621話 聖剣と法剣
「これが本物のエクスカリバーだ――――法絶剣!」
法剣を光り輝かせて襲ってくるが、変わらず簡単に聖剣で防ぐ。
だが、笑いながら不気味で余裕だった。
「はははは! かかったな! 法剣の力を受けてみよ――」
法剣が光り輝き、聖剣の光――魔力を吸収しようとしている。
何をやっても無意味だ。
高笑いしていたが次第に笑顔が消えて身体を震えさせて力んでいた。
「法剣の力がどうした?」
「どういういことだ!? 光を吸収しないだと!?」
「するわけないだろう。何を勘違いしている?」
「あ、ありえん!? 光属性を絶対に吸収する絶対的な法剣だぞ!?」
「光だからって全部吸収するわけないだろう。しかも、お前の剣はまだ手に入れて日が浅いくせして完璧に知らないだろう。妄想するのも大概にしろ」
まあ、こいつにはわからないが、俺には魔剣の加護がある――聖剣の光は吸収されないように防止できる。
「俺を愚弄するな――――!?」
「もうそれしか言わないな。もう覚悟はできているな――――絶光!」
「――――ぐえぇぇぇ!?」
法剣を弾いて胴体を切りかかったが、軽い傷程度で吹っ飛んでいく。
さすがに耐久がSSSあると、本気でやらないと厳しいか。
だが、ほかのは効いているようだ――。
「いたい、いたいいたいいたい――――!」
地面に転がりながら痛みに耐えられていないようだ。
「いいいいい、いったい何をした!?」
「俺のスキル――【断罪】でお前を裁いただけだ。これまでやってきたことの因果応報ってやつさ」
「俺は法王だぞ!? 裁くのは俺1人だ!?」
「法王がなんだ? 俺は平等に裁いているだけだ。この意味がわかるな?」
「いい気になるな魔導士風情がぁぁぁ――――!」
法王は涙目になりながら近づいてくる。
かなりの痛みを感じたのにまだ動けるとは呆れる。
これで終わらせてやる――。
「――――光刃乱華!」
「――――ぐわぁぁぁぁ!?」
聖剣に光を纏い全身を切りつける――。
法王はそれを防ごうとするが、剣は弾かれて怯んでしまって無意味だった。
すると、法剣はヒビが割れて粉々に砕け散ったタイミングで吹っ飛んでいく。
…………おかしいぞ。
手応えが全くなかった。しかも、法剣が軽々と壊れるはずがない。
急に錆付き始めていたがまさか――。
「フフフ……ハハハハハハ! どうした、こんなものか魔導士風情が!」
さっきまで痛がっていたのに平常でいる。
魔力もさらに増している。
「お前、法剣を吸収したな」
「ハハハハ、そうさ、俺のために糧となったのさ!」
「大切な秘宝ではなかったのか?」
「俺に吸収されて壊れたものなど秘宝ではない! そう、この俺が秘宝であり――法剣となったのだ!」
都合のいいことを言うとは呆れる。
法剣を吸収したところで変わるはずがない。
ただ、魔力が増しただけ――。
「――――刺光連撃!」
法王に近づき、身体を突き続けたが、笑っているだけだ。
最後の渾身の一撃を食らわせたが、防がれて少し後ろに下がる程度だ。
【断罪】を使っても効いていない……。
「どうした魔導士風情? さっきの勢いはどうした?」
このまま長引かせても無駄だ。
アイツの挑発に乗ってやるか――俺は聖剣を右手に持ち、光の魔剣を出した。
そして【魔力解放】を使い――。
「――――光翼刃!」
余裕をかましている隙に身体を切りつけて吹っ飛んで壁にぶち当たり周りの破片が崩れ法王て埋め尽くす。
今度は手応えがあった。さすがに魔剣では致命傷――。
「ハハハハハ! 全然効いとらんわ!」
無傷のまま出てきた……。
おいおい、なんの冗談だ……魔剣を使っても倒せなくなっているぞ……。
「レイさん、気をつけてください! 奴は【耐性強化】を持っています! あの法剣で光耐性が
ついたと思います!」
遠くで見ているカイセイが大声で言う。
また面倒なことをしたな。
そのしつこさ嫌になるほどだ。
光耐性だけならほかを使えばいい――。




