655話 復活④
「私の悪口言えるのくらい元気になっているなら心配して損したわ……」
「だって本当ことじゃん。心配しなくてもボクは元気だよ! 逆にボクはティーナが心配だよ。女神なのにシワが増えてことにね! 老けないのにおかしい。ストレスでも溜まっているの?」
エフィナさん、そのくらいでやめてもらえないでしょうか……。
さらにシワが増えています……。
「そうだよー。ここ最近、ティーナちゃんは疲れが溜まっているの? 少し休んだほうがいいよー」
「誰のせいで……こうなったか……わからないのかしら……」
その元凶であるシャルさんが心配そうな顔をして来ました……。
知らない素振りをしているわけではなく、本当に素でやっているみたいだ……。
「バーミシャル、会いたかった〜」
「久しぶりねーエフィナちゃん。身体の具合は大丈夫なのー?」
「平気だよ〜。見ない間にまたキレイになったね〜。最近いいことでもあったー?」
「エフィナちゃんったらー、お世辞はよしてよー」
エフィナはシャルさんに抱きついてティーナさんをそっちのけで、いちゃつく。
2人ともケンカを売って大丈夫なのか……?
ティーナさんちょっと涙目です。
「ドンマイ……。この2人を止められないから我慢して……」
シャーロさんも来たが、諦めています。
確かにこの2人の組み合わせは誰にも止められない。
「エフィナちゃん……おかえり……」
「ただいま〜、最近忙しいようだけど大丈夫?」
「うん……ちょっと大変だったけど……今は落ち着いているよ……」
「よかった〜、あとはソシアだね〜。じゃあ、行こう〜」
エフィナはシャーロさんと、シャルさんと手をつないで歩いていく。
ティーナさんそっちのけで……。
その本人は顔を膨らませて拗ねている。
とりあえず、声をかけないでそっとしておこう。
変に刺激してはいけない。
ソシアさんの家に着き中へ――寝室に入りソシアさんはベッドで変わらず寝ていた。
以前よりは顔色がよく寝ているのは確かだ。
「ソシア……頑張ったね……もう無理をしなくていいから……」
エフィナは穏やかな表情でソシアさんの顔にさわって声をかけた。
周りには笑顔で振る舞っていたけど、内心はソシアさんこと心配はしていただろうな。
「エフィナちゃん、私が代わりに魔法陣を創って阻止してるから安心してねー。グリュムが絶対破壊できないように念入りにやったよー」
シャルさんが再発防止してくれるなら大丈夫だ。
なんだかんだ、しっかり仕事してますね。
「全く……これくらいしてくれないと割に合わないわよ……」
拗ねていたティーナさんが口を開いた。
シャルさんの件をお願いしたからそうなるか。
「ちなみに聞いてもいいですか?」
「いいわよ、バーミシャルは自分の世界の管理を500年禁止となったわ。かなり軽い処分で運が良いわ……」
500年でも軽いのか、それでもシャルさんのしたことは正しい。
「ティーナちゃん、なんで言っちゃうのー。私はいいって一言も言ってないよー」
「私に会議を行かせた罰よ……。少しは自分で動きなさい……」
「エフィナちゃんー、ティーナちゃんがいじめるー、助けてー」
「よしよし、ティーナも大人げないなー。女神が泣かすことするなんてー。あり得ないよー」
嘘泣きですね……。ティーナさんは必死に怒りを抑えてます。
このままでは気になっていたことが話せない。
ここは切り替えて――。
「そういえば、前回話せなかったのですが――」
シャルさんに気になっていたこと――法王が法剣エクスカリバーのことを伝えると――。
「性能からして……守護剣エンデルエクサだと思う……。あれは蛇神族のために私が創った守護剣なの……魔物除けように……。まさか法王の手に渡るなんて……意外……」
やはり、シャルさんが創ったものなのか。あの性能からしたら頷ける。
おそらく、魔除けが効かないゴーレムが持ち運んだだろうな。
勝手に盗んで自分のもののように言い張っていたのは、異常でしかない。
「すみません、取り返すことができなくて……」
「いいよ、過ぎたことだから……これは私の責任なの……」
本人はそうは言うが、最悪な奴に盗まれるのはショックが大きい。
「バーミシャルも頑張ったね……。謹慎が解けるまでゆっくりしてね」
「うん……、ありがとう……」
とりあえず、エフィナが慰めてくれて助かった……。
少々不穏な空気にしてしまった……。
けど、エフィナがいれば場の空気を和やかにしてくれる。
あとはソシアさんが目を覚ませば、みんなは安心する。
このまま、めでたしめでたしで終わってほしい。
そう、このまま――。




