649話 白銀の竜⑧
「戻ってきたか。ということはシルキーもいるのか?」
「シルキーはもう少し手伝ってから戻るってさ! ところでレイちゃん、この方は誰?」
「紹介するよ、スノードラゴンのシルセスだ。今日から一緒に暮らすことになった」
「若輩者ですが、よろしくお願いします。早く皆様と仲良くなれるよう心がけます」
シルセスは深くお辞儀した。
さっきより言葉遣いがよくなっている。
ここに来たら礼儀は心がけているのかもしれない。
スノードラゴンと聞いた小人たちは大喜びで感謝を伝えると。
シルセスは戸惑っていた。
「それは私ではなく、友がしたことで……」
「今は言っても聞いてくれない。あとで俺から言うよ」
「わかりました……。王がそう言うのなら従います。それにしても――」
シルセスははリヴァをジロジロと見る。
「僕を見てどうしました?」
「これは失礼した。君はかなり位の高い種族だと思ってつい見てしまった」
【人化】しているのにそこまでわかったのか。かなり鋭いな。
「位の高い種族なのはわかりませんが、僕はリヴァイアサンです」
「おお、やはりそうか! 海に生息している竜だったか! 竜同士仲良くしよう!」
「え? は、はい……」
シルセスはリヴァに食い気味に握手をした。
今のシルセスとしては種族は違えど、竜と同じ部類がいれば仲良くしたいだろうな。
いや、リヴァイアサンは竜の部類に入るのか……?
どちらかというと魚類になるはず……。
まあ、シルセスが竜って言うのであれば気にしない。
「なんか厚かましいのが来たけど、リヴァちゃんと仲良くするならいいわ」
オーロラは少し心配そうに見ていたが、シルセスは大丈夫な存在とわかって安心する。
リヴァが第一優先ですな。
「あれ〜、スノードラゴン連れてきたの〜? 別にいいけど〜」
エメロッテは気づいたのかこちらに向かってきた。
ん? シルセスが顔を真っ青にしている。
「あなたは……私よりも遥かに高貴な存在……。王よこの方は……」
「いや、龍人だからお前と違う――」
「竜神様ですか!? だから私より上だとわかりました……。これは大変失礼しました……」
「なにか勘違いしているけど〜、まあいいわ〜」
いいのかよ……。シルセスは膝をついて敬意を表しているが、そっちのけでエメロッテは俺とフランカを見る。
「2人ともすごいことになっているわね〜。私たちより魔力が共鳴している〜。どうしてかな〜?」
やはり、エメロッテはわかったか。これはいろいろと聞きそうだ。
いや……エメロッテより先に言わないといけない魔剣が約一名――。
「フフフフフフ……いったいどういうことですか……? 主様……フランカ……説明してくれませんか……?」
メアは不気味な笑みで近づいてきました……。
「そ、そうだ、アタイはこれからチヨメと武具造りをしなきゃいけない。じゃあな――」
「―――シャドウチェーン……」
「――ちょ、放せよ!?」
「フフフフフ……ワタクシに話してからにしてください……。すぐ終わりますこと……」
フランカは影の鎖で胴体を拘束されて逃げることができなくなった。
逃げても気が済むまで言わないと無意味だぞ……。
やることが多いが、先にメアのほうを片づけよう。




