表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
621/919

615話 法王


「わかった。無理はしない」


「それでいい。奥から次々と来るな。ここは儂がやる。魔力を温存してくれ」


「なら私もここに残るとしよう。若き賢者よ、カイセイを頼んだ」

「ウチも少し暴れようかね。レイ、カイセイを頼んだ」

「ガハハハッ! オレも役に立つぜ! すぐに合流するから早めに終わらせるなよ!」


「みんな……、無理をするなよ。行ってくる」


 ライカと隊長たちに任せて、法王軍と戦わずに進む――。


 不思議なことに俺たちを追うことをしないでライカに向かっている。

 

 よく見ると、身体がをバチバチと雷を纏い毛立っている。

 【電磁波】のスキルを使っていることがわかった。


 相手はただ戦うだけの奴隷だ。思考がなければ、強い電磁波に当たり向かっていく。

 ここで【電磁波】のスキルがやくにのは予想外だが、戦わずに済んだ。


 何事もなく城の中に侵入した。


「王は謁見の間にいるはずだ! こっちだ!」


 バルバトの案内で広々とした灯りがない廊下を移動しているが、やけに静かだ。

 しかも、法王軍とゴーレムの姿が見当たらない。

 【奴隷契約】で命令できるのなら城の中にも配置できるはずだ。

 法王はいったい何を考えている。


 不気味さを感じながら進み、バルバトは錆びついた大きな鉄の扉の前に止まった。

 奥には3人の魔力反応がある。いよいよか。すぐに解放してやるかならな。

 その前に気になるのが――その1人は膨大な魔力を放っている。


 おいおい、カイセイの二回りほどの量を放っているぞ……。

 多分、法王で間違いと思うが、カイセイはそこまで強くないとか言っていたが、おかしいぞ……。


「なあ、法王は強くはないよな?」


「はい……、このときを待っていた……。もうすぐだ……」


 カイセイは歯をむき出しにして、剣を強く握っている。

 ダメだ、感情的になって多く語らない。


 そうは言うが、カイセイだけで倒せるのか?

 これほどの魔力を放っているなら気づくはずだが……。

 まあ、この魔力は【奴隷契約】で奪ったものだと思うしな。


 法王自身弱いだろうし、深く考えすぎかな。 

 

 恐る恐る扉を開けると――高い天井の大広間が出迎える。


 大理石できた大きな玉座には、黄色いマントと黄金に輝く剣を持った50代くらいの口髭と顎髭を生やした白髪頭の男が座っている。


 その両脇――右には茶髪ロングのボロボロの腹を出した軍服の着た少女に、左にも同じ軍服を着た黒髪ショートの小柄の少女が立っている。

 カイセイの話では茶髪の子がコトハで黒髪の子がナノミなはずだ。

 腹の方には薔薇の紋章が赤く輝いている。膨大な魔力が集中している。

 無理やり流し込まれている感じだ。下手すると魔力暴走になるぞ。


「法王……いや……パチィス・オブド・クオプトル! お前に勝ち目はない! もう降伏しろ、おとなしくコトハとナノミを解放しろ!」


 カイセイの発言に全く動じなく、鼻で笑う。


「誰かと思えば、弱腰の勇者ではないか。懲りない奴だ。また俺にやられに来たか?」


「言っているのは今のうちだ。まだわからないのか? 俺たちが来たということは、お前の部下がやられたことがな」


「お前の力でここにたどり着くわけなかろう。お前はほかの奴に頼らない弱腰とわかっている」


「キサマ……」


 カイセイは魔力を放ちながらも、相手の挑発に我慢している。

 そこは偉いが、なぜか俺の方を一瞬向く。


 俺を警戒しているのか?

 あいつ、俺の強さがわかるようだ。

 これはマークされたかもしれない。


「そんなことはどうでもいい。なぜ、隊長のお前が弱腰の勇者と一緒にいる?」


「王よ、私はこの人たちの捕虜となりました! 皆優しく、寛大な心をお持ちです! 聖王騎士は我々と一緒に歩む未来を望みました! なのに……王はなぜ、ともに歩む未来を望まず。覇道を進むのです!? それに……皆に何をしたのです!? 皆ボロボロで――まるで奴隷ように扱うのはおかしいです! なぜそのような――」


 法王は剣を床を突き、金属が周りに響く。


「くだらない……実にくだらない……。王道を築いているのがわからないのか? 俺に刃向かうのか?」


「何が王道だ……。みんな劣悪な環境で働いているのに気づかないのか? 王として失格だな」


「黙れ弱腰。今は裏切り者と話している。邪魔をするな」


「だったら邪魔するまでだ――――セイントサークル!」  

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ