表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/914

61話 昇格試験の手伝い


 昇格試験って手伝っていいのか? 

 それもSランクを……。


「あの……俺たち手伝えるのですか?」


「ミスリルカードも対象にしてるから大丈夫よ! ほかの試験は受かったからあとは討伐依頼だけよ!」


「それはわかりました……。けど、討伐対象は1人で倒すのではないのですか?」


「普通はそうだけど、今回は違うのよ! 討伐する魔物が海にいるから!」


 海だと!? これは喜んで受けるしかない。


「レイ、嬢ちゃん悪いがセーレを手伝ってくれ」


 ザインさんが階段を下りながら来た。


「いいですけど、内容を確認したいのですが?」


「ああ、そうだな。内容は――」


 討伐内容はここから南の海岸に現れたSランクの魔物カイザーオクトパスの討伐である。 

 普通に倒すのではなく、受験者がとどめを刺すのが条件だ。

 同行者はカイザーオクトパスの足止めと、周りの魔物を討伐する条件で同行が可能となる。

 俺とアイシスは援護役ってことか。

 それにタコか……久々にタコ焼きが食べたい……あとタコ飯……。


『相変わらず食い意地が張ってるね~』


 そう言われても、いつものことだ。

 依頼が終わったら近場の街に魚を買いに行ける。


「言い忘れたが、近場の街はカイザーオクトパスで不漁だから早めに対処して欲しいとのことだ」


 マジかよ……今回は諦めるか……。

 しかし……近くの冒険者はカイザーオクトパスの討伐できないのか?

 よほど強いってことだな。

 

「わかりました、いつ出発するのですか?」


「悪いけど今すぐよ! 試験監督さんも待たせているから早く行きましょう!」


「その人どこにいるのですか? 周りにいないのですが……」


 すると背後から気配を感じた。


「ここにいますよ」


 正装した金髪ロングの男が背後にいた。 

 いつの間に!? 

 【隠密】スキルで気配を隠していたか……。


「驚かないとはさすがですね。氷迅の魔導士レイさん、それに賢者の弟子アイシスさん」


「なぜその情報を……」


「協会で噂になっていますからね。申し遅れました。今回セーレさんの試験監督をしています。冒険者協会に所属するガレンと申します」


 噂されてるのか……それに協会の人か、確かにSランク昇格を見極めるのに協会の人がつくのが基本だよな。

 じゃあ、この人はSSランク以上ってことか。


「やはり私の目に狂いはなかったみたいですね。ザインさんの言うとおりミスリルカードを渡して正解ですね」


「えっ? ミスリルのカードはギルドマスターが良いと思ったら渡していいのでは……」


「表向きはそうです。ですが、協会に相談あってのミスリルカードですから」


 やっぱりそうなるか。おかしいとは思ったが……もしかして試されていたのか……。


「悪いなレイ、嬢ちゃん。そういうことだ。それにガレンは2人の実力も見たいってことだ」


 見たい? となると、この依頼は俺とアイシスも見るために用意された試験か。

 

「なぜ、俺たちの実力を見るのですか?」


「この目で確かめたいからです。ですが試験なので派手に暴れないでくださいね」


「それはわかっています。もしかしてその実力を見て協会側から依頼が来る可能性は?」


「十分にあります。強制はしませんがお願いする場合があります」

 

 それだと面倒だな……まあ、強制ではないからまだいいか。     


「試験監督さん、私は準備できたわよ!」


 いや、セーレさん……俺とアイシスは準備してないのですが……しなくても行けるか。


「そうでしたね。ではこれより討伐試験を開始します。現地へ向かってください。私は邪魔をしないように隠れて見ていますから、ではこれで」


 ガレンさんは【隠密】のスキルを使ったのか姿が消えた。

 

 この場合精霊はお留守番かな。リンナさんにお願いをしよう。


「ところでリンナさんは?」


「リンナは……察してくれ……」


 あっ……なんとなくわかりました……。

 協会の人が来ているからリンナさんも【隠密】で姿を消してますね……。


 そうなると……ダメだ……いない……。


『別に今回も精霊を連れてっても大丈夫だよ。海系の魔物は行動範囲が限られるからね!』


 エフィナがそう言うなら大丈夫か。


「レイちゃん、早速お願いがあるの! アイテムボックスに荷物入れてほしい!」


「わかりました」


 無限収納にセーレさんの荷物をしまった。


「ありがとね! さあ、行きましょう!」


 セーレさんと街を出て――【身体強化】を使い、走って現地に向かう――。


 距離的に800㎞ぐらい離れているが、このメンバーなら今日は疲れ知らずで半分程度の距離を進めるだろうとの事で出発する。

 

 途中でゴブリンが数体いるのを確認したが無視して進むのかと思ったら――。


「邪魔よ! ――フレイムアロー!」


「ギャアァァ!」


 セーレさんは火魔法を使い――殲滅した……無詠唱だと!?


「セーレさん……もしかして……」


「そうよ! やっと無詠唱を覚えたの! これで心置きなく試験が受けられるってわけよ!」


 無詠唱を覚える為に試験をずらしていたのか。


「おめでとうございます」


「ありがとう! これで叔母さんを見返すことができるわ! 待っていなさいよ!」


 やっぱり、リリノアさんに何か言われていたのか……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ