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681話 見覚えのある行動


 移動して1時間が経過すると、強い魔物の反応――オーガの魔力反応がでた。


 周辺は野原で1体だけだから、無視して通り過ぎるのかと思ったが、急に馬車が止まった。


 俺とメアは様子を見に馬車から降りると――イングルプは斧を持ってオーガと戦っていた。


「邪魔だどけぇ! 俺様はムカついているんだよ!」


 斧で両腕を切断して胴体を一心不乱に切り刻んでいく。

 コイツ、八つ当りだけに馬車を止まったのか……。


「ふん、魔物の風情が、俺様の前に出るからこうなる。じゃあな!」


 最後に蹴り飛ばして、オーガは倒れてお陀仏となった。


 ん? あの蹴り方どこかで――ハチミツ村を襲ったドセグノと同じだ。

 よく見たら顔が似ていることに気づいた。ドセグノの体格とスキンヘッドでわかりにくかったが、もしかして兄弟――弟かもしれない。


 ムロナクはイングルプがドミベック商会と深い関わりがあるとか言っていた。

 だとすると、襲撃したドセグノはあの商人(バカ)に雇われていた可能性がある。


 まさか点と点がつながるとはな……。


 まだ確信ではないが、ムロナクが知っているか聞いてみるか。


 馬車に戻り、ムロナクに話すと――。


「はい、ドセグノはイングルプの弟ですよ。弟はドミベック商会で働いています」


 やはり兄弟……はい!? ドセグノが弟!?


「ちょっと待て、イングルプが弟じゃないのか!?」


「いえ、間違いなく弟ですよ。確かにイングルプとかなり体型が細く若く見えるので、見間違えるのもわかります」


「あの体型で細いとか言えるのか……? イングルプよりかは筋肉質だが……」


「どういうことでしょう? ドセグノは普通の人より細型ですよ。とてもあの姿で筋肉質は考えられません」


 食い違いになっているのはなぜだ?


「あったのはいつぐらいだ?」


「5年前くらいになります。それ以降は見かけておりません。というのも、人前に姿を現すような性格はしませんので、会えないのが正しいかと」


 そんな前なら姿が変わってもおかしくはないか。


 ムロナクに詳しくドセグノ――ハチミツ村の件を伝えた。


「まさかドセグノがそのようなことを……。体型が変わり、指揮を取るなんて考えられません。まるで別人です。最初の話だと雑務をしているのかと思いました」


「なあ、あの邪石で肉体改造された話はないのか?」


「ありますが、あまりの強さに耐えられなくて亡くなった話は耳にしております」


「じゃあ、あり得なくもない話だ。完全に邪石の影響しかない」


「ドセグノが耐えられるなんて、あり得ないです」


「それほど、完成度が高い特別な邪石かもしれない。ほかの奴らよりかなり大きいのを付けていたしな」


「それが2年以上前の話しですか……。最近になってあの石が進歩したと思いましたが、どうやら違うみたいですね……」


「あの兄弟の仲はどうなんだ?」


「イングルプはドセグノを溺愛していましたよ。周りに話すくらい自慢していました。最近話していないのは、もう亡くなったからと今気づきました」


 無理やり付けられたわけではなさそうだ。

 それもそうか、ドセグノは禁忌野郎を知っていたようだし、かなり優遇はされていた。

 ならイングルプはいろいろと知っていそうだ。


 まあ、知ったことでもう関係ない話だ。

 グリュムを倒すのが最終目的だから関係ない。


 それはいいが、弟を倒した相手が【隠密】を使って近くにいるのは皮肉である。

 けど、仮にイングルプと戦うようになったらドセグノことは言うわけではない。


 挑発に使えるが、面倒だから言うわけがない。


「フフフ……起爆剤ですこと……」


 メアが戦うことになったら、避けられませんな……。

 戦うことがないことを祈ろう。

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