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631話 法王軍とお別れ


 ――翌日。


 バルバトと法王軍は朝早くから帰る準備をしていた。


「もう帰るのか? もう少し休んでからでもいいんだぞ」


「気持ちはありがたいが、早く帰還して確認しなけでればいけない。元王が民をどれだけの犠牲にしたのか……」


 さすがに気になって仕方ないか。今から動かないと聖王率いる聖国騎士に見つかってしまうしな。


「わかった。これは餞別だ――」


 俺は無限収納から袋に詰めた【創種】の種をいろいろと渡した。


「こ、これは……?」


「穀物と野菜の種だ。すぐ蒔けば数日で収穫できる。寒い北大陸でも丈夫に育てられるぞ」


 バルバトから聞く話だと、北大陸は荒れて寒い土地で作物が育たない環境だと言っていた。本当なら中央大陸で作物を育てる予定だったが、法王の方針で変わって困っていたとか。

 少し同情してしまった。もちろんライカの許可は取っている。

 シャルさんに相談しようと思ったが、この世界を管理を一時期やめるのなら言わなくてもいいかな。

 相談する時間もないし。


「なんと!? こんな魔法の種を譲ってくれるのか!?」


「ああ、育った食物の種も同じように育つ。これで北大陸の土地を豊かにしてくれ」


「君は敵である私たちまで配慮するとは……こんな処遇は普通ならあり得ない……。本当にありがとう……。もし、何かまたこの世界に来るのであれば、ヤカハートにぜひ来てくれ。私たち一同喜んで歓迎しよう」


「ハハハ……機会があればな。大事に使えよ」


 まあ、今後この世界に来る予定はないけどな……。

 後日どうなったかは確認はしたいけど。


「もちろん。それと、勇者おふたりをお願いします。私たちの恩人でもあります。どうか幸せにしてください……」


 バルバトは頭を下げた。

 軍にとってコトハとナノミは救世主のようなもので心配はするよな。

 ただ、法王にだけ扱いは酷かっただけだ。


「約束する。安心して北大陸に戻れ」


「ありがとう……この恩は一生忘れない。異世界の英雄――レイ・アマガセ」


 英雄とはどうもむず痒くなる。まあ、相手からしたらそれくらいはしたことになるか。

 騎士たちと軍たちは抱き合って今後のことを祈りつつ、バルバト率いる軍は採掘場を出ていった。


 これでバルバトたちの問題は解決した。聖国騎士に遭遇しないで無事に帰られることを祈る。


 あとはシャルさん待ちだ。


「ハハハハハ! ただいま戻ってきたぞ!」


 朝からいなかったセイクリッドが戻ってきた。四つ子はセイクリッドに笑顔で駆け寄って抱きついた。

 全く……どこに行っていたのだよ……。

 四つ子が目を覚ましたらセイクリッドがいなくて泣いていたぞ。

 泣きやむまで大変だったぞ。特にライカが。


「お主……どこに行ってたんだ……。念話にもでんとは……」


 当然お守りをしていたライカは呆れている。


「ハハハハ! すまない、狩りで夢中になってな! 周囲に魔物が発生してバルバトたちの移動に邪魔だと思ってな! バルバトたちが移動しているし、ちょうどよかったな!」


 安全確保は二の次だな……。結果的にはそうなったが。


「狩りに行ったのは何か目的があったのでないのか?」


「ハハハ、そうだ! こいつを狩ってきたのだ――」


 セイクリッドはアイテムボックスから黒い牛――ブラックカウを大量に出してきた。

 そういうことか……考えていることがわかりました。


「ハハハハハ! 戦勝祝として牛丼を所望する!」


 最近食べていないからって所望するのではない……別に帰れば好きな食べれるぞ……。

 確かにこの牛の肉は上質で牛丼は食べたいけど、無限収納に入っている米は足りるかな……?


「「牛丼……」」


 コトハとナノミが目を輝かせていた。やはり日本食は食べたいよな……。

 仕方がない、セイクリッドも頑張ったことだし昼食は牛丼にしますか――。

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