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648話 白銀の竜⑦


『友よ……どうか安らかに眠ってくれ……』


 スノードラゴンは握りしめた灰を手から離し、俺たちの方を振り向いて頭を下げる。


『友を解放させてありがとう……。あなた方がいなければ、この世は破滅の道になっていた……』


「すまない……。俺の力不足で救えなかった……。もっと時間があれば救う方法があったはずだ……」


『そんなことはない。友はアンデッドになって苦しんでいたのを救ってくださった。感謝しきれない……。どうか自分を蔑むことを言わないでほしい』


 自分がつらいのに他人のことを考えているのはすごい。俺だったら自分を優先してしまう。


「わかった。それでお前はどうする? 住処に帰るのか?」


『住処は荒らせれて……住めるところではなくなった……。もう仲間はいない……帰る場所はない……』


 無理があるか……。世間では厄災級と呼ばれている竜をこのまま放っておくわけにはいかない。

 街や都市に行かれては大混乱になる。


「「救世主様……」」


 ソアレとセレネは俺を悲しい目で見つめる。


「同情したいのはわかるが、俺の領地に住める大きさじゃない。【身体強化・変】か【人化】ができればの話し――」


『私は【人化】できるぞ――』


 そう言うと、スノードラゴンは身体を輝かせて姿が変化――中性的な顔で少し長めの銀髪で170前後――俺と同じくらいの身長で角と尻尾が付いた男の姿になった。

 【人化】できるのかよ……。

 ソアレとセレネは大喜びだった。まだ決まったわけではない……。


 とりあえず全裸だから【無限収納】から布を出して身体を隠すように言った。


「すみません、人が着るようなものは持っていなく」


「気にするな、もしよければ俺の領地で来ないか? お前にとって安全な場所でゆっくり休めるぞ。お前がよければ歓迎するよ」


「竜の私を歓迎してくれるのか……?」


「まあ、お前以外にも、いろんな魔物――種族がいるから【人化】できるなら余裕だ」


「私以外の種も……ということは争いはなく平和な場所ということか……。私が理想している場所だ」


「それで来るのか?」


「ぜひお願いしたい。もう私は体力が限界で休むところがほしい」


「なら、ゆっくり休んでくれ。というか、お前には少し熱い場所になるがいいか?」


「その心配はない。私は火耐性を持っている。熱いのは問題ない」


 そういえば俺とフランカで近くで構わず炎魔法とか連発していたな……。


「なら大丈夫か。ところで名はあるのか?」


「私は人と違って名はない。すまないがそなた――王よ、私に名をつけてください」


「王って……俺のことか?」


「住処の主ならあなたしかいないです。それに、私と友を助けてくれた恩人でもある。この身をあなた――王に捧げる」


 スノードラゴンは膝をついて忠誠を誓う。

 ということは領地に住むってことだよな……?

 とりあえず保護して元気を取り戻すまで休ませさせようと思ったが、違うみたいです……。


 ……まあいいか。厄災級が永住しようが、何もかわらないしな。

 それはいいとして、名のほうか――。


「シルセスはどうだ?」


「良い響きです。名を授けてくれてありがとうございます」


「気に入ってくれたならよかった。じゃあ、戻ろうか――」


 俺は空間魔法(ゲート)を使い、領地に戻る――。


 集会場に移動すると、小人たちが遊んでいた。

 俺たちに気づくと駆け寄ってきて――。


「「「おかえりなさい!」」」


 いつも通り笑顔で出迎えてきます。そしてシルセスの見てソワソワしていた。

 ああ、雪を降らせたスノードラゴンと思っているようだ。


「私を見ても警戒をしないのはすごい……。普通の人なら恐ろしくて逃げ回るはずだ……」


「ああ……ほかのところと基準にしないでくれ……。ここはそういうことろだと思ってくれ」


「なるほど、さすが王の民だ。肝に銘じます。おや、あちらは――」


 シルセスが向いた方向に――。


「レイちゃんおかえり! ここ、すごいことになっているね!」


「ちょっと、リヴァちゃん! そんなに急いだら転んで――きゃあぁぁ!?」


 リヴァが楽しそうに俺たちに駆け寄って、それを追うようにオーロラは慌てながら走って足が滑って転んでしまう。


 久々に領地に戻ってきたのか。

 島のほうの開拓はある程度進んだし、指揮をしなくても大丈夫そうだしな。


 どうやらシルセスは人ではない種族と気づいたようだな。

 2方にも紹介をしないと――。 

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