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65話 協会からの依頼


 カイザーオクトパスを倒し、街へ帰って1ヶ月が過ぎた。


 特に何もなく、ただゆっくりしている。

 大金も手に入れたがほとんど物が揃っているから使い道もない。

 何かあった時のために貯金をすることにした。


 ガレンさんは近々協会から依頼をお願いするとか言っていたが何も依頼が来ない。

 何もないのなら食材探しに出かけたいのだが……。


 とりあえず居間でミツキさんにもらった緑茶を飲んでのんびりしていた。

 やっぱり日本人は緑茶が1番だなー。旅人には本当に感謝しかない。

 あとで大量購入して茶葉を発酵させて烏龍茶にするのもアリだ。

 

「緑茶と……ガトーショコラ……合って美味しい……」


 幸せそうに食べているな……。

 最近アイシスはこの組み合わせが気に入って毎日食べている。

 ガトーショコラの減りが速い……大量に作ったから在庫はあるが、このままでは1週間も持たない……。

 またあとでカカオ豆も購入しないと……。


 庭で人の反応を感知した。

 この魔力は――ザインさんだ。

 ドアをノックする音が聞こえて――アイシスが出る。


「ご主人様、ザイン様がお見えです」


「わかった、今すぐ行くよ」


 客間に向かい――ザインはイスに座り、お茶を飲んで待っていた。


「こんにちは、ザインさん。今日はどうしたのですか?」


「ああ……実は……協会から依頼を頼まれてな……レイと嬢ちゃんを推薦してほしいとのことだ……」


 このタイミングできたか……強制ではないから話を聞いて判断しよう。


「内容はなんですか?」


「それはだな――」


 ここから東に300㎞以上離れた鍛冶街、ランズベルの近場の鉱山に大量発生したゴーレム系の魔物を討伐。

 主に異常種のアイスゴーレムが鉱山内で暴れていて、鉱石採掘が困難である。

 ランズベルの冒険者でも手に負えず、死傷者が多く苦戦状態だ。強さはAからSランクに上がった。

 そこで弱点である火属性魔法を使える俺と氷耐性のあるアイシスが推薦された。


「話はわかりました。もし受けるとしたらすぐに行かないとダメですか?」


「そうだな……魔道具でギルドマスター(ノズカッテ)に聞いたが鉱山は2ヶ月以上封鎖されて大変みたいだぜ……このままだと街の利益がなくなるらしい……」


 深刻な状況だ……もうちょっと確認してみるか。


「報酬はどのくらいですか?」


「白金貨1枚だ……死者も出ているから……この金額になった」


 相応な対価だが……それなら俺たち以外に強い人がいるはず。


「ほかに受けられる人はいますか? いるのでしたら断りますが」


「それはいるが……ほかの依頼を終えてからだ……時間がかかるが……」


 間に合わない……これは受けた方がいいな。


「アイシスはどうだ?」


「ご主人様にお任せします」


「わかった。この依頼受けます」


「マジかよ……レイと嬢ちゃんの意思なら止めはしないが……無理はするなよ」


「はい、危険だと思ったらすぐ撤退しますので大丈夫ですよ」


「そうか、それを聞けて安心した。ノズカッテに連絡するから気をつけて行けよ!」


「はい! すいませんが精霊をギルドに預けていいですか? 今回は危険なので」


「おう、いいぜ! しっかりギルドの連中と面倒見るから問題ないぜ!」


「お願いします」


 後は精霊を説得しないと……あれ? 

 いつもなら顔を膨らせて不満を持っているが、今回は頷いて納得している。


『ゴーレム系の魔物は風属性と相性が悪いからね。誰も言っていないけど、本で調べたのかな?』


 笑顔で頷いた。

 そこは考慮しているのか、これなら安心して行ける。


「今日出発するのは遅いから明日にしろよ!」


「わかりました。今日は準備をして早く寝ます」


「そうだな! 俺はまだ後処理が残っているから帰る! お茶とお菓子ウマかったぜ! あと忘れるとこだった。協会からの依頼紹介状だ。別にこれがなくても大丈夫だが、一応受付に渡せば話が進むぜ」


 紹介状をもらい、ザインさんは帰っていった。


 長期の依頼になりそうだからいろいろと料理でも作り置きするか。



 ――――◇―◇―◇――――


 ――翌日。


 ――精霊をギルドに預けに行く。


 中に入り、ホールにはザインさん、リンナさん、スールさんがいつものように見送ってくれる。


「レイ君……行くのね……協会の依頼なんて受けなくていいのに……」


「そうもいきません。早く魔物を倒さないと鍛冶街は大変ですので」


「ご主人様は私が守ります。ご安心ください」


「わかったわ……アイシス……頼んだわよ……」


「お任せください」


「うぅ……レイ……私も……いぎたいです……」


「お前は適性がないから無理だ。何度も言っているがSランク以上が推奨だぞ」


「うぅ……」


「では、精霊をお願いします」


 先ほど鼻水を垂らしながら泣いていたスールさんは精霊を預けることを知った途端に両手を広げて――。


「精霊さん……一緒にレイとアイシスさんを待ちましょう――さあ、私の胸に飛び込んで来て――」


 …………いったい何を言っているのだ。

 当たり前だが精霊はドン引きし、リンナさんの後ろに隠れた。


「バカアニキ! また精霊ちゃんを怖がらせてるじゃないよ! よしよし、大丈夫だからね」


「うぅ……精霊さんと仲良くなりたい……」


『残念だ……非常に残念すぎる……このエルフを見てイライラが止まらないのはなぜだろうか……』


 さすがのエフィナもドン引きを通り越してご立腹みたいです。


「まあ……精霊のことは心配するな。頑張って来いよ!」


「はい、それでは行ってきます」


 手を振って見送られ――鍛冶街へ向かう――。

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