表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
623/919

617話 呆気ないと思ったが――


「弱腰が……なぜ後ろに……前にいる奴は誰だ……」


「ああ、これか。闇魔法(ファントム)だ。まさか初級魔法を見抜くことができないのは意外だな」


 俺は闇魔法で創ったカイセイの幻影を消した。

 【魔力感知】で中身のない存在だとわかるはずだが、俺の思い違いか――法王は俺を見て強いと警戒していると思ったが、たまたまのようだ。

 しかも、カイセイの【隠密】に気づかないのは、とんだ拍子抜けだ。

 撤回しよう、法王は【奴隷契約】で頼っているザコだと。


「もう悪行はここまでだ」


「――――ゴハァァァァ!?」


 カイセイは剣を抜き、法王は倒れた。

 意外に呆気ない。

 どうやら俺の出番はなかったようだ。

 法王さえなんとかすれば、コトハとナノミは解放…………していないぞ……。


 まだ紋章が浮き出ている……。


 おかしいことに、カイセイ大剣を食らったのに血があまり出ていない……。


「フフフフ……ハハハハハ! いい気になるなよ! 俺がこれで倒せると思うな!」


 普通に立ち上がり、傷口も元通りになっている。

 

「【再生】スキルか。余計なもの覚えて面倒だ」


「フハハハハ! 俺は不死身だ! 何度倒されても蘇る!」


 魔力を減らさない限り、再生するってことか。


「なんだ、物足りないと思ったが、またお前を切れるのは嬉しいぞ!」


 カイセイは強がって再び法王に切りつけようとするが、剣で受け止めた。


「不意を突かれたが、弱腰相手に俺に牙を向けるとはいい度胸だ。いいだろう、少し遊んでやる」


 法王は剣を振るい、カイセイとやり合う。

 しかもお互い引きを取らない――互角ってところか。

 だが、相手の方が魔力が多い。カイセイが長引くと不利になる。

 俺も――。


「お前たち、そこの魔導士を相手しろ!」


 コトハとナノミの紋章が輝き始めると、腰に付けたナイフを取り出して俺に向かってくる。

 魔法が発動できないなら肉弾戦と判断したか。


「手加減できないから気をつけて!」

「早く逃げて!」


「悪いが、おとなしくさせるぞ――――クリスタルチェーン!」


 地面に無数の結晶の鎖を出して2人を拘束しようとするが、簡単に躱されてしまう。

 なんだあのすり抜けるような動きは……判断力も強化できるのか?


「「避けて!」」


 2人が近づきナイフで切りかかろうとする。

 速い、だけど普通に躱せる。

 近距離の戦闘ができることはカイセイの情報にはなかった。


 おそらく、これも強化されて無理やり動かされている。 

 

 魔法を発動させようとするが、隙を与えてくれない。

 少々厄介だが――。

 

「ちょっと怖い目に遭うが我慢しろよ――」


「「え?」」


 俺はコトハの腕を掴み遠くへ投げ飛ばした。続いてナノミも同じようにし、再び結晶魔法(クリスタルチェーン)を使い拘束――。



「避けて!? ――――サンダーブラスト!」

「ダメェェ!? ――――アイスブラスト!」


 空中魔法を発動し――雷撃と氷の大粒が直撃する。


「「い、いやぁぁ……」」


「レイさん!?」


「ハハハハハ! いくら強い魔導士さえタダではすまない! 次は弱腰をやれ――」


「何を思い上がっている? 俺はなんともないが?」


「なっ……」


 直撃してもこのくらいは無傷で済む。いくら強化されても魔剣の加護がある限り痛くも痒くもない。


「な、なぜ平気でいられる!? 人が消し飛ぶほどの魔法だぞ!?」


「そう言われても効かないものはしょうがない」


「そのようなことがあってはならん! 再び魔導士をやれ!」


「残念だったな、そろそろ終わりする――――轟光斬!」

 

「黙れ!? 受けてみよ、これが法剣の力――――法絶剣!」


「……クッ!」


 カイセイと法王は互いに光が輝く素早い一振りし、剣が交差し、カイセイが後ろに仰け反った。

 

 このまま続けばカイセイが不利になる。


「お願い止まって!」

「もう戦いたくない!」


 再びコトハとナノミが向かってくる。

 2人もこのまま続けば体力と精神が壊れる。

 ここまでよく耐えてきた。終わりにしてやる――。


「――スロウ!」


 2人に時魔法をかけ、身体を遅くさせた。ゆっくり、スローモーションで向かってきている。

 まさか効くとは思わなかった。今まであまり実用性がなく使わなかったが、予想以上に効いている。


 いや、エフィナが得意から俺も恩恵があるかもしれない。

 

「何をしている!? 早く動かんか!?」


「無理だ。お前が強化されても魔法には逆らえない」


「よそ見しているとか、王の余裕か? セイクリッドさん直伝――――覇閃斬!」


「――――ヌワァァァ!?」


 カイセイは剣を地面に叩き、法王に斬撃が直撃し吹っ飛んでいく。

 まさか短期間でセイクリッドの技を覚えたとはやるじゃないか。


 さて今度は俺の出番だ。準備は万全だ。()()()()だが、()()に魔力を込めて()()する――。



「――――来い、()()()()()!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ