 部屋から出て王子と合流し、チェックアウトをして再び【隠密】を使う。


 外に出ると、担当している軍の人が待っており、馬車の中に入って、列車がある駅に移動をする――。


 周囲は建物がない場所に移動すると――鉄でできたレールが見えた。

 馬車が止まり、鉄でできた5両編成ある魔道機関車が待っていた。

 先頭の車両に魔石がついている以外は蒸気機関車とほとんど変わらない。


 さすがに技術が進歩しても1本しかまだできていないようだ。

 ムロナクは曰く、この列車は身分の高い人しか乗ることが許されてないらしく、金はそれなりに――1人、金貨1枚を支払わないといけない。

 今回は王子――身分を優先され、貸し切りだそうだ。


 商都なのに貨物列車はないのか……。なぜそこは思いつかない……。


 それに……列車での移動だからか、百以上いた軍の数が半分以下――数十の数になった。それはいいが、少佐であるイングルプの姿がなかった。

 ムロナクは部下に聞くと――グウルドンという()()に呼ばれ、別要件で行けなくなったという。


 その別要件が引っかかるが、上がいなくても大丈夫なのか? 

 簡単に王都に行けるとはいえ、列車が止まるほどの大型の魔物が出たらどうする?

 完全にナメられている。


「おお! これが魔道機関車か! こんな大きな乗り物が本当に動くのか!?」


 王子は目を輝かせて列車を見て、全く気にしてはいないです……。


『フフフフフ……まだ乗ってないのに興奮するとは……お子ちゃまですこと……』


 メアさん、王子にとって未知の乗り物だからテンションが上がるのは仕方がないぞ。


 真ん中の車両に案内され、向かい合わせの席に座った。ほかの奴は違う車両に乗り、貸し切り状態である。

 さすがに隣の車両にで待機しているから【隠密】は解除はできないが、話すことはできる。


 全員乗って十数分後に汽笛が鳴り、ガタガタと揺れて列車が動き始めた。

 電車の速度よりも遅い気がするが、激しい揺れもなく。

 そこまで不満はない感じだ。

 

「おお! 馬車よりも速いぞ! 速いのに、よい景色が見れるぞ!」


 王子は席を外してあちらこちらと車両をうろついて窓から景色を眺めていた。

 まさかここまでテンションが上っているとは……。やっぱり緊張感を持ってくれ……。


「フフフフフ……王都はすぐなのに、のんきですこと……。滑稽ですこと……」


「何か言ったか?」


「いいえ、気のせいですよ……」


 列車の騒音で聞こえづらいようです。メアはワザといいように言っている。


「殿下は初めてなので、楽しむのもわかります。ところで、おふたりは魔道機関車に乗ってなんともないのですか?」


「全然」

「全然ですこと……」


「そうですか……。私でさえ、乗るのに戸惑いがあるのにさすがですね……」


 俺は前世で乗ったことがあるから、久々に乗ったなー程度だが、メアは俺の記憶でわかっているくらいだ。けど、なんともなければ、あまり興味はなさそうだ。


「なんともないだと!? 文明が発達している乗り物をなんともないとは、人生損をしているぞ!?」


 興奮して言うが、そこは聞こえるのか。


「面倒くさい王子ですこと……早く着かないですか……?」


 相手するのが面倒になりましたね。予定では3時間くらいかかるから、我慢してください。

 王子も、もう少し経ったら緊張感を持ってください。


 俺はいつでも行ける準備はできている。

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