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632話 勇者、落ち込む


 ――翌日。


 昼過ぎになり、ゆっくり休んでいると――。


『戻ってきたよー。ムルテーラがお願いを聞いてくれたからもう大丈夫だよー。みんなをグランシアに転移させるねー。2時間後にはできるからここから絶対に離れないでねー』


 もう転移の準備をしているのか。みんなに言わないとな――。


 みんなに言い、あとは待つであるのだが、カイセイはなぜか膝をついて落ち込んでいた。


「レイさんだけずるいです……、どうして俺じゃなくて、レイさんなんですか……」


 どうやらシャルさんがカイセイに伝えないていないからだ。

 と言われても、俺だけでなくアイシスたちも聞こえているのだが……。


『えぇ……言われても困る……。レイちゃん、なんとか言ってよ……』


 シャルさん、準備していると思ったら聞いていたようです……。

 俺に振っても困る……。しょうがない――。


「シャルさんが俺に言ったのは、グランシア――俺がいる世界だから俺優先に言ったはずだ。説得があるからだと思うぞ」


「それは……わかっています……。ですが、コトハとナノミを助けたのに、何も言ってくれないのは寂しい……」


 カイセイも助けるために奮闘していたしな……。さすがにかわいそうである。


『シャルさん、カイセイも頑張ったので声くらいかけてください。このままだと何をするかわかりません……。俺の領地で迷惑をかけるのはごめんです……』


『うーん、レイちゃんに迷惑になるのは困るわ……。わかった……これが最後だと思って頑張るね』


 いや、別に頑張って言うことではないのだが……。

 普通に言えばいいだけで――。


『カイセイ聞こえるか? 私だ』


「その声はバーミシャルさん!?」


 はい? ソシアさんみたいな口調になった。

 もしかしてカイセイには素を出さないで演じていたのか……。

 だから頑張るって……。


 カイセイはその声で反応して立ち上がった。


『そうだ、勇者カイセイ。よくぞ、皆と力を合わせコトハとナノミを救ってくれた。礼を言おう』


「いえ、とんでもございません! バーミシャルさんに役に立つことは俺の本望です! バーミシャルさんのためなら地の底から天国まで行きます!」


 恋は盲目とは言うが、さすがに暴走しているな……。

 別に利用するならいいカモになるが、シャルさんにとっては引くほど嫌みたいだ。


『な、なら……追加でお願いを聞いてくれるか……?』


 戸惑っていますね。


「なんなりと!」


『では――話では聞いておるが、レイくんの世界――グランシアで行くことのになったであろう? カイセイは十分にやっていける力はあるが、コトハとナノミは急で不安が多いだろう。そこでお前の力が必要だカイセイ。2人の心の支えになってくれるだろうか?』


「もちろんです! 2人が元気になるまでその約束、必ず守ります!」


 それなりに利用はしますね。


『よくぞ、聞いてくれた勇者カイセイ。引き続き頼む。私はこれから転移の準備を始める。失礼する――』


「待ってくださいバーミシャルさん! 救ったお礼にデートでも――ちくしょう……言えなかった……もう少しタイミングが早ければ言えたのに……」


 デートの誘うタイミングではないだろう……。

 言ってもはぐらかされて逃げられる。シャルさんもしっかり言えばいいのに。


『うぅ……レイちゃんしっかり言えたよ……。褒めて……』


 だからなんで褒めないといけないのだ!? 自分が蒔いた種なんだから褒めることはないのだが……。


『ハハハ……頑張りましたね……お疲れ様です……。準備の方に行かなくていいのですか?』


『それなら問題ないよ、2時間後に設定してあるから大丈夫だよー』


 設定できるのかよ……。カイセイに言ったのは嘘でした。


「うおぉぉぉぉ――――! 次こそは絶対に言ってやる!」


 それでもカイセイは燃え上がっていました。

 けど、シャルさんはこれで最後とは言ったが、落ち込んでいるときはお願いする予定である。

 悪いけど、シャルさんには最後まで責任を取ってもらいます。

 まあ、カイセイが諦めるのなら話は別だが。


「全く……調子がいいやつだ……。だが、2人の支えになってくれるのはいいことだ」


 ライカは呆れつつも、期待はしているようだ。

 知り合いがカイセイしかいないし、頼りにはなるはずだ。


 突然カイセイは走り出し、蛇神族と一緒にのんびりしているコトハとナノミの方に向かい――。


「2人とも、何か困ったときは俺に言ってくれ! 絶対に俺が支えるから安心してくれ!」


 いや、口に出さなくてもいいだろ……。2人は急なことで引いている……。


『えぇ……なんでもう暴走するの……2人とも嫌がっているじゃん……』


 舞い上がり過ぎにもほどがある。ある意味カイセイの扱いは難しいですな。


「我でもこんなことしないのにな……」

「勇者としてもう少し配慮というのをしないのですかね?」


 セイクリッドとアイシスも呆れていました。

 この2人に言われるのは相当だぞ。ライカが向かい、正座され説教されている。

 待つ時間はこのままだろうな。あっ、ライカが雷をバチバチ発生させているから足が痺れて過酷になりますね。

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