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653話 復活②


 カイセイとシルセスは置いといて、これまでの経緯を話すと、頷いて聞いててくれた。


「なるほどね。だからバーミシャルの世界から来たんだ。それでグリュムのことも知ったんだね。この短期間にいろいろありすぎだよ」


「俺もそう思う。この状況はどう思う?」


「どうって言われても、アンバーがなんとかしてくれるんでしょ? それなら任せてゆっくりすればいいと思うよ」


「焦りとかはないのか?」


「帝国の裏にグリュムがいるのは面倒だけど、アイツはずっと表に出てこない。この数百年、表に出てこないのはまだ完全に力が戻っていないということ。今は裏でチクチクと仕掛けてくる小者でしかないよ」


「あれが小者とか……。かなり大迷惑だが……」


「まあ、言いたいことはわかるよ。ここでボクたちが動いたらグリュムが逃げ出す可能性があるよ。特にボクにはかなり警戒しているはず。グリュムがどのくらい把握できているかわからないけど、ここは我慢だよ。またここを襲ってくると思うし、防衛に徹したほうがいいよ。せっかく、王様とアンバーがタイミングを図って襲撃するのに、ボクたちが加わったらややこしくなる」


 まさかエフィナが消極的だとは思わなかった。

 グリュムを知っての判断か。


「でも、危なくなったらボクたちも手伝わないといけないけどね。今現状――それがないだけ。いろいろあったのだからゆっくりしよう」


 エフィナが言うなら変わらないか。心置きなく俺たちのことに専念できる。


「わかった。エフィナの言う通りにするよ」


「うん、素直でよろしい。ボクが寝て数ヵ月経っていたのか。ソシアのことも心配だし、天界に行こうかな」


「その方がいいと思う。まだ目を覚ましているかわからないが、ソシアさんきっと喜ぶぞ」


「そうだねー。じゃあ、お化粧して行こうかー」


 またまた冗談を言うなー。


「バーミシャルさんの娘さんに会いに行くのですか!? 俺もお供します!」


 急にカイセイがどけ座をしてお願いをしているのですが……。

 エフィナに迷惑だろ……。


「君、なんでソシアに会いたいの?」


「未来の義理の父親になります! その挨拶に!」


「えぇ……何を言っているの……? 冗談はよしてよ……」


 さすがのエフィナもドン引きですね。


「冗談ではありません! 本気です!」


『レイ……この子……言動がおかしい……。なんで……?』


 状況が把握できてなくて念話をしてきましたね。


『シャルさんを惚れてしまって暴走しているだけだ』


『そういうことね……。変な人を召喚したね……。昔から見る目がないのはわかっていたけど……』


『今、ソシアさんを看病しているから、一緒に連れて行くとさらに暴走するぞ。断ってくれないか?』


『はじめからそのつもりだよ――』


「ねぇ……君が行ったところでややこしくなるだけだよ……。その前に、ほかのみんなが許可しないと天界には行けないよ……。たとえバーミシャルの加護があっても無理……そこは理解してくれない……?」


「わかりました……。ちくしょう……会えると思ったのに……」


 カイセイは涙と鼻水を垂らして悔しがっていた。

 しかし、エフィナは面白がって応援すると思っていたが、違うようだ。

 さすがに親友を娘に会いたいとか言うやつを連れて行かないよな。


「そこの2人もバーミシャルの加護があるから許可なく連れて行けないからよろしくね」


 コトハとナノミは一応許可はもらっているから大丈夫だ。

 カイセイには内緒にしているから言えない。


 2人は空気を読んで頷いてくれた。


「ところで、2人はいつから加護をもらったんだ? ステータスで確認しても表示されないぞ。なんでだ?」


 カイセイは首を傾げて言う。

 しまった……2人が持っていること知らなかった。


 シャルさん、カイセイの【鑑定】でも見えないように隠蔽をしていますね……。

 というか、許可なく2人のステータスを見るのではない。


『ボク、余計なこと言っちゃった?』


『エフィナは悪くない……。俺の説明不足だ……』


『まだ事情があるようだね。面倒になると厄介だからボクが責任を持って言うよ――』


「ちょっと2人とも説明してくれるかな?」


「「そ、それは……」」


「君、怖い顔して2人に近づかないでよ。多分、バーミシャルのお詫びとしてもらったと思うよ。もちろん、2人が知らない間にね。説明も何もないんじゃない? 君、【鑑定】スキル持ちみたいだけど、この世界では誰も使えないスキルだよ。見えないのは少しバグが起きているかもしれない」


 【鑑定】のスキルはこの世界には存在しないのか。

 エフィナがわけあって廃止したのかもしれない。

 バグが起きているのは嘘だと思う。


「なるほど、そういうことですね。2人とも悪かった」


 とりあえずカイセイは納得して落ち着いてくれた。

 コトハとナノミはホッとひと安心する。

 カイセイ、自分だけならまだしも――他人を巻き込むのではない……。


「それと、君は【鑑定】で乙女のステータスを見るとは、とんだ変態さんだね。乙女の裸を見るようなものだよ」


「「ひぃ!?」」


 あっ、コトハとナノミはシルセスの後ろに隠れた。

 プライベートなものでよくないのは確かだ。


「ほら、2人の反応を見てよ。このことはバーミシャルに言って君の評価を下げようかな〜」


「そ、それだけはやめてください!? ふ、2人とも勝手に見てごめん!」


 カイセイはかなり焦っていますね。エフィナは面白がって言っていますな。

 もし暴走したらネタとして言う――抑えてくれ。


 なぜだろう、シャルさんが満面な笑みでいる感覚があるのは気のせいだろうか? 

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