627話 勇者側の問題
カイセイに今後について相談をするが――。
「わからないです……。もう帰る場所がないので……。どうしたらいいか、これから考えないといけないです……」
カイセイもどこに行けばわからないか。これは俺にもどうすることができない。
その後、コトハとナノミを任せようと思ったが、1人が手一杯だ。
そうなると、2人はバルバトに任せて北大陸で安全に暮らしたほうがいいかもしれない。
北の勇者だから優遇はされるはず。
カイセイも騎士たちと同じで結論が出るまでかかりそうだ。
アイシスは次々と騎士と軍たちを連れてきて、最後にノワッチェを無事に連れてきた。
「まさか我輩が罪をになるとは……。ソアレ様を隠していただけでなるとは……残念だ……」
ノワッチェはいたって冷静で呆れているだけだった。
「急で悪いな。まだ信じられないが、よく来てくれた」
「いや、お礼を言いたいほどである。早急な行動感謝する」
「それならいいが、まずは今後のことについて隊長たちと話してくれ。指揮官であるお前が必要だ」
「緊急事態だ。そうさせてもらう。この恩は必ず返させてもらう」
頭を下げて騎士たちの方に向かった。
やることはやった。これで良い方向に進めばいいのだが……。
『うぅ……レイちゃん……レイちゃん……』
悲しそうな声で呼んでいるシャルさんとつながった。
やっと戻ってきたが、この感じだと悪い知らせのような……。
『どうしました? ソシアさんに何か起きましたか?』
『うん……ソシアちゃんが……ソシアちゃんが……ちょっと、ティーナちゃん……落ち着いて……今はソシアちゃんのこと話さないといけないのだから……』
ティーナさんがいるのか?
いるということは俺たちのことを言ったみたいだ。
『とりあえず落ち着いてください。まずは――』
『ティーナちゃんがうるさいから……こっちに来てくれない……? お願い……』
『わかりました。すぐに行きます』
ティーナさんが暴走しているなら仕方がない落ち着かせるために俺が行くしかないか。
「主よ、女神に会いに行くのだな? 儂もついていくぞ」
ライカが知っているのはシャルさんはみんなにつなげたようだな。
「何か相談することでもあるのか?」
「ああ……、この子らが日本に帰りたいと言ってな……。その相談に……」
そうきたか……。確かに理不尽に召喚されたら日本に帰りたいよな……。
もうこの世界にいるのは嫌かもしれない。
まあ、シャルさんに言えば帰らせてもらえるはずだ。
「わかった。アイシス、コトハとナノミのケアを任せた」
「かしこまりました。では温かい食事と服を用意しますね」
「よろしく頼む。ライカ、【隠密】を使ってくれ。ワブナテールの女神像の前に行くぞ――」
俺とライカは【隠密】を使い、空間魔法でワブナテール――女神像の前に移動した。
まだこちらの情報は入っていないとはいえ、バレると面倒だから身を隠した。
急いで祈りを捧げると視界が変わり――宮殿の庭の前に移動した。
宮殿前にはシャルさんとティーナさんがいて、俺たちに気づいた。
「レイやっと会えたわ! もう心配して――」
「――うぅ……レイちゃん聞いてよ……ソシアちゃんが……ソシアちゃんが……」
「きゃあぁ!? ちょっとバーミシャル、感動の再会を邪魔しないで!?」
ティーナさんが思いっきり駆けつけて抱きつこうとするが、涙目のシャルさんが割り込んで俺の両方を掴んで激しく揺らしている……。もう娘のことでいっぱいのようですね……。
「ソシアちゃんが……勇者召喚の阻止できなくて……力を使いすぎて倒れちゃったの……」
ちょっと待て……大問題だぞ……。
俺たちがいない間に何が起きた……?




