630話 移動の相談
採掘場に戻り、カイセイたちに伝えると――。
「バーミシャルさんが俺たちのために配慮してくれるなんて……本当にありがとうございます……」
カイセイと騎士たちは涙を流して拝んで感謝していました……。
「カイセイはともかく、お前たちはそれでいいのか……? 違う世界に行くのだぞ……?」
「これも女神様の導きだ。我輩たちを助けてくれるのなら喜んで受け入れる」
「私もまだまだ若造たち負けないで長生きしたいしな。どこに行こうが問題ない」
「異世界だろうが、どこへ行こうが反逆罪で捕まるよりはマシさ」
「ガハハッ! 酒が飲めるのならどこでも構わないぜ!」
ノワッチェと隊長たちはそう言いながら、騎士たちは頷いた……。
はい、問題ないならいいです……。
「ただ、不安はある。一からやり直しなければならない。良い場所があればいいが……」
「それなら問題ない。こう見えても俺は子爵で領地持ちだ。悪いが、俺のところで働いてもらう。もちろん、待遇は保証する」
「なんと、レイ殿は貴族だったのか!? 我輩たちを受け入れるとは……感謝しかない……」
「お世話になったから恩を返すのは当然だ。とはいってもまだ開拓途中で、家が足りないからまずは家造りからだ」
「この人数を受け入れるのは仕方ないことだ。なんでも言ってくれ」
ノワッチェと握手をしてこの話は終わった。
これでカイセイたちの問題は解決した。
あとはコトハとナノミだ。ライカが説明してくれるはずだが、大丈夫だろうか……。
様子を見に行くと――2人はジャージ姿で隅っこで座っておにぎりとみそ汁を食べてライカの話を頷いて聞いていた。
俺に気づくと立ち上がって駆け寄って――。
「「助けてくれてありがとうございました!」」
頭を下げてお礼を言う。
「とりあえず、助けられてよかった。少しは落ち着いたか?」
「はい、あなた――レイさんが助けに来なかったら私たちは法王に一生奴隷にされていました。感謝しきれません……」
「それにおにぎりとみそ汁――馴染みのある食事をくださってありがとうございます。もう一生食べられないかと思いました……」
「そうかそうか。急で申し訳ないが、ライカから話は聞いたと思うが、俺が転生した世界――俺の領地でゆっくりしてほしいんだが、それでいいか? もちろん、拒否権はある」
「私たちからもお願いします。もうこの世界にいる必要はありません。日本に帰れないのは残念ですが、もう仕方ないことです……諦めます……」
「日本に帰れないのは寂しいです……けど、薄々気づいていましたし……嘆いていても意味がないって……これからお世話になります。どうかよろしくお願いします」
2人は少し寂しい顔して言う。当然の反応だよな。
不安であるが、領地でゆっくり休んでほしい。
いろいろと聞きたいが、疲れているだろうし、今日はもうやめておこう。
ライカが面倒を見ているから後日なにを話したか聞いてみるか。
ふぅ……俺も魔力の使いすぎで疲れたな……。
これ以上のことは今日は無理だ。明日に持ち越んでゆっくり休もう。




