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624話 自称、真の力③


「た、民まで契約したのか!? い、いつのまに!?」


 バルバトは慌てながら言う。知らないのか。


「裏切り者のお前が知らなくていい。だが、一つだけ教えてやろう。使えない出来損ないの民などいらん。だが、俺は寛容な王だ。このスキルを使って無理やり使えるようにしただけだ。合理的でいいだろう?」


「王のやり方ではない!? 人の心がないのか!?」


「人の心? 何を言っている? 出来損ないは俺に感謝しているぞ。むしろ、救済している。俺を笑わせるでない」


「い、異常だ……何もかも異常だ……私はこんな異常者の下についていたのか……。みんな懸命に働いていたのに……ごめん……」


「もうよせ、このクズ野郎に何度も言っても無駄だ。おとなしく見てくれ」


 バルバトにさらに追い打ちをかけられてつらいだろう。

 自ら仇を取りたいと思うが、俺が代わりに取ってやる。


 こういう救えない奴は俺は許さない……。


「ギャハハハハハハ! おとなしく見てくれだと? 笑わせるな魔導士風情が。俺はこれで最強で()()()を手に入れた! 愚弄したお前たちを裁いてやる!」


「ただ、魔力が戻っただけの話だ。簡単に――」


「レイさん……奴のレベルが6402になっています……筋力と……俊敏がEXになっています……」


 カイセイが口を震えさせながら言う。


「それだけか? 心配してくれてどうも。悪いがアイシス、セイクリッド、下がってくれないか? 俺1人でやる」


「かしこまりました」

「ふむ、命令とあれば致し方ない」


 アイシスとセイクリッドは後ろに下がってくれた。


「どういうことですか!? なんで1人でやるつもりですか!? みんなで一緒にやったほうが――」


「俺だけで十分だ」


 カイセイは納得してないようだ。確かにあのクズの方がステータスは上だが、問題はない。

 確証は十分ある。


「2人ともそれでいいのですか!?」


「心配無用だ。主殿が負けるはずがない。我が保証する」


「ご主人様があのような愚か者に負けるはずがありません」


「で、でも――」


 2人が言ってもまだ納得がいかないようだ。


「わからないと思いますが、ご主人様を信用しているからです。私は一番長く付き合いがあります。ですので、ご理解お願いします」


「な、なんで不利な状況に……わからない……」


 カイセイは混乱しているがわからなくていい。

 そもそも【鑑定】は便利だが、この状況で使うのは悪い部分である。

 どんなに強い相手だろうが臆病になってはダメだ。


 まあ、チートのおかげで臆病にはならないけどな。

 カイセイも十分チート能力をもらっているのだからもっと自信を持てばいい。


「最後に一つ――ご主人様は絶対に勝ちます」


 アイシスは胸を張って言う。

 やはり一番長く付き合いのある魔剣だ。これも俺たちは【()】がある証拠だ。

 誰が相手だろうが負けるはずがない。


 すると、氷の魔剣アイシスから蒼い光が周囲に広がる――光が消えると、前より光沢が増し、

 さらに軽くなった。い、今のはいったい……。


「ご主人様……魔剣()が勝手に……」


 アイシスも魔剣(自分)を出して戸惑っている。しかも、同じように輝いている。

 何もやっていないのか? アイシスが知らないとはどういうことだ?


 ただ、アイシスが持っている魔剣が俺に反応している感覚がある。

 もしかして――。


「アイシス、借りるぞ――」


「えっ?」


 俺はアイシスに左手を向けると――アイシスが持っている魔剣が消えて、左手に移動した。

 やはり、俺に反応していた。それに、左手だと扱いにくかったのに右手と同様に軽くて馴染んでいる。

 どういうことかわからないが使わせてもらう。


「俺を無視するとはいい度胸だ! 裁きを受けろ――――法絶拳!」


「――レイさん、危ない!?」


 法王はすでに俺の目の前にいて、殴りかかろうとしている。

 だが、スローモーションに見える。時魔法(スロウ)状態と同じ感覚だ。

 いや、違う――俺自信【身体強化】されている状態かもしれない。


 拳は片手――右手を使い軽々と防ぐことができた。

 法王は予想外なのか、口を開けたままマヌケ面をしている。


「ど、どどどどど、どういうことだ!? 俺は真の力を手に入れたのだぞ!?」


「そのセリフ聞き飽きた。俺の番だ――――豪氷刃!」


「ぶぎゃあぁぁぁぁ!? 腕が腕がぁぁぁぁ!?」


 殴ろうとした拳――腕を氷を纏って切り上げ切断をした。

 法王は激痛で叫んでいた。切口は次第に凍っていき、ゆっくりと氷で侵食していく。


「な、なぜ再生しない!?」


「お前の再生が遅いだけだ。これが()()()だ」


「ふ、ふざけるなぁぁぁぁ!?」


 もう片方の拳で襲いかかるが魔剣を振って弾き返し、その衝撃で拳が凍っていく。


「本当にどういうことだ!? たかが魔導士風情に!?」


「言い忘れたが、俺は魔導士ではない、()()()だ――――刺氷閃撃!」


「――――ぎぎゃぁぁぁぁ!? いたいいたいたいーーーー!?」


 法王の身体を鋭く突き続け、凍っていき、ボロボロと身体が氷のように砕け散っていく。


「い、いたい――――や、やめろぉぉぉぉ!? ゆ、許してくれぇぇぇ! た、頼むぅぅぅ!」


 最後の最後に命乞いとは情けない野郎だ。楽して地獄に行くと思うなよ――。



「――――絶氷乱華!」



「――――びぎゃあぁぁぁ!?」


 2刀を蒼く輝せ――周囲に少し触れただけでも凍ってしまうほどの冷気が広がり、

法王を全身切り続け、すべて凍ってしまう。


 攻撃をやめないで氷状になった身体を米粒より小さくになるまで粉々にしていき

 キラキラと細かく床に落ちて跡形もなくする。


 切り終わり、魔剣を解除すると、氷のように溶け始めてなくなった。


 これでようやく終わった。最後まで呆れた王だった。

 終わったことがわかると、みんなが駆けつけてくる。


 落ち着いて確認したいところだが、そうも言ってられない。


「主殿、終わって悪いのだが……」


「ああ、わかっている。あいつらが来ていることが――」


 さすがに来るの早すぎではないか? それと、タイミング良すぎだ。


「いたぞ!」


 部屋に入ってきたのはゾルダー率いる聖国騎士だ。

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