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679話 騙されている王子


 馬車に戻り――魔道具が起動してるか確かめて、【隠密】を解除した。


「2人とも遅かったではないか! ゴブリンは倒しに行ったのではなかったのか!」


「ゴブリンは倒したぞ。その前に、イングルプの様子――村を調べさせてもらった」


「本当か! では、村人は無事なのか!?」


 ダメだ、王子はイングルプの話を信じている。

 明らかに怪しい奴は疑ってほしい。

 帝王になっても利用されるぞ。


 まあ、辺境伯に利用されているけどな。


 2人にイングルプがやったことを話した――。


「どういうことだ! 軍が民を襲うのはあってはならないことだ! なんという愚かな行為だ!」


 当然、王子は顔を真っ赤にして怒った。


「やはり、そうでしたか。その後、どうなりましたか?」


「俺の領地で保護している。アイツらに好きなようにはさせない」


「賢者殿、本当に申し訳ない……。軍の非礼は上の者に言っておく」


「殿下、残念ですが、上の者に言っても変わらないと思います」


「なぜだ? まともな者に言えば、処分が下るはずだ」


「そのまともな者がほとんど解雇されているからです。ご理解ください」


「クソ! ここまで腐ったのか……。私がいない間に変わりすぎだ……。これでは破滅の道に進むではないか……」


 あのイングルプが少佐なら、やりたい放題だな。

 王子が思っているほど、腐り具合は激しい。


「イングルプが「取引」とか言っていたが、奴隷商と関わりがあるのか?」


「奴隷商と関わりはないと思います。ですが、ドミベック商会なら関わりがあります」


 やはり、帝王と関わりがある商人(バカ)がやっているわけだ。


「その取引はそいつらが関わっていると断言していいな?」


「はい、イングルプと深い関わりがあるのと――帝国が贔屓にしているので、間違いありません」


 完全に決まったな、今回はそのドミベック(バカ)を撲滅することはできないが、終わったら覚悟しろ……。


「フフフフフ……主様のオーラ……素晴らしいですこと……。ドミベックの息の根を止めるときはワタクシもお供します……」


 不気味な笑みを浮かべて 相変わらずメアはブレないな……。

 一緒に来ても変わりはないけど。


 これでこの話は終わった。少々、王子は納得いっていないが、ムロナクが我慢するようにと言われる。

 まあ、結果的に助けられたから俺はいい気がする。


「そんなに、悩んでいますと大事な髪がなくなりますこと……。ハゲた帝王なんて誰がついていくのですの……」


 メアはかなりバカにして楽しんでいます。

 余計に刺激していますけど。


『ご主人様、案内が終わりました。皆様はゆっくり温泉に入っているところです』


 アイシスから念話がきた。


『悪いな、押しつけてしまって』


『いえ、私ができるのはこれくらいしかありません。それで、国王陛下から連絡が来ました』


『内容はなんだ?』


『内通している者の情報届いたようで、その報告が』


 ムロナクが渡した箱のようだ。俺も確認したいところだった。


『詳しく聞いているか?』


『はい――帝都の城の図面が入っている、帝王は身を潜んで影武者を用意していること、勇者召喚、軍の情勢などが報告が来たということです』


 俺が聞いたのと変わりはないようだ。ここまで教えてれればムロナクは完全にシロだな。


『そうか、情報ありがとな。てっきりエフィナから話があると思った』


『エフィナ様は魔王様の元――王城に行って、相談をしています。ですので私が代わりに』


 アンバーに相談って、情報が入れば、どう責めるか。相談はするよな。

 というか、エフィナは普通に城に行っているのか?

 まあ、誰かしら紹介して許可されたと思うが。


『ところで、今日はお戻りになるのでしょうか?』


『何もなければ戻ろうとは思ったが、今日は帝国軍を監視しようと思っている』


『フフフ……ご心配なく……テントは持参していますこと……。そう……主様と2人きりで過ごせるテントを……』


 メアさん、余計なことを言うのではありません……。


『そうですか、では気をつけてください』


 こうしてアイシスから念話が終わった。

 ゆっくり休みたいところだが、油断はできない。引き続き監視でもしよう。


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