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633話 長いようであっという間


 ――2時間後。


 戻る時間となった。


 そのタイミングでライカの説教が終わり、カイセイは足が痺れて立ち上がれない状態である。


 ギリギリまで説教するとは意外にライカは厳しい。


「わからないですが……今後気をつけます……」


 いや、カイセイが何を間違ったのか。気づいていないようです。

 頭の中シャルさんのこといっぱいでダメなようです。


『ライカちゃんもっと言ってもいいよー』


 シャルさんには良い薬だと思っている。

 だが――。 


「俺はここで止まるわけにはいかない……。バーミシャルさんのために……」


 だからそこで燃え上がるのは、わけがわからない……。


 これはセイクリッドとモリオンの熱血訓練に参加させて鎮火させようかな。


『本当に懲りないね……。あー、もうこんな時間、みんな絶対に離れないでねー』


 すると、地面と空から採掘場を全体に広がる魔法陣が発生する。

 みんなは動揺するが、光り輝き、視界が真っ白になった――。


 ――ようやく戻って…………シャルさんの庭園にいるのはなぜ……?


 しかも、カイセイ以外のの加護持ちみんなと、コトハとナノミも一緒に移動されている。


 目の前にはシャルさんが笑顔でいますが……まあ、この2人を呼んだということは、何か言うつもりらしいな。

 当然のようにカイセイはのけものにされているが……。

 会ったら大興奮してそれどころではないか……。


 四つ子は不思議そうに周りを見るが――。


「ここって……天国……?」

「えっ……私たち……死んだの……?」


 コトハとナノミは困惑していた。

 シャルさんは、ずっと笑顔でいて無言である。早く何か言ってくださいよ……。


「急に天界に呼んでごめんねー。グランシアに送る前に会いたかったのー。あなたたちの肉体は無事だから安心してねー」


「よかった……ということは、あなたは女神様……?」

「きれいな人……いや、きれいな神様だ……」


「そうだよー。それでコトハとナノミに言いたいことがあるの――」


 シャルさんは2人の前に近づいて頭を下げた――。


「ごめんなさい……私がもっとしっかりしていれば……あなたたちの召喚を止められた……。本当にごめんなさい……。私を恨んでおかしくはない……けど、どうか謝罪させて……」


 やはり、謝るために呼んだのか。

 シャルさんのせいではない。悪いのは法王とグリュムだ。


「あ、頭を上げてください! 私たちは女神様のせいだと思っていません! 悪いのは法王です!」

「そ、そうです! コトハが言っているとおり法王が悪いです! 女神様は悪くありません!」


「うぅ……2人ともありがとう……」


 シャルさんは泣きながら2人に抱きついた。

 しかし、2人ともまだ若いのにしっかりしている。普通なら自暴自棄になってもおかしくはないつらさだ。


「何かあったら私に相談してね。絶対力になるから。特にカイセイが変なこと言ったら、お仕置きするから」


「あー、あの人ね……。そのときはお願いします……」

「あの女神様ラブの人ね……。しつこいときはよろしくお願いします……」


 ん? 2人ともカイセイにあまり良い印象ではない。

 てっきり仲が良いと思ったがそうでもないのか。

 ただ、カイセイが一方的なようです。


「うんうん、私が守るからねー。レイちゃんとライカちゃんには言ったけど、アイシスちゃん、ソアレちゃん、セイクリッドちゃん、助けに行ってくれてありがとね」


「身に余るお言葉です」

「私は役目をしたまでです!」

「ハハハハ! 大したことはない!」


「助けて悪いのだけど、コトハとナノミ、蛇神族の子をよろしくね」


「そこは約束してますので、安心して見守ってください」


「ありがとう。四つ子ちゃん、この人たちといれば絶対に安心だからもう怯えることは何もないよ。だから、幸せに暮らしてね……あなたたちも困ったことがあれば力になるわ」


 シャルさんは四つ子にも抱き、お別れを言う。

 四つ子は理解したのか頷く。


この子たちもつらい思いをしているのに泣かないのは強いな。


「ハハハハ! 我がついている! 安心してくれ!」

 

 セイクリッドの言うとおりしっかり面倒を見る。


「うん、よろしくね。そうだ、コトハとナノミにも加護をあげないと――」


 シャルさんが指を鳴らすと、2人は全身輝き始めた。

 お詫びの意味を込めて、加護を送ったみたいだ。


「これでよし。みんな、今は大変だけど、落ち着いたらまた会おうね――」


 俺たちの床の周りに魔法陣が出てきた。お別れのようだ。

 シャルさんは手を振って見送り、視界が真っ白になった――。


 ――視界が変わると、遠くには大樹――ユグドラシルが見える。

 俺の領地近くに移動すると言っていたが、予定通り領地と少し離れた場所に移動してもらった。


 戻るまで2ヵ月以上経つが長いようであっという間だった。

 今は余韻に浸っている場合ではない。みんなに念話で――。


「レイさん、後ろーー」


 カイセイが慌てて言うと、急に背後から寒気がする……。

 あっ、マズい――。


「フフフフフフ……あるじさまあるじさまあるじさま……もう離しませんこと……」


 【魔力解放】身体を変えたメアが後ろから力強く抱きついてきた……。

 あぁ……いきなりこのパターンはやめてくれ……。

 心配かけたのは悪く思うが、みんなを案内できない……。


 しかも、カイセイたちは武器を取り出して警戒している……。 

 なかなかにややこしくなってしまった……。アイシスが誤解を解いて武器を収めてくれた。


 ただ――。


「あるじさまあるじさまあるじさまあるじさま、いったいワタクシを置いてどこにいったのですか……」


 周りを気にしないで暴走しています……。

 俺たちがいなくなったことはまだ知らされてないみたいだ。

 というかメアが知らないだけかもしれない。

 メアに聞きいたが、何も言ってくれない……。ダメだ……自分の世界に入っている……。

 仕方がない、ほかに聞くしかないか――。

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