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625話 聖王に忠実な騎士


 面倒なことになったな。ゾルダーはニヤついて俺たちを見ている。

 騎士たちは武器を構えて警戒をする。出入り口は塞がてしまった。


 隊長たちはため息をついて呆れていた。

 

「お前たち良い働きぶりだった! 聖王様のためにここまでしてくれるとは褒めやる。さあ、聖王様、邪魔者は排除されました! ここはもう貴方様のものです!」


 上から目線とは良いご身分だこと。

 何もやってないくせして本当に呆れる。


 騎士は武器を構えるのをやめて整列をし、道を開けると――頭にはプラチナの王冠、宝石が散りばめられた金色の杖を持ち、白の正装(スーツ)で白いマントの長い白髪の40代くらいの男が出てきた。


「聖王……ベウス・オロンド・エニローゼ……」


 カイセイは歯を食いしばって怒りを露わにする。

 散々こき使われたから嫌な顔はするよな。


 シャルさんの予想通り、聖王を連れてきたか。


「勇者カイセイ、我が誇る聖騎士隊長らに異世界人よ。よくやった。ここまでの道のり苦労したであろう。後日褒美を――」


「聖王様、待ってください! 目の前にいる法王軍、そして魔族の子どもがいます! これはどういうことでしょ!」


 こいつ……わざとらしい演技をする……。絶対に俺たちをハメようとしている……。


「ほう……勇者カイセイ、この聖王に説明しろ」


「戦意喪失している者だ。もう戦う意思などない。それにまだ子どもだ。保護して当然」


「ほう……お前は最良の判断したということか」


「そうだ、文句があるのか?」


「貴様、聖王様になんて態度だ!? 失礼極まりない! 聖王様、この無礼な奴に公平なる判決をしてください!」


「ゾルダー・マーカスの言う通りだ。では、勇者カイセイよ、その場で法王軍と魔族の子を殺せ」


「な、何を言っている!?」


「聖王に敵対する者はその場で排除するのが当然だ。殺せば、その態度――不敬を見逃してやろう。褒美もくれてやる」


 最初は聞き分けの良いと思ったが、ここまで異常とはな。


「子どもを殺すだと……許すものか……」


 セイクリッドは膨大の魔力を出して剣を構えて怒っている。

 そんなことは絶対にさせない。


 当然だがカイセイは――。


「するわけないだろ!? もう戦争は終わった! これ以上無益な殺生をして何になるという!? それに俺は女神――バーミシャルさんのために行動をしただけだ!」


「ほう……女神のためか……。お前には失望した。なら、我が誇る聖国騎士隊長よ、勇者の代わりに殺せ」


 今度は隊長たちに振ったか。


「悪いが王よ、私はそのような下劣なことはできない。それと、この者に危害を加えないと約束をした。」

「そうだ、カイセイの言う通りもう戦争は終わった。お互いにもう関わることはない。目的は大陸を手に入れることだ。それ以上何を望む?」

「もうやめだやめだ。こんなくだらない戦争の続きをして何になる? もう終わったことだ。酒を飲みてぇから帰らせてもらうぜ」


 まあ、王に反発している隊長が言うことなんて聞くはずないしな。

 けど、ここまで言うと聖国騎士をやめるようだが、いいのか?


 聖王は無表情のままだ。

 だが、ゾルダーは顔を真っ赤にして怒っている。


「この不良ども……聖王様になんという態度だ!? 言葉に慎め愚か者!?」


「ゾルダーよ、そう熱くなるな。聖王に歯向かうとは大した度胸である。判決を下す――勇者カイセイ、隊長であるケスナー、アリアナ、ボルックを反逆罪として牢屋に放り込む。捕らえておけ。そしてゾルダー・マーカス――情報提供に、反逆者を見抜いたことを評して要塞ワブナテールの指揮官として昇格とする。現指揮官であるノワッチェ・ゴゼフは聖王に天使を隠蔽した罪で牢屋に放り込む。異論はないな?」


 大アリだろう……なんでノワッチェも罪にとわれる……理不尽にもほどがある……。

 そんなに天使が重要なのか……。


 昇格したゾルダーは誇らしげな顔をして愉悦感に浸っていた。


「ハハ〜ありがたき幸せ! 謹んでお受けいたします! 皆の者、反逆者を捕らえよ!」


「「「ハッ!」」」


 ゾルダーの命令で騎士たちは武器を構えて近づいてくる。

 最悪な展開になってきたな……。


「ゾルダーよ、反逆者を捕らえたらわかるな?」


「はい、法王軍と魔族を抹殺した後に、天使様を聖王様に献上させます」


 おい、今なんて言った……ソアレがどうした……。


「そうだ、天使を聖王の正室に迎い入れる。新たな時代の幕開けだ」


「い、いやぁぁ……」


 ソアレは震えて俺の後ろに隠れた。

 何を言っているこのド変態クズは……ソアレを……もう一度言ってみろ…。


「なんと素晴らしいことでしょうか! 聖王様と天使様が結ばてるのはすべての民が喜ぶでしょう!」


「そうだ、そして子を宿し、世界を――」



「――アイスカッター……」



「へっ? ぎゃぁぁぁ!? うでがぁぁぁぁ――――!?」


「「「聖王様!?」」」


 俺は氷魔法で氷の刃を創り、聖王の片腕を切断した。

 聖王は叫んで痛みもがき、ゾルダーと聖国騎士たちはパニックになった。


 もう、こいつらの茶番には付き合ってられない……。

 時間の無駄だ……。  


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