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666話 内通者②


「どういう意味だ? まさか王の座を引いたわけではないよな?」


「そういう意味ではありません。玉座には帝王と変わらない別の者が座っています」


 影武者が座っているってことか。こんなに大ごとになれば帝王も危険を察知しているか。

 影武者の1人や2人用意するよな。


 王子側にとってはかなり厄介だ。


「似た者が身代わりになっているのか?」


「そのようです。私さえ判断ができないほどに」


「まるで知らないような言いぶりだな。誰か気づいたのか?」


「情報提供くださる――バンアーム・ボウフマンです。軍に捕まる前に私に教えてくださいました」


「あいつか……、その情報本当なのか?」


「彼が言うことは確かです」


「フン、あいつは信用できん! なら本当かどうか、この目で確かめてやる!」


 情報提供者なのに嫌な顔をするな。何か嫌がらせでもされたのか?


「話の間に入って悪いが、その協力者は何者なんだ?」


「賢者殿、あいつは元闇商人――違法奴隷を扱っていた愚か者だ! ワイアットとロディを奴隷にした愚か者だ! どういう風の吹き回しなのか、協力関係である。だが、私は認めてない!」


 なるほどな、あの従者を奴隷にした張本人か。

 怒るのも無理もない。


「殿下、許せないのはわかりますが、赤ん坊のシェルビー様をうまくクレメス辺境伯様のところまで無事に救出したのは彼が手伝ってくれたおかげです。これまで協力してくださったのを忘れないように――私を潜入できるように手配してくれたのも彼のおかげですよ」


「わかっている! わかっているが……納得いかん!」


 かなり大活躍しているようだな。これだけ協力しているなら完全に足を洗っているように思う。


「フフフフフ……シェルビーさんをお助けしたのですね……。捕まっていると言うことは彼を助けないといけませんこと……」


 メアはシェルビーを救ってくれた恩人には助けるようですな。

 まあ、足を洗っているなら、助けるか。


「できればお願いします。ですが……まだ生きていればの話ですが……」


「潜入しているのでしたら、安否がわかるのではないのです……?」


「それが……彼は奥の牢屋――密閉された拷問部屋に捕らわれています……。それも辺境伯様とグランドマスターよりも酷い場所に……。役人の私でさえ立入禁止です……。生きていればいいのですが……」


「2人より酷いってことは、かなり罪が重いのか?」


「白状すれば拷問されることはないです。ですが、ボウフマンは帝王に因縁があります。殿下がおっしゃている――違法奴隷を扱っていたので、帝王は商人の剥奪を命じました。その違法者が敵となれば帝王が見過ごすわけにはいきません。罪が重いという判断はできません」


 楽に死ねないのもかなりの地獄だ。今も続いているなら想像できない。


「当たり前だ! あれだけのことをしておいて罪が軽いわけになるか!」


 王子はいったいどっちの味方なんだ……。

 それでも協力者は見捨てるわけにはいかない。

 助けても文句は言いそうだが、感謝しているところはあるはずだ。


 切っては切れない関係ではあるけど。


 ここまで話しているが、ムロナクは信用できる。

 完全に白と思っていい。


 まあ、嘘をついていたら魔力の()()で察知できる。

 ポーカーフェイスでも魔力は嘘偽りはない。

 

 先は長い、ムロナクが知っていることを聞く――。

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