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667話 内通者③


「なあ、勇者召喚されたのは本当なのか?」


「はい、専属の魔導士が犠牲にして召喚されました」


「犠牲までしてやることか……。異常だろう……」


「そうですね。帝王を崇拝している魔導士です。すべてを捧げている異常者です」


 信者なら命なんて二の次ってわけか。


「私がプレシアス大陸に行く前は勇者召喚などしてはいなかったぞ」


「2年前から活発になっております。殿下が知らないのも当然です。活発になったのは、皆様もわかっていると思いますが、軍が付けている石です。あれで無理やり自分を強化し、召喚が成功したと思います」


 やはり、禁忌野郎が活発になった時期と同じか。


「その石についてだが、開発した奴は知っているか?」


「申し訳ございません。帝国の機密情報なのでわかりません。おそらく上の者しかわからないかと」


 表には出てこないってわけか。


「じゃあ、禁忌野郎(ワグダフ・ウーテス)は知っているか?」


「知っていますよ。最近、大型の魔道具開発して大活躍している技術者です。魔道機関車という大変便利な乗り物を開発して帝都と商都の移動が楽になりました。商都――シーハンズに着きましたら、その乗り物で移動ですよ」


「おお! それは楽しみにしているぞ!」


 王子は期待にしているようだが、 あの野郎……技術者だったのかよ……。しかもコナーズから聞いている情報と同じだ。

 ここ最近ズイール――帝都の周辺は発展途上していると。

 魔道具技術は発展していることは知っていたが、まさか乗り物まで開発していたとは……。


 なぜ禁忌に手に染めた? 魔道具だけでは物足りなかったのか?

 これだけは言える――グリュムに会って堕ちていったと。


「話を戻すが、勇者は何人召喚されたかわかるか? それと、どんな奴だ?」


「33人くらいの16と17歳の学生とか耳に入っています」


 高校生くらいが召喚されたのかよ……。それも1クラス分の人数を……。

 まさか――。


「どこから来たのか知っているか?」


「ニホンという国からと聞いています」


 冗談はやめてくれよ……。よりによって日本の子どもを召喚かよ……。


『主様……面倒なことが起きましたね……』


 メアの言う通りだ……。今回は救出で関係ないが、戦争になったら戦う可能性がある。

 説得してこっち側に引き入れるのはもう無理だ。

 俺たちが悪であっちが正義となっている。同郷とは戦うのは避けたいが、そうは言ってられない。

 勝手に召喚されてたとしても、人を殺めているなら俺は容赦しない……。


「勇者で何かしらの情報はあるか?」


「そうですね――召喚されたときに勇者同士揉めていました。戦争に参加するしないで言い争いに」


 ある程度の人数で異世界に転移されると、意見も分かれる。


「それで、どうなった?」


「反対した者は帝王の顔に泥を塗ったとみなしされ、数名は牢屋に入れられました。ほかにもいましたが、戒めとして見せられて、おとなしくなり、参加するようになりました」


 理不尽にもほどがある……。勝手に召喚された挙げ句、牢屋に放り込められるとは……。


 牢屋か……。そいつらを救出することも考えておくか。

 何かしら情報を聞けるかもしれない。


「情報では勇者らしき者がシンガードに行って暴走して自滅したとか。数名の勇者らしき者がシンガードを壊滅させたとか本当か?」


「あなたがおっしゃる通りです。参加した勇者の半数以上が石のせいで暴走して亡くなったとか。その中で強い者がシンガードを壊滅させましたよ」


 勇者が行ったのが確定した……。

 しかも、半数以上いなくなったのか……。

 嫌々で参加した者はあまりにも理不尽すぎる……。


 同情してしまうほどだ。


「数名で壊滅した奴はよく知らない土地を移動できたな……」


「土地勘のない勇者が普通に移動できるわけありません。途中で軍の者と一緒に行動しないとおかしいですよ」


 ムロナクの言う通りだ。

 帝国軍と一緒にいないとわかるわけがない。


 これで疑問に思ったことがわかった。

 ある程度聞けたことだし、あとは会って確認すればいい。


 まだ聞きたいことがあるが、少し間を開けよう。ずっと質問されてムロナクは大変だから。

 

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