622話 自称、真の力①
「黙っていろこの弱腰が! よくも俺のスキルを勝手に見るな! 魔導士風情を倒したら次はお前だからな……」
「お前にそんな余裕はないだろう。自分勝手に力を奪う奴に負けるわけがない」
「まだ俺を見くびっているのか。いいだろう、これが法王の真の力だ――――法王乱絶拳!」
俺に一瞬で近づき、連続で殴りにかかってくる。
躱すが、さっきより速い――躱すだけでは厳しい。
「――――光翼乱華!」
光を纏い拳を当て防ぐが、一撃一撃が重い……。
こいつ、口だけではなかった。
「ハハハ、どうした魔導士風情が! こんなものか!」
最後の一撃で後ろに下がった。これくらいなら問題な――。
「まだ終わりではないぞ――――法絶拳!」
気づいたときには目の前にいた。
急いで2刀構えて重い拳を防いたが、そのまま押されて吹っ飛ばされしまった。
だが、剣を床に突きつけて体制を整える。さすがに片方の魔剣だけでは厳しいか。
セレネがいれば本領発揮できた。言い訳しても倒せない……。
俺の力不足だ……。悪いが、光の魔剣と聖剣を解除した。
「チィ、悪運のいい奴だ……」
「真の力を得た――奪ったわりには大したことないな」
「強がっているのも、今のうちだ――――法拳閃舞!」
今度は舞うように拳で襲いかかろうとするが、攻撃パターンはわかっている。
「ただ、少しだけ強くなっただけで調子に乗るな――――雷迅絶破!」
右手に雷の魔剣を持ち、稲妻の如くひと振りをし――法王はクルクルと回りながら吹っ飛んでいく。
「ヒヒヒハハハハハ! 痛くないな!」
狂ったかのように高笑いしていた。吹っ飛ばせるなら全然問題はない。
俺だけだと思うな――。
「全く、しつこい奴だな――――サンダーボルト!」
「――――あぎゃぁぁぁ!?」
ライカが後ろで雷魔法を使い、頭上から稲妻を落として法王を丸焦げにする。
いくら強くなっても、この世界でユニークである雷は耐性はないはずだ。
止まっている隙に近づきトドメをさす――。
「――――雷迅裂閃!」
法王の身体――胴体切りつけようとした瞬間に動き始めて両手で魔剣を掴まれる。
まだ動くのかよ……。
「ヒヒヒハハハハ! 残念だったな!」
「お前、雷耐性を持っているのか?」
「ハハハハ! いいだろう教えてやろう――雷耐性など持ってない。ハハハハ残念だったな、俺が
ユニークの耐性が持っていなくとも最強だということをな――」
そのまま魔剣ごと投げ飛ばされてしまった。
空中で体制を整え――。
「終わりだ魔導士風情――――法絶拳!」
もう目の前にいた……。
マズい、さすがに避けきれない。空間魔法間に合うか――。
「まさか法王がここまで強いとは我も交ぜてくれ――――覇閃晶!」
「――――ギエェェェ!?」
横から結晶の斬撃が飛び法王に当てられれ落ちてしまう。
俺は体制を整えて床に着地して後ろを振り向くと、セイクリッドが援護してくれた。
まさか終わってないのに合流するとは。だが、おかげで助かった。
「な、なんだ今のは!? 弱腰が使っていた技と似ている!?」
「弱腰とはなんのことだ? 我が使う技に怯えているとは、思い違いか。怯えている暇などないぞ」
「へ?」
「――――アブソリュート・ゼロ」
アイシスも来て氷魔法を使い――法王を全身氷漬けにする。
2人しておいしいところ持っていかれるな。
だが、油断はできない。すぐに氷から出てくる。
その間に後ろに下がって距離を置く。




