表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
664/920

658話 奇跡を信じる……


 探しても生存者はいなかった。周りは魔力反応がなく察していたが……それでも奇跡を信じた。


「辺境伯様――ブラントン様はどこにいるのです!?」


 サーシャは必死に辺境伯を探していた。

 風魔法で瓦礫の山をどかしても辺境伯の姿なんてなかった。

 それに……グランドマスターもだ。

 長時間探しても見当たらないのは――俺たちがわからないように隠滅したか……、2人の首を証拠として帝王に持っていった可能性がある……。


 あくまで可能性だ……敵を撹乱させて逃げていればいいが、手がかりなんてない……。


「もう探してもいないぞ……。気持ちはわかるが、今日はもう引き返すぞ……。亡くなった者は俺が運ぶ――」


 そう言ってアンバーは手をかざし、遺体が消えていった。

 【アイテムボックス】に入れたか。


「はい……」


 サーシャはわかったのか、諦めてしまう。

 やることはやった。あとは脱出した者に詳しく聞かないとわからない。


 俺たちは城に戻り、報告をした――。


「そんな……お父様……」


 シェルビーが真っ先に駆け寄るが、サーシャが首を振ると、泣き崩れてしまう。

 王子も悔し涙を流して――。


「――――ちくしょぉぉぉ!」


 大声で叫んだ。慰めの言葉なんてかけられない……。

 余計に落ち込んでしまう。


「みんな、ありがとう……。遺体は僕たちで埋葬するよ……」


 アンバーが遺体を置くと、騎士たちが運んでいった。

 俺たちができるのはここまでだ。


「それで、ディカルド……今後はどうするつもりだ? 策がないならオレたちは動くぞ」


「魔王さん……少し待ってください……。脱出した者に事情を聞きたいです……。それが終わってから決断します……」


「はぁー、仕方がない。わかったよ。もし、決断しなければ準備をして1ヵ月後には動くかならな! いいな?」


 意外に猶予を与えているな。

 アンバーだったらすぐに出発できるが、気を遣っているのか?

 これもアンバーの優しさでもある。


「はい……お願いします……」


「お前は十分頑張った。部下に頼んで少しは休め!」


「そうさせてもらいます……」


 王様はここ最近バタバタして疲れが溜まっている。

 もしかして判断が鈍っている状態だから待つのかもしれない。


「主様……、ワタシク……城に残ってもよろしいでしょうか……?」


 メアはシェルビーのケアをしたいようだ。

 友人として放っておけないよな。


「わかった。落ち着くまでそばにいろよ。もし、ダメだったら俺の領地に呼んで休ませてくれ」


「ありがとうございます……」


 ここはメアに任せるしかない……。


 後味が悪すぎる結末で俺は領地に戻った。

 俺が戻ると、エフィナが駆け寄ってきた。

 俺の顔を伺って察して――。


「そうか……。大変なことになったね……」


「まだハッキリとわからない……。奇跡を願うしかない……」


「じゃあ、わからないなら落ち込んちゃダメ! ちゃんとした情報が入るまで落ち込んでいてはいけないよ! つらい人に失礼だよ!」


 エフィナの言う通りだ。まだわからないのに落ち込んでいるのは失礼だ。


「そうだな。確認が終わるまで落ち込まない」


「うん、焦らず結果を待とう!」


 まだ未確認のままだ。俺は生きていると信じよう――。


 その後、気になっていたヴェンゲルさんに伝えると――。


「あの大バカ野郎……無茶しやがって……。だが、遺体がなければ生きていると思っている」


「デムズさん生きていると思っているのですね」


「当たり前だ! アイツとは長い付き合いだ。勝手に戦士する奴ではない。情報が足りん、悪いがアスタリカに行かせてくれないか? 生き残りにいろいろと聞きたい。あと、ヤーワレにも用がある」


 信じてるのはすごいな。やはりまだ確信がないから言えるのかもしれない。

 俺もヴェンゲルさんを見習わないと。

 俺もみんなから聞きたいことがある。そう、勇者のことも……。

 少人数で倒されるほどとはいったい……。


 俺とヴェンゲルさんはアスタリカに向かう――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ