674話 相性のいい強化
「幻影水晶――今日からお前はファントムだ!」
名前をつけると、デスナイトの鎧は黒から白に変わり、年輪模様の黒……淡い緑!?
「すごい……力がみなぎってくる……これなら思う存分動ける……」
ファントムは身体は白いで淡い緑の年輪模様の姿になった……。
ルチルは魔力が空になり倒れたのですが……。
「また魔力使いすぎた! 立てない!」
「ルチル……同じ種類のパワーストーンにしたな……」
「そうだよ! 普通のファントムクォーツだとモリオンと色が同じになるからグリーンファントムクォーツにしたの! それと大サービス!」
黒は年輪模様だけなのに同じではない……。
「ハハハハ! 我らと同じになったな! ではザコどもを蹴散らすぞ!」
「ハハハハ! さて、オレもひと暴れしようか!」
「できるだけ麦畑を荒らさないでくれ!」
「もう……みんなして自由なんだから……」
ロード以外はゴブリン討伐に行ってしまった。
戦闘狂でよかったです。
「悪いがロード、ルチルと村人を頼んだ」
「うん、任せて」
ロードに任せて俺たちも反応がある場所に行く――。
村の出入り口――柵の前には、ゴブリンが向かってくる。
とりあえず村の中には入っていないのは良いことだ。
「ハハハハ! 村の外なら心配なく暴れられるな!」
「その前に防壁を創るぞ――――アースウォール!」
俺は地魔法で岩の防壁を創り向かってくるゴブリンの足止めをする。
「助かる。これで安心して戦える」
ファントムはひと足先に跳んで壁の天辺に着く。
俺たちも登り――下を覗くと、ゴブリンたちは鋭い歯を使って防壁をかじっていた。
上らないで削って壊そうとしているのか……。普通のゴブリンより能がない……。
「誰も通さないぞ!」
ファントムは自分と同じ色をした矢を出して弓で放つ――。
「――――ギギャアァァァ!?」
ゴブリンの頭に貫通して倒したが、何も見えなかった……。
次々と矢を放とうとすると、見えなくなった。
それも、魔力反応がなく……。
察知もできない矢とは驚いた……。
ルチル……強化しすぎだ……。【武器創造・幻晶】とでも言っておこう。
「ハハハ! お前1人で全滅させる勢いだな! 少しは残してくれ!」
「我の分も残してくれ!」
「遊びじゃないぞ!?」
セイクリッドとモリオンは高笑いしながらゴブリンの中に入って、猛威を振るっている……。
この3方で十分だな……。
「フフフフフ……楽しそうで何よりですこと……」
メアさんも楽しそうに見て何よりです……。
あっさり終わるかと思ったが、遠くからの奴も村の方に向かってくる。
明らかにおかしい……普通なら帝国軍の馬車を狙うはずだ。
おそらく村に誘導させるような魔道具を使ったのかもしれない。
「まだ来るのか! だったら、この力で終わらせてやる」
ファントムは大きめの幻晶の矢を創り、膨大な魔力を矢に込めて弓を引く――。
「――――覇幻の晶迅!」
放たれた矢は消えてしまい、膨大な魔力を込めたのにも、かかわらず反応すらない。
音もせず、ただ静かである。
そして遠くから大きな砂煙が発生して、遠くのゴブリンの反応が消えた。
一掃したのはいいが……強すぎないか……。
とんでもない狙撃手になったな……。
下手すると、セイクリッドより強いのでは……?
俺でも絶対に苦戦するほど強くなっている……。
ルチル……大サービスしすぎだ……。
すると、展望台の魔道具に反応があり、起動したことがわかった。
終わったタイミングでとは、明らかに不自然である。
帝国軍は思っているより遠くには行ってない――ある程度の距離で止まっている。
止まっているなら後回しにして、ロードと合流をする。




